山鹿 たつ

会社を辞めて個人投資家をやっています。長野県の田舎に住んでいます。おもに読書の感想を書いています。読書の範囲は哲学が多いです。考えることが好きで、いつも考えていることを書けたらいいと思っています。

山鹿 たつ

会社を辞めて個人投資家をやっています。長野県の田舎に住んでいます。おもに読書の感想を書いています。読書の範囲は哲学が多いです。考えることが好きで、いつも考えていることを書けたらいいと思っています。

最近の記事

映画感想文 「君たちはどう生きるか」 贅沢な瞬間を生きさせてもらいました。

宮崎駿監督の「君たちはどう生きるか」を見ました。感想を書いてみたいと思います。 宮崎駿監督作品で、私が覚えているのは「未来少年コナン」ですみ。オープニングのギガントがビルの上を飛んでいる不気味さに度肝をぬかれ、コナンの冒険譚をワクワクしながら見たのを覚えています。それから「カリオストロの城」がありました。私には押井守とともに同時代を生きたアニメ監督です。 宮崎駿監督も今年で83歳です。「君たちはどう生きるか」と「風立ちぬ」の間は10年間が空いていることを考えると、これがも

    • お金と富は違うものだけど、同じようなものでもありそう

      過去の記事で、私は富について書いたことがあります。一つではなく何個か書いています。たまに記事の中に出ることもあります。富について書いてみたいと思ったのは、お金について考えることが多いからです。お金とは不思議なもので、大きな額の遺産相続ともなれば、血を分けた兄弟で争いあうようになったり、はては強盗に入り人殺しまで起きてしまう。 逆にお金とは交換の単なるツールに過ぎず、大した意味はないという人もいます。難しい言い方をすれば、お金は媒介であり、実体ではないといえます。しかし、お金

      • 卓越(アレテー)はギリシャで徳目を持った者のことを表す。勇気について

        プラトンは統治者、戦士、生産者について語りました。この中で戦士は守護者ともいわれ、対応する徳目として勇気をあげました。徳とは卓越した人間に必要とされる要素です。徳のある人間こそ理想の人です。どんな徳目があるのかというのは理想を語るときに必要とされます。 勇気とは、ただ無謀なことを行うことを勇気とはみなしませんでした。理性に従いながら見極める力がなくてはなりません。戦士は、外部からの脅威から国家を守り、内部の秩序を維持する役割を担います。 勇気とは戦争と結びついています。で

        • 「勇気」と「正直」と「親切」三つの徳目 どれも大事です。

          内田樹の「勇気論」を読んでいていろいろ考えました。 例えば勇気とは徳目の一つです。持つといいことの一つとされてきました。私の中で勇気とは戦うということと結びついています。戦うということは敵がいるわけです。もちろん友もいます。敵と友に分けるわけです。そこに気持ちの悪さを感じます。人類みな兄弟。すべての人は友であるとは私も考えません。人をだまそうとする人間も世の中にはいます。人を傷つけようとする人間はいます。だから戦わなくてはならない場合があります。それはわかります。そうして戦

          読書感想文 「雨の日の心理学 こころのケアがはじまったら」東畑 開人 「野火」大岡 昇平   ケアの倫理と豊かな社会について

           「雨の日の心理学 こころのケアがはじまったら」東畑 開人著と「野火」大岡 昇平 著の二つを続けて読むことになりました。読んだ感想です。 二つの本は一つは現代の日本の状況で誰かのケアをしなければならなくなった人に向けての話と、もう一つは第二次大戦中の日本兵がフィリピンでジャングルの中をさまよう話です。まるで違う世界の話です。一方は私の知っている世界の話であり、もう一方は私の知らない世界の話です。 その隔たりに戸惑ってしまいます。現代と過去。平和と戦争。いくらでも言葉を並べ

          読書感想文 「雨の日の心理学 こころのケアがはじまったら」東畑 開人 「野火」大岡 昇平   ケアの倫理と豊かな社会について

          創作 労働とは何か

          労働とは何か。 まず書いてみる。 不思議な感じがする。 分かるようでわからない。 道路でスピード違反を取り締まるのも労働。 コンビニでレジを打つのも労働。 クライアントにプレゼンするのも労働。 それらはみんな労働という本質を持っている。 固い言葉だ。 本質って何だろう。 労働は尊い。 労働によって自由を。 生きがいをあたえるのも労働。 労働とは賃金を得るものだと定義する。 また固い言葉だ。 定義する。 労働に貴賤はないという。 ならどうしてすべての労働は同じ賃金で

          創作 労働とは何か

          ほうとするほど長い砂浜は、また、目も届かぬ海が揺れている この世の先は異世界です

          「孤独の発明」三浦雅士を読んでいました。「孤独の発明」は日本の古典を読み解いていく本です。日本の古典の研究書も多くひかれています。この中の一説のことを書いてみたくなりました。 これだけではわからないと思います。私の強引な考えでは、この世の果てに対する想像力の問題ではないでしょうか。 この世の果てには何があるのでしょうか。地球には果てはなくどこの場所に行っても人が住んでいます。言葉も違い、社会の仕組みが違っているとはいえ、それでも人間が住んでいます。世界の果てはなく、どこに

          ほうとするほど長い砂浜は、また、目も届かぬ海が揺れている この世の先は異世界です

          映画感想文 映画「658km、陽子の旅」 言葉はいつも裏切る。

          映画「658km、陽子の旅」を見た。説明台詞がほとんどなく、全体に説明が少ない。その部分を見てつまらないという人もいると思う。主人公が何を考えているのか、こちら側が読まないとわからない。紹介文をAIに書かせると以下のようになる。 また「658km、陽子の旅」は、2023年の第25回上海国際映画祭にて、最優秀作品賞をとった。菊地凛子は最優秀女優賞をとっている。この映画を見てまず思ったのは、「パリ、テキサス」に似てるということ。どちらもロードムービーになるだろうし、最後に主人公

