蘇我物部抗争に皇統も愛欲入り乱れる
やまとみずほの国に生まれて 第四十一話
時代を超えた日本神話最後の超絶ヒーロー、聖徳太子は教科書から消えた。第四十話「継体天皇が隠す真の王朝交代」にて、雄略天皇の後、継体天皇まで行政記録がなく幻と書いた。継体天皇を継ぐ3人の兄弟天皇は、雄略天皇の皇子。安閑天皇は広国押建金日命、勾金橋宮。宣化天皇は建小広国押楯命 檜隈廬入野宮。嫡男欽明天皇天国押波流岐広庭天皇、磯城島金刺宮が最後。
安閑天皇と宣化天皇の在位期間は5年と3年。日本書紀の紀年に矛盾があり 安閑宣化朝と欽明朝の並立説、継体朝から欽明朝の間に内乱説が存在する。
継体天皇が幻だから辻褄が合わせが大変だ。宣化元年に蘇我稲目の大臣就任が記されるが、事蹟らしい事蹟は欽明13年百済からの仏教公伝だ。蘇我氏と物部氏抗争が始まる。蘇我稲目は大陸諸国と共同歩調、仏教へ帰依する。
第三十五話「狭穂姫忘れ形見復讐に現る八幡神は秦氏」。垂仁天皇の皇子の応神天皇を武内宿禰が担いで王権奪取。蘇我氏の祖は武内宿禰にて渡来人の秦氏だから賛成し、一方神武以前から従う物部尾輿と中臣鎌子は反対する。
日本神話の神生みの最初は、風や木や野の自然の神々だ。神様仲間づくりの冒頭に語る意味は神道最強。欽明天皇は稲目に私邸を寺にすることを許す。
疫病が流行ると、神への冒涜と物部尾輿は寺を焼き払うが、疫病は止まずに遺恨が次代に残る。次代の天皇家は皇統史上最大四人の兄弟が即位。四人目は最初の女性天皇の推古天皇。皇太子の聖徳太子が推古天皇より早く逝去。四人兄弟の関係が複雑怪奇、愛欲入り乱れる。敏達天皇は沼名倉太珠敷命、百済大井宮。最初の皇后は広姫だ。一代前の和風諡号にある広が出てくる。
広姫は息長真手王の女、神功皇后は息長帯比売。息長が出てくると怪しいが息長真手王に出自がない。しかももう一人の娘の麻績娘子は継体天皇の妃。継体天皇と敏達天皇は祖父と孫はかなりの錯乱。二代目皇后が額田部皇女、後の推古天皇。二人の間にできた竹田皇子が次代を担うはずが、敏達天皇の崩御時には幼く、いつの間にか歴史の表舞台からは静かに退場してしまう。
即位するのは用明天皇は橘豊日命、磐余池辺雙槻宮。用明天皇と推古天皇のかかさんは、稲目娘の堅塩媛。敏達天皇と違い仏教を実質公認し、蘇我氏の隆盛が始まる。しかし用明天皇は短命。在位2年で崩御すると物部守屋は、欽明天皇皇子の穴穂部皇子と通じる。崇峻天皇長谷部若雀天皇、倉梯柴垣宮
穴穂部皇子と崇峻天皇のかかさんの小姉君は堅塩姫と姉妹、即ち稲目の娘。
第三十八話「夢は枯野を駆け巡る?応神王朝は友ヶ島」、愛媛は兄姫、弟姫と同じで実体がない。穴穂部皇子が物部守屋と通じたのは、兄の敏達天皇の崩御時に、皇位継承に手を上げたが蘇我馬子が指名したのは兄の用明天皇。馬子は我が甥なのに物部守屋もろとも穴穂部皇子を殺める。仏教公認争いは表面上で凄まじい権力闘争だ。そして蘇我馬子は担いだ崇峻天皇をも殺す。
崇峻天皇にすれば、兄を殺した蘇我馬子をよく思わず、誤解が重なり関係が悪化し、決定的となったのが、崇峻天皇が献上された猪の目を笄刀で刺して「猪の首のように 自分が憎む者も斬りたい」と本音が出た。馬子は自分の事だと偽りの儀式で部下に暗殺させる。同じ皇族ではなく、臣下に暗殺された唯一の天皇となる。大化の改新で蘇我氏は悪者になるから割引は必要だ。
この後に皇位継承するのは相当の覚悟がいる。推古天皇は豊御食炊屋比売命 豊浦宮にて即位し小墾田宮に遷都する。推古朝は35年も続き、聖徳太子は皇太子のまま逝去する。聖徳太子は穴穂部皇子と崇峻天皇の同母姉である、穴穂部間人皇女と用明天皇の間に生まれる。即ち両親が異母兄弟にて四人の兄弟天皇はみんな稲目の孫。そして聖徳太子は稲目の曾孫。馬子は大叔父。
推古朝を仕切るのは、どう考えても蘇我馬子から蘇我蝦夷。日本書紀に記録されず隋書に記される600年の遣隋使。この後603年には冠位十二階を604年には憲法十七条を制定する。蘇我氏の成果を奪うため、聖徳太子は発明された。聖徳太子は漢風諡号みたいなもの、初出は752年懐風藻だ。古事記は上宮之厩戸豊聡耳命と記し、略して厩戸皇子だが虚構説が優勢だ。
教科書も一切記載しないのが大半。蘇我氏の成果を奪うならなぜ推古天皇の成果にしなかったか。超絶ヒロインが神功皇后と二人はまずかった。ちなみに厩戸皇子はキリスト誕生と同じ逸話。かかさんの穴穂部間人皇女は、厩戸の前か、出た所で生んだ。穴穂部の由来は石上穴穂宮、安康天皇の皇居だ。第三十九話「応神王朝の政権確立が内部闘争を着火」。実際は東かがわ市。
石上神社の前に馬宿川が流れるのは必然。そして厩戸皇子は命の危険を感じ斑鳩に居を移す。奈良盆地には平城京と藤原京を南北に結ぶ古代幹道として上ツ道・中ツ道・下ツ道が約2kmで平行に走る中、斑鳩と飛鳥を結ぶ斜めの筋違道が太子道として名を残す。聖徳太子は飛鳥に居を構えず、斑鳩から飛鳥まで通う。道に名を残すのはよっぽどのことだ。全くの虚構ではない。
真の王朝交代を隠すため古事記は継体天皇を捏造。犯人は天智か、天武か。