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映画感想文 「ヘルレイザー」を見て 地獄って怖い

映画「ヘルレイザー」を見た。私が東京に住んでいた時に話題になっていた映画だから、ずいぶん昔のものだ。「ヘルレイザー」は、1987年9月10日にイギリスで公開されたホラー映画だ。監督はクライヴ・バーカーで、原作は彼の小説「ヘルバウンド・ハート」である。予算は潤沢ではなかったのであろうと思われる。ハッキリ言えばチープ感が漂う。

紹介すると、物語は、古いパズルボックスを手に入れた人々を中心に展開する。このパズルボックスは、解かれることで究極の快楽をもたらすと伝えられてるが、その真実は恐ろしいものだった。解いた者は異次元から魔物たち(セノバイト)を呼び寄せてしまう。フランクは、このパズルボックスを手に入れ、その恐るべき秘密を知ってしまう。

快楽を求めて箱を開けてしまうフランクが、異次元から徐々によみがえり、ほとんど骨でしかなかったものが肉がついていく様子も面白い。異次元から逃げてきて、現世に現れるために人の血が必要なのも、まさに地獄の様相をていしている。これが箱に魅入られたものの末路であろう。

この映画では快楽と地獄が共存している。極楽とは苦しみのない世界であり、生老病死などの苦しみや、煩悩による心の苦しみがない世界だ。清浄な世界でもある。 穢れのない清らかな世界で、美しい自然や建物に満ちている。音楽や光、香りなど、五感が満たされる喜びに満ちている。さらに 時間の制約がなく、永遠に続く世界だ。でもヘルレイザーの異次元はちがう、快楽を与えるといい、苦痛に満ちた地獄と同じに見える。永遠であるのは同じのようだ。

その世界はサドマゾのイメージによっている。性的な快楽と苦痛が同居した美的な世界である。ヘルレイザーではまさに異形の物を作りだした。その代表がピンヘッドであろう。顔にピンが経度と緯度を表す交点のところにピンが無数に刺さっているというのはまさに異形である。この怪物こそヘルレイザーの世界観だ。快楽の守り神が、苦痛に満ちた地獄の獄卒であるピンヘッドである。

フランクだけでなく、フランクを現世によみがえらせるために人を殺し続けるジュリアもまた箱に魅入られている。フランクに導かれているというよりも、性的な快楽に魅入られていると解釈すべきであろう。

この映画にあるのは、身体とは痛みとともにあるものであるという洞察である。私はふだんは、身体のことをあまり意識しない。肉体などない気がするほどだ。でも痛みをいったん感じると、痛みが関心が痛みに一気に集中するようになる。痛いと何とか痛みから逃れたくなる。思考もできなくなる。肉体がすべてを支配するのだ。肉体のリアリティがよみがえるともいえる。だからフランクはよみがえるのだ。荒唐無稽な物語にリアリティを与えているのだ。

ヘルレイザーは続編が多く作られています。人気なのも独特の美学が多くの人に共感されたのだと思う。



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