          映画感想文 映画「658km、陽子の旅」 言葉はいつも裏切る。

          創作 「虫との生活」

          あの戦争から15年がすぎた。はじめの混乱も徐々に落ち着きだしていた。ただ超熱爆弾の影響で海岸線がえぐられたため海がこの近くまできていた。水が町の中を流れていて、いつもジメジメしていた。気候変動で雨が降るのが多くなり、水はけが悪くなっていた。 インフラも破壊されすべての時代が逆回りしたかのようだった。高度な電子技術もいつか再生できると印刷物には書いてあった。かつては画像も瞬時に送りたい相手に届いたという。今送れるのは紙に書いた文字がやっとだった。新聞も発行され出している。世界

          創作 「虫との生活」

          株式投資はデジタル化で大いに変わった。投資家にメリットは大きい

          デジタルで変わったことは投資の世界では色々あります。従来、株式売買委託手数料の水準は固定されていましたが、1999年10月には完全自由化され、証券会社が独自に手数料体系を定める ことができるようになりました。これはイギリスの金融規制の緩和によって金融業がロンドンで発展したのを参考にされました。1990年代後半に日本で行われた金融規制緩和の一環として、株式手数料の自由化は重要な政策でした。金融ビックバンとも呼称されています。 ちょうど時期的にインターネット取引の勃興もあり、日

          株式投資はデジタル化で大いに変わった。投資家にメリットは大きい

          決断はきっぱりしてて、いい気もするけど、好きにはなれない

          私自身は勇敢さという美徳が好きになれません。ウジウジしていることや決断できないのが好きです。あるいは逃げ出すこと、隠れることのほうが好きです。 私の仕事は個人投資家として主に株をやっています。私は仕事と思って投資をやっています。はたから見ればフラフラしているだけに見えると思います。結構真面目にやっています。 そして仕事では決断します。売るか買うかそれを決めるのが仕事です。結局誰にも、買うべきか、売るべきかはわかりません。根拠は薄くても決断します。決断するのが仕事とも言えま

          決断はきっぱりしてて、いい気もするけど、好きにはなれない

          読書感想文 「交渉人」を読んで

          「交渉人」 五十嵐貴久を読みました。アマゾンのリンクを張っておきます。 この本は改訂版です。私が読んだ本は改定される前の本です。「交渉人」ではスマホでない、昔の携帯電話が大きな役割を果たしています。改訂版では携帯電話がスマホに変わって大きく変わっているようです。いつでも連絡の取れるパーソナルな通信機器としての登場は画期的でした。家にある固定電話から、ひとりひとりが通信機器を持ち歩くというのは、個人化をさらに推し進めることになりました。 「交渉人」はシリーズ化されて、何冊が

          読書感想文 「交渉人」を読んで

          住むとは違って観光客としてあること

          観光客と風景について書いてみます。 映画を見ていると、岩でできた土地を見ることがあります。岩の上に草が生えていて、草原というよりも荒れ地という心象を与える風景です。緑に覆われた大地が目を引きます。緑という色が飛び込んでくると同時に寒々とした風景です。私の住んでいるところとは大いに違う風景です。 私の住んでいるとは両岸を山脈で囲まれた谷状の土地です。西側には東塩見岳(3,047m)、悪沢岳(3,141m)、赤石岳(3,120m)、聖岳(3,013m)などがあり、東側には経ヶ

          住むとは違って観光客としてあること

          映画感想文 「ヘルレイザー」を見て 地獄って怖い

          映画「ヘルレイザー」を見た。私が東京に住んでいた時に話題になっていた映画だから、ずいぶん昔のものだ。「ヘルレイザー」は、1987年9月10日にイギリスで公開されたホラー映画だ。監督はクライヴ・バーカーで、原作は彼の小説「ヘルバウンド・ハート」である。予算は潤沢ではなかったのであろうと思われる。ハッキリ言えばチープ感が漂う。 紹介すると、物語は、古いパズルボックスを手に入れた人々を中心に展開する。このパズルボックスは、解かれることで究極の快楽をもたらすと伝えられてるが、その真

          映画感想文 「ヘルレイザー」を見て 地獄って怖い

          複数の変換空間を持つこと 廻向と労働と変換と商品 お金と善悪

          マルクスは資本論の最初のほうで商品の分析から始めました。商品とは市場でやり取りされる物です。富とは巨大な商品の集合体のことを指します。なぜ無味乾燥な商品の分析から始めたのでしょうか。それは労働もまた商品の一つであり、労働者階級とは労働しか売るものがない人々だからです。別の商品を持っていれば労働を売ることなく、商品を売ることによって利益を得ることができます。 事業を起こして商品を作ることができれば、そこから利益を得ることができます。もちろん言うは易しです。事業が必ずうまくいく

          複数の変換空間を持つこと 廻向と労働と変換と商品 お金と善悪

          あじさい寺 深妙寺をみに行ったよ

          パスポートを受け取りに行ったついでに、深妙寺に行ってきました。深妙寺は伊那にあるあじさい寺と言われています。ユーチューブ動画を上げてくれている人がいるので貼り付けておきます。 長野県伊那市に佇む深妙寺は、200種2500株もの紫陽花が咲き誇る「あじさい寺」として親しまれています。6月中旬から7月中旬にかけて、境内は色とりどりの紫陽花で埋め尽くされます。 鎌倉時代に日蓮宗に改宗された歴史ある寺院で、本堂には伊那観音や三十三観音が安置されています。また、境内には2000個の挽

          あじさい寺 深妙寺をみに行ったよ