
天照と素戔嗚の誓約の真の理
宇気比とは神意がどちらにあるかを問う、古代日本の占い。予め占いの結果を宣言し、その通りになったかで判断します。須佐之男は天照と戦う意志はないと宇気比を提案しますが、天照と須佐之男の時代に、まだルールは確立されていません。
前話「三種の神器の八尺瓊勾玉の信の実」、須佐之男は根の堅洲国を罷免してもらおうと、天照が住む天に上った。伊耶那岐は追放したのではなく、根の堅洲国に留まれでした。天照は只の地震を須佐之男が攻めてきたと、迎撃準備します。
須佐之男の邪心無き言訳に「心清きを如何に示す」と問うと、須佐之男は「請けいにて子を生まん」と場所を変えます。【ツクヨミノマコト】「高天原は天球!神道の道は道教の道?」、天は高山、須佐之男が船で上った先は、阿波にある伊都です。
【ツクヨミノマコト】「三種の神器の神剣の忠の実」にて、剣山の大山津見へ天鳥船が漂着し、阿波の大宜都比売を開拓、天鳥船はノアの方舟と、神生みが語っていると紐解いた。大宜都比売を祀る上一宮大粟神社の神山町に流れる鮎喰川、剣山近くの劔神社まで遡る穴吹川とは繋がっていない。
式内社では唯一大苫邊尊を祀る宅宮神社の「出雲歌」
伊豆毛の国の伯母御の宗女 御年十三ならせます こくちは壱字とおたしなむ
魏志倭人伝が記す台与も13歳、伊都が「イツー」へと変化して、今は一宇と記す壱字かも。剣山登山バスが通う貞光川の上流はかつて一宇村だった。八紘一宇は大東亜共栄圏の悪しきスローガンにされたが、神武天皇は平和を願った。全世界が一軒の家で住むが如くに。八紘一宇の一宇は伊都、一宇が天皇家発祥の地の意味かもだ。
しかし請けいを行った天安河、吉野川水系に候補地がない。天安河の中に置いて、天照は須佐之男の十拳剣を乞い度し、三段に打ち折りて、ぬなとももゆらに、天真名井に振り滌ぎ、さ齧みに齧みて、吹き棄つる息吹の狭霧に成りませた三柱、多紀理毘賣、別名が奧津島比賣にて、胷形の奧津宮にます。次に市寸島比賣、別名は狹依毘賣、胷形の中津宮にます。次に多岐都比賣、胷形の邊津宮にます。胷形の君らが斎く。
天安河の中に置いてとは文字通りなら何か置いたはずだ。それは須佐之男の十拳剣だ、川原に置いても河でいいだろう。三段に打ち折りての原文は「打折三段」だが、段は朱書き。元は旋盤の旋の方偏が金偏、折の手偏が示偏の方が納得する。三回祈ったから三柱生まれる、指折り数えるとも言うから、おまじないを唱える決まり文句が、「折旋(金偏)」かもだ。
「ぬなとももゆら」がおまじない、そして打と折の間に二点、折って打ったなら理解できるが、打ち折りてにはならない。そしてさ齧みに齧みての原文は「佐賀美尒迦美而」です。フリガナは「サカミニカミテ」、噛むの字が賀と迦で違う。須佐之男の剣を噛み砕いて、天真名井に振り滌いではいない。天真名井を酒見に神、「君の名は。」名シーン「口噛み酒」。愛知県一宮市に鎮座する酒見神社、倭姫命が滞在した元伊勢、酒造の神で酒部公の祖である、酒弥豆男神らが祀られます。
酒見神社の由緒も、佐賀県の本当の由来も秘せられました。、天真名井の水を口噛み酒のように噛み、吹き放ったから狭霧。須佐之男の十拳剣も三種の神器、草薙剣に形無く有るは形代。須佐之男が八岐大蛇を退治し、天叢雲剣として天照に献上。実際は須佐之男の十拳剣が欠けて、天叢雲剣となりました。
剣は武力の象徴、武力を誇る部族、草薙剣と名を変えるのは、同じ氏族でも駆けつける武将は、時代が違えば人も変わる。熱田神宮に祀るのは形代、壇ノ浦に沈んでも何の問題もない。皇居に祀られる形代は、伊耶那岐の魂だけあれば十分だろう。
しかし三種の神器は三種の神器、噛み砕くとはとんでもない。そして須佐之男が酒見に神で生む五柱、天安河に置いたのは、天照が持つ三種の神器「八尺勾璁之五百津之美須麻流之珠」。吉野川の重要な港、岩津の水をあさった阿波の青石、緑閃石。
左の御髻の珠から正勝吾勝勝速日天忍穗耳、天皇家の系譜。右の御髻の珠から天菩卑、その子の建比良鳥の子孫には、出雲國造、无耶志國造、上つ菟上國造、下つ菟上國造、伊自牟國造、津島縣直、遠江國造等がいると記します、また御鬘の珠から天津日子根、凡川内國造、額田部湯坐連、木國造、倭田中直、山代國造、馬來田國造、道尻岐閇國造、周芳國造、倭淹知造、高市縣主、蒲生稻寸、三枝部造等の祖。左の御手の珠から活津日子根、右の御手の珠から熊野久須毘。
日本神話最大の目的は、皆々様の神様はみんな仲間ですから、古事記編纂時に活躍する氏族の祖は全て語ったでしょうか。「国生みは天照と素戔嗚の誓約に符号する」、魏志倭人伝では「倭女王卑彌呼 與 狗奴國男王 卑彌弓呼 素 不和」。邪馬台の女王日彌王と、御長国の男王日彌武王は元より不和。與を月読の「ヨ」、素を素戔嗚の「ス」に見立てて神話化。
卑弥呼は宮殿に引き籠る、その弟の天照が狗奴国王と論争が天照と素戔嗚の誓約、して生んだ子は屈服させ支配した相手、国産み神話で征服した地と、誓約で生まれた子は符号する。祭祀の力で宗像三女神は遷座、武力で五柱が治める地を制圧。そしてそれぞれの神器を請けおって、生まれた子であるから、天照は「珠の五柱が吾が子、剣の三女神は汝の子」と詔する。
火之迦具土神を斬った、「天之尾羽張」は天忍穂耳であり、神話上「天之尾羽張」を振ったのは伊耶那岐でしたが、最強の建御雷之男神はその時に天之尾羽張から生まれた。剣から生まれた子が男神なら武力となる剣になりますが、女神は剣にならないから攻め入る邪心は無かったと、須佐之男は「我は請けいに勝った」と天照に曰うのです。
この時の宇気比は、相手の武器を請け負って占いました。女神生む須佐之男が清き心、男神生む天照に邪心有りか。次は日本神話の最大の名場面、天岩戸は卑弥呼の死の神話化、その後の国譲りは邪心でしょ。その前に誓約の舞台の天安河、世の中が真っ暗となり、困った神々が会議したのも天安河。古事記に不思議なく、宇気比の呪文こそ極秘の暗号かもです。
【ツクヨミノマコト】(古事記全文解読シリーズ)
三貴子なのに古事記では活躍しない月読尊。きっと天皇家を陰で支えた氏族が信奉しました。古事記を全文解読し、謎の神ツクヨミのマコトに迫り、日本古代史に光を当てます。まだまだ古事記には暗号が埋まっています。暗号だけじゃなく、恣意的に誤訳しています。どんどん解明していきますから、フォローして楽しんで頂けたら幸いです。