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木工 物を作る事と金 / 「♡スキ」お礼画像の製作物 / この神棚製作者に対する想い

※この神棚は自分の製作では有りません、72歳の大工が作りました。説明は最後に書いてあります。
※仕事の宣伝では有りません。作りません。

自分はnoteのリアクション「♡スキ」お礼メッセージの画像に、弟の新築祝いに作った、炬燵の画像を使用しています。そう言えばもっと凄い神棚が、弟の家に有ったなと思い、更に幾つかの画像を送って貰いました。それを改めて見る内に、これは自分が文章にして、紹介しなければならないのではと、思う様になりました。

本当にどうでも良い事ですが、自分が作ってない製作物は「ありがとうございます」自分が作った製作物は「謝謝茄子」「ありがとナス」の返事になってナス。(本当にスミマセン)

以前、木工業はどう成って行くのかを、少し書きました。そこにも書きましたが、無くても普通になり立つなら、それで良いと思います。そう言う事は今迄にも沢山有った事です、でも今の所、その為の準備は進んでなく、単純に減少するだけで、余り良い方向に行く様には思えません。多分、既製品の値段が上がり、オーダー品は更に高く成り、職人の待遇はさほど変わらない。

この様な業種は他にも沢山有ると思います、今の所は何処にでも有り、超高度という程では無く、でもそれなりの技術経験者でないと、役に立たない。でも職人も小企業の経営者も、余り自覚が無いまま、主に何かを少しずつ削る事でやり過ごして来た。

でも、その中で飛び抜けた技術を、勝手に身に付ける人達が稀に居ます。そう言う人は会社には都合良くても、世の中には殆ど気付かれずに、消えていきます。
今は簡単に文章を発表出来る、この様な「場」があり、自分は何故だか最近、文章を書く様になりました。そこに使う画像がキッカケとなり、改めてこの神棚の事が気に成りました。知り合いの作った棚の画像も、偶々保存して有りました。
その人も特別綺麗に作る人なので、その2人の事と、ついでに自分の作った物も、合わせて書きたいと思います。


特別な人は後回しにして、最初は自分が作った弟の新築祝いの炬燵です。

天板を取った炬燵、全ての内角にL字金具で更に補強
天板クリアオイル塗装
椅子は既製品です
天板はアッシュ(タモ)脚はゴム集成材

最初は天板のみを作る気で居ました、今はネットで脚のみ簡単に買えて、天板だけならそれ程手間が掛からないからです。
それなのに弟は大きい炬燵が欲しいと、言い出したのです。お前は大工(今は辞めて違う仕事)なんだから、天板と炬燵ではどれ程、手間が違うか分かるだろと思いつつ、「まぁ考えて置く」と返事をしていまいました。

そこから炬燵の作りを調べ、色々考えると予想通り、天板を外した画像の形より簡単になりそうも有りません。(オーダー炬燵の店には、もう少し安い物で別の形も有りました。でもゴツゴツした感じに見える作りに成ってしまう)

炬燵の厄介な所は、天板と脚が固定されて無い事です、脚の上部が木の枠組みに、固定されてるだけなので作る側から見れば、構造的に華奢過ぎて壊れる心配が有ります。だから脚の上部には特殊な加工をして、補強金具が付いてます。
これを会社に有る機械を使うなら、少し工夫するだけで作れます。でも家の車庫に、持ち運べる道具で作るのは難しい。この時点でそれっぽい返事を改めて後悔しました。

下の加工をする為に三角の定規を2つ付けている
脚の金具の加工ここから、ノミと紙ヤスリで何とか整形

他の簡単に長さを決めて切れる所は、会社の休憩時間に終わらせています。上の斜め加工、他の様々な加工、微調整、組み上げる作業を車庫で、その年のゴールデンウィーク大半を使い、何とか終わりました。製作中は「炬燵出来らぁ」と言ってしまった自分が、無限ループしていました。

でも作って良かった事は、強度を出す為の普通は行わない様々な手間も、使い手が「元大工の弟」なら説明すれば分かります。


知り合いの「W」さん(50代)が作った書類棚です

引き出し本体に正面の飾り板が付く前、拡大すると右下の箱に70の数字が見える、「W」さんはこれを全て1人で作る
引き出しに正面板を付けた後
板に掘り込み加工をして取手金具が付いている
別角度から

この形を普通に作るなら、作業量が途轍も無く多くても、作り方自体に問題は無い。でもこの棚は普通ではないのです、この写真が残っている理由が普通じゃないから、普段は写真を殆ど撮らない自分が撮りました。

最初の画像をアップにすると分かりますが、全てに引き出しレールが付いてます。この幅では電動ドリル自体、入るか入らないかです、それを握れば手も入りません、だから写真を撮って作りの説明も聞きました。

何故、引き出しと引き出しの間に、仕切り板が有るのか?それは昔、そこに引き出しが乗っかり、支えていたから、これは単なる名残で無意味。一応理由としては、書類が1番下に落ちない為らしい。でも、これで「レールが壊れたら交換」出来ません。レール先付け後に、仕切り板が固定されているからです。

