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Night Resident / Darkness Is My Home

昨日の「Black Soul Horde」と中心メンバー2名が同じバンド。こちらはイニシャルで活動しているようですが、JT=John Tsiakopoulos、CP=Costas Papaspyrouですね。JTはBlack Soul Hordeではリズムギターとベースを兼任していましたが、こちらではベース兼ボーカルのよう。こちらはメタルよりもう少しロック寄りの音像のようです。こちらも2021年作なので、今年は2枚、別のプロジェクトでリリースしたようですね。ただ、Black Soul Hordeは専任ボーカルを迎えていますが、こちらはギターとベース(JTとCP)がボーカルも兼任している様子。ドラマーは別にいるようです。ちなみにメンバー3名ともSpeedblowという別のバンドのバンドメイトでもあるよう。Black
 Soul Hordeのメロディセンスが良かったのでこちらも聞いてみようと思います。

活動国:ギリシャ
ジャンル:ハードロック、ゴシックロック
活動年:2018-
リリース:2021年5月21日
メンバー:
 JT Bass, Vocals (2018-present)
 JD Drums (2018-present)
 CP Guitars, Vocals (2018-present)

総合評価 ★★★★☆

こちらも掘り出し物。Black Soul Hordeがプリーストやメイデンといった王道パワーメタルを踏まえた作品なら、こちらはゴシックロック、オカルトロック的な佇まい。ただ、メロディセンスは共通しており(ソングライターが共通なのだから当然だが、人によってはプロジェクトごとにおおきく手法を変えるアーティストもいる)、緩急のつけ方、曲構成、アレンジの巧みさは変わっていない。リフはよりドゥーミーというか70年代のレトロHR的な雰囲気もある。どちらも好みの音像。ストーナーロックとか、ハードロックリバイバル系の雰囲気を持った良盤。歌メロがしっかりキャッチーなのもポイントが高い。突出したキラーチューンはないがアルバム全体でしっかり盛り上げていく。こちらの方がGhostやUnto Others(Idle Hands)好きにはアピールすると思う。

1.A Time Of Wonder 05:22 ★★★★☆

ゴシックな雰囲気のアルペジオ、ヘヴィなドラムが入ってくる。こちらの方がモダンな音作り、SoenやOpethにも通じるちょっとダークなモダンプログ的な感触がある。ベースも結構主張が強い。お、そこからテンポアップ。やはりリフのセンスは高い。イントロから掴みはOK。こちらの方がハードロック的、ボーカルが入ってきたがうめくような、ハーモニーがかかった声。なるほど、こちらはボーカルはあまり前面に出てこない、ストーナー的なのかな。アーチエネミーとスピリチュアルベガーズ的な。こちらがスピリチュアルベガーズ的。ただ、コーラスはしっかりメロディアス。キャッチーなフックとリフを書く力は変わらず高い。こちらの方がUnto Othes(Idle Hands)やGhostに近い感じかも。

2.Into Her Eyes 03:41 ★★★★☆

良質なリフからボーカルへ、Ghost感マシマシ。最近の洗練されたGhostではなく、1stの頃だな。歌メロはもうちょっと呪術性が低いけれど、リフとボーカルの絡み合い、幽玄な感じは近い。ゴシック。基本的にボーカルはハーモニーが入っているな、ツインボーカルというか。メロディアスに切り込む佳曲。

3.Darkness Is My Home 05:47 ★★★★☆

ヘヴィでドゥーミーなリフ。かなりサバス的。途中から抒情的なメロディに。UKプログ的な感じもする。クリムゾンのエピタフとか。ただ、あそこまで静謐な緊迫感はないけれど。一言で言えば”ヘヴィロック”な音像。この曲はじっくり展開して雰囲気がある。

4.Stardust 04:07 ★★★★

こちらも雰囲気満点、ミドルテンポだが軽快に進んでいく、Ghost感。ゴシックなハードロック。ボーカルは基本ハーモニーがあり、クワイア的。常にコーラスがある。この「ツインボーカル」のサウンドが特性なのだろう。起承転結感がしっかりあるリフ。MVも作られたリードトラックのようだが、コンパクトにまとまってフックがある佳曲。

5.Black Witch 04:35 ★★★★

ヘヴィでレトロなリフ。そこからサイケなボーカル。こちらは様式美やパワーメタル感は薄くゴシックメタル、オカルトロック感が強い。よりアンダーグラウンド臭もするが、メロディセンスそのものは洗練されている。こういう音楽も好きなんだろうなぁ、という感じ。あまり深刻な暗さというよりはちょっとオカルト的な雰囲気。Blue Oyster Cultの「冷たい狂気」に、欧州的な湿り気とB級メタルの臭みを振りかけた感じ。

6.I'll Be Free 04:07 ★★★★☆

お、ちょっとタイトルからして違うな、やや能天気というか。サウンドもアメリカンハードロック的な少し豪快な感じ。リバーブで煙った感じは残っているけれど。ボーカルが入ると急に煙が立ち込める。酩酊感が出る。加工されたくぐもった感じのハーモニーだからなぁ。強烈にゴシック、ダークファンタジー感がある。ゴシックハードロックになって堂々と終曲。

7.Little Emperors Of Nothing 04:21 ★★★★★

だんだん世界観が深まってきた。ミドルテンポで進んでくる。ボーカルパートが弱いというか、声がくぐもって遠くの方に聞こえる感じがあるのだが、その音響に慣れてきたのかアレンジがだんだん良くなってきたのか。アルバムに浸っているとだんだん世界観が深まっていくか、退屈してくるか、どちらかに分かれることが多いのだけれどこのアルバムは深まっている、引き込まれる感じがする。そういうアルバムは「いいアルバム」なんだと思っている。今までの流れもあるが、6曲目ぐらいから求心力が増してきた。ゆったりとして、ややスロウなテンポでボーカルメロディが展開していく。バッキングはコードを刻むというか、あまり音程移動はないのだけれどここぞというところでリフ的な変化がある。ボーカルは基本ツインボーカル、2本以上のボーカルが重なっているのだが、ハーモニーのつけ方が工夫されている。この曲はそれほど長い曲ではないが中でユニゾンなどの緩急が工夫されていてドラマティック。それほどテクニカルではないがしっかりツボを押さえたソロ。こういうソロとかリフいいよね。自分も弾いてみたくなる。

8.In The Mountains Of Sorrow 05:45 ★★★★☆

大仰でドラマティックなオープニング、ドラマティックなままで曲が進み、徹頭徹尾ゴシックなヘヴィロックが続く。ライブに例えれば大詰め、クライマックスといったところか。ラスト曲1曲前、見事な構築力で6分近くを聞かせきる。

9.Hope Is Hard To Keep 06:19 ★★★★☆

ラストソング。メロディアスなリフ、カッコいいハードロック。このリフでもう勝利感があるな。アルバムの大団円、クライマックス感がある。ただ、リフでテンションを上げた後ちょっと引いて、音が薄めに。落ち着いたトーンでボーカルが入ってくる。ボーカルがメロディアス。ちょっと人間椅子感もあるリフ。70年代HR的、ということだね。そこにメロハー的な爽やかなボーカルラインが乗る。透き通るようなハイトーン、というよりは、ハーモニーだけ抜き出したような感じではあるが、ボーカルラインはメロディアスでキャッチー。



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