熊襲出雲東国平定し倭建は日本武尊へ
やまとみずほの国に生まれて 第三十一話
第ニ十六話「八咫鏡と草薙剣を宮外に祀る崇神天皇」にて語った日前宮が、倭比売が倭建西征の際に女性の衣装を、東征の際に草薙剣を授けた舞台だ。何せ日前宮には八咫鏡・草薙剣がそろい、倭建のかかさんは和歌岳彦の女の播磨稲日大郎姫だ。第四話「紀伊は木の伊の国にして狗奴国」の通りだから日前宮が国譲り後の国津神の首都だが、木の国は須佐之男息子の五十猛だ。
五十猛は伊太祁曽神社に祀られるが、日前宮の地から遷座させられ、五十猛は伊建とも書けるし、和歌岳彦は四道将軍の木眉津彦と異母兄弟。異母と言っても二人のかかさんは姉妹にして第七代孝霊天皇の后だ。そして木眉津彦のかかさんが倭国香媛だ。倭比売を想像するし、倭建は伊建のもじりかも。さらに東征のお供に日本書紀は吉備武彦、古事記は御鋤友耳建日子と記す。
日本書紀には元伊勢があり、伊勢神宮に八咫鏡を祀ったのは倭比売を記すが古事記では倭比売にバトンタッチせず豊鉏入日売が祀る。鋤も鉏もスキだ。古事記は王権確立前の物語をそのまま記したから悲劇の英雄が必要だったのだろう。日本書紀創作時はハッピーエンドで倭建は兄殺しもせず、ととさんの第十二代景行天皇との関係も良好だ。ここは古事記が有名なのが面白い。
悲劇に仕立てるなら名前は重要だから、別名を与える。お兄ちゃんが大碓で倭建には小碓の本名がある。熊襲と出雲へはお供なく騙し討ちが、東征とは全く戦い方が違うから、西征はお兄ちゃんの成果かもしれない。兄殺しから戦死したことを想像させる。御子を単身討伐に行かせるなんてあり得ないし第十四代仲哀天皇が熊襲征伐で戦死する話へすり替えたと勘ぐってしまう。
ハイライトは草薙剣で火攻めを迎え撃つ。焼津となった由来とあるけれど、これは富士山の溶岩流による火災をパクったような。相模から上総へと渡る際に、海を鎮めるため弟橘比売が入水するが、橘は国譲り前の狗奴国首都。これは天津神から国津神へ完全勝利宣言だ。倭建の辞世の歌は最高傑作だが美夜受比売と結婚後に、徒手空拳で伊吹の神に立ち向かう話が意味不明だ。
第二十話「八咫鏡が偽りなら草薙剣は裏切りの剣?」にて草薙剣は熱田神宮に祀られるからの美夜受比売だが、こういう訳の分からない話には、重大な暗号が隠されている。瀬織津姫が海へ流し速秋津比売が飲み込み気吹戸主神が息吹を放ち、最後に速佐須良比売神が罪や穢れを始末する。神道において祓を司る神だ。気吹戸はイブキドと読む。倭建は国津神のスケープゴート。
王権に逆らうと死を迎えるの暗示。皇室神道に従え、祓え給い、清め給え。
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