システムキッチンの取り付けを見てたら、取り外し可能な、プラ製の簡単な仕切りが手前に付くだけです。これは非常に合理的で、キッチン内部は給排水、食洗機の電気等、間口が広い程メンテナンスし易くなります。

少し説明を、この場合の「W」さんの客は、建主では有りません。多分この場合は、建主→設計事務所→建築会社or別の家具屋→「W」さんの流れだと思います。
この作りが誰の要望なのか分かりません、「W」さんが作りを変えた方が良いと、一つ上に言っても多分届いていません。ただ自分は絶対に、責任を取らない上で作ったそうです。

写真を撮り、作りの説明を「自分」に詳しく聞いて貰え良かったそうです。
この人の家具は自分の居る会社で、外注した中では、飛び抜けて綺麗、桁が違うと言って良い程違う。そんな製作物が他の作品と混ざりながら、どこかの家や店に人知れず取り付けられている。


この人には付け加える事が有ります。Wさんは飛び抜けて人が良いのです、間抜けな人の良さでは有りません、この人の工場には沢山の人が出入りします、誰にでも丁寧に温かく持て成し、困った事が有ればかなり面倒な事も手伝います。それと同時に誰にも媚びへつらう事も有りません。

その結果、この人には普通は起きない事が起きます、異常な程何かを貰います。この前は引越しの手伝いをして、3年程しか使ってない、冷蔵庫、テレビ、洗濯機、どうしても貰ってくれと言われたそうです。その前は数年しか使ってないエアコン、それをエアコン屋が無料で取り付け交換する。まだ車検も残っている普通に使える軽自動車を貰う、マウンテンバイク、薪ストーブ大1小2、家、まだまだ挙げ出せば切りが有りません。
何故この様な事が起きるか?それは、貰った物をとても丁寧に扱うからです。自分を丁寧に敬意を持って接してくれた様に。
この人ならくれた物を売り払っても、捨てても、それはそれなりに理由があるのだと、皆納得して「貰って貰う」という事です。少し持ち上げ過ぎかも知れません、、、でも貰った物は全て本物です。


最後に「A」さんが弟の新築祝いに作った神棚

正面
屋根の裏側が凄い
横、後ろ、どこから見ても凄い
底板の裏面は薄い板を編んで模様が作られている
Aさん72歳「なぜベストを尽くしたのか」

何でしょう、正直、この神棚には何を書けば良いのか?余りに存在感が凄い。是非拡大して見て欲しい。
これを作ったのが神棚を作る本職なら、普通に流石だな程度に思います。でもこれは大工の作品、普通の大工なら不可能。それも72歳です。しかもこれは、出来が気に入らず3個目らしい、図面も用意せずに作り上げるそうです。

一応書きますが、大工が下手と言う訳では有りません。ただ「大」工と付く様に、木工の中では比較的大きな作業が多いです。
大きな作業を現場に持ち込む道具と、広い工場とは全く違う現場で、高い精度を出すのは家具屋には無理です。特に充電丸鋸の使い方は皆上手い。

この人は叔父の会社に居ます。それなので小さい頃から何度か会っています。まさかこんな物を、作れる人だとは知りませんでした。


「作る人と使う人、仕事と金」

自分でも陰湿な書き方だと思います、上にはこう書いて来ました。
・使い手が「元大工の弟」なら、説明すれば分かります。
・写真を撮り、作りの説明を「自分」に詳しく聞いて貰え、良かったそうです。
・Aさん72歳「なぜベストを尽くしたのか」

どうせなら相手が工夫、手間、それ等の技術を修得する迄の過程、それを「ほんの少しでも」分かってくれる人に作りたい。これが自分の本音です。これは「W」さんに、物をくれる人達の気持ちに似ています。
金を払ったのだから、仕事なら当然、そう思う人もいるでしょう、当然作ります。でも、それと作り手の想い、満足感は全く違います。
勝手にAさん、Wさん、の画像に自分の意見を付けて書きましたが、2人がどう言う考えかは分かりません。

ちなみに弟の神棚は0円です。自分の炬燵は金物、ボンド、他、合わせて1万貰いました。うーん書いてて我ながらセコイ。でも、連休での作業+全ての下準備、合わせれば中々な手間です。イイハナシダナー

「写真を送って貰った後の弟とのメール」

自分 改めて見ると凄い作品だよ。K君(同僚)は自然に拝んでしまう。100万以上と言われても、そう思うと言ってた。

弟 ほんとにすごいよね😅Aさんにまた会いに行かなきゃって思ってまだ行けてないんだよね💦

自分 そうだね、いずれ必ず人は、、、ね。だから会える時に会った方がいいよ。だから間接的にも、文章を書かなければ成らないと思っている。一応、手技に関わり、最近文章を少しは書ける様になって、少しでも世に伝えたいと思っている。

弟 ほんとに正直焦ってるところある、後輩に聞いてまだ元気って言っててホッとしたけど、自分にとってもう1人の父親的存在だと思ってるしさ。その話はほんとに読んでみたい。

自分 いい感じの話しを作れるかは、分からないよ。いつも、作って出来上がりを修正して読み直してを繰り返す感じだから。

このメールやり取りは綺麗過ぎる感じがします。でもこれも本音です、ありがとうございました。

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