【映画感想】日本国民に課された新たな教養のひとつとして|劇場版アニメ「ベルサイユのばら」
クールジャパン
今回は、2025年1月31日に全国ロードショーとなった劇場アニメ「ベルサイユのばら」からを観たあれこれを記事にしたいと思います。
どんな話か?
いまさら説明するまでもないでしょう。
ただ、少し講釈を垂れますんで、温かい目で見ていただきたく存じます。
前提
完全アウェイ
私は、本作を封切り日に観に行きました。
もちろん、
でです。
たまたまなんですが、 #TOHOシネマズ仙台 でチケットを購入し、開演ギリギリに暗がりの中で席に座りました。
よくわかんなかったですけど、上映後に座席を振り返ると、
感じでした。
実際には、男性はいたかもしれませんが、
という謎の空気感で鑑賞してたんですね。
とはいえさすがは不朽の名作
毎度のことですが、事前情報なしで観てます。
つまり、
をほぼ知らない状態で観ています。
さすがに、オスカルが男装の麗人であること、舞台がフランス🇫🇷であることくらいは知ってましたかけどね。
それを差し引いても、
という納得感があった作品でした。
それもあり、来場者特典のこちらに↓
公式パンフレットだけでなく↓
なんかグッズも買ってしまいました↓
さすがに塗り絵はやらんだろうと思いますが、大人買いしたグッズを傍に置いて、話をしたいと思います。
当代随一
まず、劇場でキャストを見たとき、
は大変安心感を持ちました。
まず、令和7年1月現在の日本の声優界において、この2人の存在は突出してると、私は思います。
多分、2人の実力であれば、オスカルとマリー・アントワネットの役を逆にしてもこなせたかもしれません。
ただ、
という軍人としてのフェーズは変わりながら、等身大である意味変わらないオスカルを演じていたのが、よく伝わりました。
また、
など、自分の心の葛藤はありながら、徐々に王女に変わっていくマリー・アントワネットを上手く演じていたと思います。
オスカルとマリー・アントワネットに関しては、もちろん作品の最重要人物であり、登場時の演出から「確変」するというギミックはあります。
しかし、「確変」を忘れるくらい、
沢城みゆきと平野綾
が
オスカルとマリー・アントワネット
の奥にある気高くもあり、儚くもあり、美しくもあり…という内なる女性の想いを言霊として現してくれたように、私は感じました。
「正史」・ベルサイユのばら
ベルサイユのばらを御存知の方からすれば、今回の劇場アニメでは、あの話がないとか、このエピソードが足りない…と不満に思うことはあるでしょう。
ただ、私からすると、今回の作品に限れば、オスカルの視点を中心に見た「正史」として
がそれなりの尺で描かれていれば、まず十分です。
そこに、
という(私が勝手に考えてる)本作の重要な背景が入っていれば、お腹いっぱいになりますね。
キャストが優秀であるが故の…
本作では場面場面の繋ぎで、出演者が想いを吐露する感じの劇中歌がたくさん歌われます。
もちろん、出来はいいので、アニメーションとセットで観るとわかりやすいといえばわかりやすいんですが…。
劇中歌を2/3くらいに抑えても充分想いはスクリーンから伝わってきたかなと。
こう思った私の中の背景に、そもそものキャラクターデザインを含む画像の部分にあるかなと考えています。
本作のアニメーションは、現代の技術を駆使しているので精度は高く、登場人物は言うまでもなく、背景もわかりやすく、それこそバラの花びらがクッキリわかるかも?と思わせるくらいでした。
だからこそ、もう少し劇中歌を「間引く」演出があったら、より作品に入りやすかったかもと思いました。悪くいえば、二郎系ラーメンをわんこそば形式で食べて、お腹いっぱいになる…感じもあったりしたんで。
敢えて使わなかった英断
ベルサイユのばらのアニメ…で思い出されるのは、あのオープニング。
angels様のカバーですが↓
そう、
薔薇は美しく散る
です。
しかし、本作では使われてません。
ここは賛否が分かれるかもしれませんね。
もし、作品内でマリー・アントワネットの最期がセリフとともに描かれたならば、必須だったでしょう。
当時のTVアニメのオープニングを観る限り、バラのさだめに生まれたオスカルの一生…という曲だとは思います。
と同時に、平凡な人生をかなえられなかったマリー・アントワネットもまた、バラの定めに生まれた1人だと思います。
この2人を表現できる楽曲の1つに、「薔薇は美しく散る」があると、私は考えます。
しかし、私の中では、令和のベルばらは、
の要素が強めだと感じています。
となれば、
オスカルとは対照的に生きて最期を迎えたマリー・アントワネットをも包含するイメージ…
がする楽曲敢えて使わなかったと思って観てました。
と思ってたら、絢香のVersailles - ベルサイユ -が劇場で流れてきました。
こちらは、Lyric Videoを観ていただいた方がいいですね。薔薇だけではない、登場人物たちの悩み、苦しみながら、運命に立ち向かう様が目に浮かびます。
新しい日本の教養
ベルサイユのばらは、1972年に発表されてから50年以上経った今でも、大切にされてきた作品群です。
この作品を、今回、改めて劇場アニメにするにあたり、興行的に失敗できない原作者をはじめとする制作者や映画の出資者の意向もあったり、ギャラの問題もあるでしょうが、当代の実力者が勢揃いできたことからも、その意気込みを感じます。
私も、この劇場アニメを鑑賞できたことは、大変プラスでした。
本作では、観た人がそれぞれのベルサイユのばらの世界観というか、テーマをさらに深掘りできる余白をたくさん残したものだと思います。
劇場アニメ「ベルサイユのばら」は、ベルサイユのばらのファンの方はもちろん、まだ観たことないという初心者にもおすすめできる作品だと思います。
もし、お時間があれば、劇場でご覧いただきたいですね。
(了)