デンマーク流から学べること山積み/今の日本人に読んでほしい
この夏デンマークを訪ねたわたしが、めちゃくちゃ楽しみにしていた本が出ました。タイトルは『デンマーク人はなぜ4時に帰っても成果を出せるのか』(針貝有佳著)です。
キンドル版もあります。
デンマークとスウェーデンを旅したことは、ここnoteにも記してきました。
このときの#8から#10までに登場するYさんこそが、この本の著者の針貝有佳さんです。ちょうどわたしとMさんのスーツケース追跡に巻き込んでしまい、3人で大爆笑しながらロラン島を楽しみ、さらに後半わたしがスリに合ってとんだ目にあったときにお世話になったのが彼女です。
この本の執筆に追われるど真ん中でおしかけてしまったのですが、デンマークのライフスタイルについて、彼女の口からも旅の中でいろいろと聞けたので本の発売をそれはそれは楽しみにしていました。
前置きはそのぐらいにして……
わたしは大声でこの本をお薦めしたい!!
現代の日本人こそ必要としていることばかりの内容です。書かれていることの多くが、どれもこれも日本とは真逆な発想だなと思って読みました。
たとえば、日本人のあなたに税金を収めたいですか?と聞けば、多くの人たちができるだけ払いたくないと答えると思いますが、デンマークでは政府が信頼できるので、税は社会人としての社会貢献として喜んでたくさん払いたいと答える方が多いそうです。
わたしがデンマークで有佳さんからきいたお話で、デンマークの学校では子どもたちの間違いを正さないというのが印象に残っています。子どもの間違いを正して、間違いを恐れる人になるぐらいなら、正さないほうがいいということのようです。これにはびっくりしましたが、日本のように間違えることはいけないこととし、失敗を恐れるようになるよりはいいかもと心から思いました。
それを裏付けるようなエピソードも紹介されていました。
デンマークの会社では、働く人々が失敗してもだいじょうぶという環境を整えているそうです。日本なら失敗は悪であり、何事も失敗しないことを求められるわけですから真逆です。失敗を恐れない、もし失敗しても組織が協力して対処してくれるという安心感があるからこそ、大胆にチャレンジできたり、新しいアイデアが生まれてくるのでしょう。
さすが生産性が高く、国際競争力2年連続1位の国です。
日本社会で良しとされていることは、デンマーク流では通用しません。ひたすら頑張ること、我慢することは美徳ではありません。たとえ、上司の指示でも、やる意味が見いだせないタスクは従わなくていい。
「つべこべ言わずにさっさとやれ」なんてのはありえないのです。
日本では未だそんな昭和流も生き残っている組織も多いでしょうから、仕事におけるストレスが高く、生産性もあがらないどころか、無駄な作業を仕事として強いられるのだと思います。
無理な我慢など続けても生産性は落ちるばかりです。自己犠牲のうえには、何ごとも成り立ちません。無理しない、無理をさせない人間関係がたいせつであり、お互いが楽だと思えることに合わせる平等な関係をキープすることで、全てにおいて良いエネルギーを生み出し、良い環境で仕事の循環をさせることができるのです。
働き方に対する意識が日本と違うのはわたしは教育と社会構造によるところが大きいと思います。この本を読めば、どっちの働き方がいいかと聞かれれば多くの日本人がデンマーク人を羨ましいと感じるはずです。
日本では「働き方改革」だとか「女性活躍」だとか、いろんな言葉が踊る昨今ですけど、改革はいつのことやら。そもそも、今の政治状況をみるだけでも絶望的な気持ちになります。
つい先日も日本の地下鉄や電車に夕方、乗り込むと疲労困憊した様子で寝ている会社帰りの人々を目にして、やるせない気持ちになりました。人生一度きりなのに、どうしてこんなに疲れ切ったようすで通勤しているのだろうと……ふだん日本に住んでいないため余所者の目がついているわたしには違和感すら覚えます。世界各地を旅してきた者としても、こんな光景は日本独特だと思います。
デンマークでは4時にはみんないなくなってしまうのです。実際、旅の間に4時には電話も通じなくてぎゃふんという経験もしましたが、お客さまは神さまでもないし、働く人々も人間ですから、必要以上に便利を追求するあまりに、働く人々の自己犠牲が伴うなら、その便利がほんとうに必要かどうかをもう一度考えなおして、みんなが幸せなライフスタイルを送ることができる仕組みに変えていけたらいいのにとつくづく思います。
デンマーク人は人生でたいせつなことを理解し、そのビジョンを持って、バランスよく仕事することを心がけているように思います。仕事に振り回されない。上司に振り回されない。会社の人間関係に振り回されない。心身の健康がだいじ。家族との時間がたいせつ。
いろいろが真逆の発想で目からウロコまちがいなしです。あまりにおもしろかったのでまた後日、取り上げたいと思いますが、今日は一人でも多くの人に読んでほしい本だったので、大急ぎで紹介しました。
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