卓越(アレテー)はギリシャで徳目を持った者のことを表す。勇気について
プラトンは統治者、戦士、生産者について語りました。この中で戦士は守護者ともいわれ、対応する徳目として勇気をあげました。徳とは卓越した人間に必要とされる要素です。徳のある人間こそ理想の人です。どんな徳目があるのかというのは理想を語るときに必要とされます。
勇気とは、ただ無謀なことを行うことを勇気とはみなしませんでした。理性に従いながら見極める力がなくてはなりません。戦士は、外部からの脅威から国家を守り、内部の秩序を維持する役割を担います。
勇気とは戦争と結びついています。でも勇気とは戦争と結びついているだけではありません。ほかの結合も考えられます。今なら、例えば新しいことに挑戦することも勇気という言葉が使われます。今の会社を辞めて、新しい仕事に転職することも勇気という言葉が使われます。
動物というのはそもそも新しいことをするのを嫌うのでしょう。自らのテリトリーを出ていくことを嫌います。人類はアフリカで生まれたといわれています。人類が遠大な旅とともに全世界へと広がっていきました。環境が悪化したために旅立たなければならなかったのかもしれません。あるいは敵対するグループから逃れるためだったのかもしれません。様々な理由によって、急き立てられ旅立ったのかもしれません。
もっとありそうなことを考えれば、狩猟採集で生活していたグループがどんどんと新たな生活圏を求めて移動したのかもしれません。わずかな狩猟用の武器と生活品を持って移動したのかもしれません。なし崩し的な旅が世界を巡ったのでしょう。旅が勇気のありかだったのかもしれません。
旅と勇気は人類の最初からあった組み合わせだったかもしれません。旅と勇気の組み合わせというような言葉の組み合わせを考えるのは創造です。私自身は環境が変わるのを嫌います。同じことを繰り返すのが最も安定しています。それだけでは成長はしませんね。無理はよくないですけど、どこかで勇気を持つ必要があるのでしょう。
ギリシャ人にとって、卓越した人間になることが幸福になることです。これは現代の日本人にはピンとこないとおもいます。幸福とはほしいものを手に入れること、そう考える人も多いと思います。いったいどんな徳目があるのか、それもまた不明です。新しい徳目を創造することも必要なことです。
正直や親切は徳目になるのかどうか、それらをもっと語ることによって新しい世界があるかもしれません。人を遠ざけるのではなく結合する徳目もまた必要とされています。