読むと元気が出る手紙集。『まことに残念ですが・・・不朽の名作への「不採用通知」160選』アンドレ・バーナード
これは無名だったパール・バックが、『大地』の原稿を見せた出版社から受け取った不採用通知。信じられないけれど、本当だとか。あの壮大な物語が、こんなきつい一言でボツとは信じられない。数年後にノーベル文学賞を受賞した作品が、ほぼ読まれもせずボツ。ああ……
他にも、この本には文学史の教科書に出てくるような『白鯨』や、誰もが知っている『アンネの日記』、映画化された『チャタレイ夫人の恋人』や『宇宙戦争』、のちにノーベル文学賞の『十人並みの女たちの夢』、衝撃的な内容すぎた『ロリータ』等など、私でも知っている有名な小説への不採用通知が続きます。これらのお断りの手紙の文章は、笑えてしまうほどひどい。
でも、まあこの手の話は、実はあるあるだったりします。マンガでも、確か『進撃の巨人』の作者が、最初にジャンプの集英社に原稿を持ち込んだら、「ジャンプらしいマンガをもってこい」って断られた話が有名だし。だから、こういう本を読むと逆にけっこう元気がでます。
たまたま編集の仕事をしている人が、全員100%有能ってことあり得ないし、時代の変化とか出版社の事情もあるだろうから、よけいに編集担当の個人的な好みが作品の評価を左右するんでしょう。でも、捨てる神あれば拾う神あり。
学術的な本とか論文でも、実際には似たようなことがあったりします。書いたときには少数にしか評価されなかったけど、10年後にはかなり多くの人に評価されるとか、知り合いにいます。最先端はいつだって、最先端を知るごく一部の人にしか見えないのかも。
この本を出版した会社の編集者はこんな序文を寄せています。