Knocked Loose / A Tear In The Fabric of Life
総合評価 ★★★★☆
激烈に駆け抜けて行くミニアルバム。6曲21分ながらSEの使い方がうまく、不思議なドラマ性を感じさせる。USメタリックハードコアバンドの2年ぶり3作目で、来日公演も経験があるようだ。各種メディアで評価が高いのも納得の出来。SpiritboxやEmployed To Serveに近い、モダンなメタリックハードコアながらこちらはちょっとオカルトロック的な、ダークなポストメタル感も加味されているしところどころにデスメタル的な激烈さがあるのも面白い。ハードコア的な直情、たたきつけるような感覚と、メタル的な構築性、テーマ性の両方を併せ持っていて、メタリックハードコアバンドの中ではメタル要素が強め。ギターリフらしきものもある。短いのに存在感があるアルバム。
1.Where Light Divides The Holler 03:42 ★★★★☆
チリチリしたノイズ、いや、雨か。雨の中の足音。車に乗り込み、エンジンをかける。雨の中で加速していく。ラジオを切り替えるような音像、スリップするような音と共にバンドサウンドが入ってくる。音の勢い、まさに車がスリップするような衝撃。メタルらしい刻み感のあるリフに完全ハードコアマナーの怒号が乗る。メタリックハードコア。激烈性を保ったままブレイクダウン。悲鳴のような金切り音。音の塊、衝撃波のような音像。BPMはそこまで早くないが強烈。比較的ミドルテンポで攻撃性が高い。
2.God Knows 03:35 ★★★★★
リフ、ザクザクとした刻むギターリフ、そしてえぐるようなベースリフが入ってくる。そこからツービートで疾走へ。ブレイクダウンパートも入ってくるが、バンド全体が有機的に蠢くような感覚。疾走とブレイクダウンのつなぎ方がナチュラル。最後にビーチボーイズのGod Only Knowsが流れる。これ、1曲目冒頭の車の中のシーンが続いていたのか。音飛びしながらリフレイン、この空気感は退廃的でカッコいい。
3.Forced To Stay 03:55 ★★★★☆
カッチリした、メタリックな質感の曲。リフがあり、デスメタル風、メロデス風に疾走していく。ブレイクダウンしてヘヴィな咆哮、サイレンの音のような、いや、何か幽霊の音のようなヒヨヒヨした浮遊音、ホラー感のある音が鳴っている。ジャケットの印象と言い、どこかオカルト的な雰囲気もあって、それが虚仮脅しではない迫力というか世界観に繋がっている。最後はまた静かなパートへ。曲の終わりにドラマがあるな。
4.Contorted in the Faille 03:55 ★★★★☆
前曲の終盤、幽玄なギターサウンドが響くパートからそれがギターリフとなって曲が始まる。そこから疾走に移る。おお、これはカッコいい。デスメタルと直情的なハードコアがミックスされ、オカルト的なコーラス、雰囲気が加味された印象。これも駆け抜けた後、曲後にちょっとした風景音が入る。
5.Return to Passion 01:13 ★★★★
カオスな音像、プログレッシブデス的でもある。短い曲だがほかの曲とそこまで質感は変わらない。やけくそで疾走する、というわけでもなく単に岩城よく曲が終わるだけ。
6.Permanent 04:42 ★★★★★
ささやき声からスタートして疾走、リフとボーカルが絡み合う、そこから高速エイトビートへ。オカルト的な、ダークなブラックメタルのムードもある。クレイドルオブフィルスとか。さまざまな音が入り乱れて出てくる巣窟感。曲構成は練られていてプログ、ポストメタル的。激情を音像に結晶化したような佳曲。激情の中にかすかなメロディアスさが浮かび上がっjてくる。