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エアコンはついたが冷夏だった!世の中は想い通りどおりに回らないという話

予算とは常に足りないものです

公務員は・・・財務省の予算をやりくりや査定を実施する
主計畑以外の役人は…
「もう少し予算があれば」

と日常的に感じています。

マスコミの報道では「予算が水ぶくれ」
だと主計官の生霊が憑依したような解説者が大半で
「現状予算で十分満足」している公務員が多いと
思われそうですが…
現実とはかなり差があります。

なぜだろうか…?
ひとつの要因は
予算案どおりの執行まで窮屈になるほど
細部に至るまで使途がきっちりと決められている
からです。

それこそが目的外へ予算流用をしないように運用される
血税の正しい使途です。


小官は元自衛官であり皆様がイメージする公務員とは
すこし違うと思います。
ですが・・・小官の33年間の現役生活の80%が
予算執行の責任に関する法律【予責法】の規定する予算執行職員であり…
そのせいで「ひとつの職場3年縛り」が
人事管理上厳格に守られて
頻繁に転勤を繰り返しました。

内部の研修所のような術科学校という場所で
半年程度お勉強した3回を除いて
16の職場で勤務しましたが…
重複したのは定年前の一度だけです。
平均すれば2年に一度転勤した計算になります。

初めて予算関係者となったとある潜水艦部隊では

潜水艦運用のための予算はあっても
事務室にエアコンを付ける予算がありませんでした。

潜水艦という維持費がかさむ「子供」を育てる親のような職場には
船に関わりのある備品や消耗品を調達できる予算はありますが…

高度な戦略艦艇を維持するための部署では
夏の暑い日に扇風機が空気をかき混ぜていた…
平成初期とはいえ
民間企業でオフィスにエアコンがない会社は珍しくなっていた時代です。

旧海軍の建てた重厚なボロ部屋の一室では
職員10数名の約半分は若い女性自衛官か事務官でした。


男子は室外へ出る時は制服や作業服を着用しなければなりませんが
室内では「半袖のTシャツ1枚でやり過ごしました」
暑さゆえ・・・本当は規則違反かもしれませんが
倒れるよりも・・・
でも…お姉様方は白いTシャツでは勤務できない事情が…
今ならブラックに分類される職場でしょう。

予算の流用はゼロかといえば…

年度末だけ…科目の範囲内で備品の予算で消耗品が買える…
制度的な使途の拡張が規則で許されていました。

競争入札では予算※はだいたい数%は余ります。

※通常は予算の数量を略して予量と呼びます。

予定価格が流出しない限り・・・
予定価格とほぼ同額で落札されることは
競争入札では起こりません。
関係者以外は絶対に見られない
数値を複雑に掛け算・割り算・・・

その数値は市況によって頻繁に変化するので
応札希望額>予定価格 という不等式は
企業が利益を追求する集団である以上は当然です。

近年公共事業に「不調」という場面が多発する理由は
応札額≧予定価格 という数式が
厳密に運用されている証拠といえます。


結果として

終了した事業では・・・少しずつ予算が残る
本体の数%ですが
「国民の血税をどうやって有効活用するのか」
その観点からすれば当然の結果です。

その残った予算の使い方にも…
ちゃんと優先順位がつけられていて・・・
予算執行計画どおり執行されます。

小官の職場のエアコンは優先順位が低いためか…
リストの上位では無かったのか?
なかなか順番は回ってきませんでした。

※予算執行計画には
 ●●所ほか・・・空気調和装置整備という
 項目があり・・・細かい執行基準は
 各地域の該当部署がしっかりと文書で計画を明示して
 年に一度の会計検査院の検査に備えています。

エアコンをはじめ船の様々な設備更新や修理・保守整備を担当する
調達の部署では
たとえ予算に余剰が出てもボロ事務室の整備には使えないのが規則です。

小官の当時の仕事は

潜水艦部署の調達要求を計画どおりにまとめ上げ…
個々の要望をひとつずつ要求するより…
規模のメリットを追求する。

同じような品目ならまとめ買いしたほうが
値引きが大きくなるのは
商行為としては当然であり
国が契約者の片方であっても
有償双務契約という商法の大原則は
必ず適用されます。

予算要望段階で計画した…
例えばテレビなどの型番が変わったり金額や機能の変更などで…
「要求基準を満たせるか?」
そういう場面もあります。


それらを考慮して

民間企業が1円でも安く応札していただき
予算を少しでも安く済ませるのが小官の仕事でした。

艦艇部署では…
災害派遣や咄嗟の故障のような事象が時折発生します。

その時は…徹夜で作った調達要求書の分厚い書類を抱え…
少し離れた補給や契約部署を「持ち回り回覧」という方法で…
平身低頭他の執行部署を汗だくで回ります。

それらの部署では…
相手の自衛官や事務官も人間なので
「大汗を書いて説明に回る若僧」に対して…
「貰い物だから」と新品のハンカチを暮れた先輩もおられましたし・・・
自腹で缶ジュースをご馳走して暮れた方や

「書類は私が預かり責任を持って回すから自分の事務室に戻って涼みなさい」
と気遣いしてくれる方まで・・・
頭がさがるという思いは
「こういう時のためにあるのか」
世間知らずの小官が定年まで大過なくまっとうできたのは
そんな先輩方のおかげです。

人間関係ですから

「必要な説明以外は黙って決栽を待つ」
場合も多いのですが・・・
減らず口が新庄剛志信条の小官は
相手方がちょっとした世間話を・・・
場を和ませるために繰り出してくれたら
「べき乗で反応して」・・・なんのために持ち割りしているのか・・・

夏の暑い日の持ち回り回覧で
「うちの事務室にはエアコンがないのでここにいたほうが涼しいです。」
と…減らず口をたたいたような・・・
たたなかったような・・・

そんな中・・・年度末になって
「〇〇要求事業がほぼ終了して・・・
〇〇潜水艦部署のエアコン予算が足りるなら…」

現代は平成初期より予算の使途や執行基準が更に厳格になり…
そんな事は起きないと思いますが…
年度末までに工事が終わるという条件つきで…

汗かき担当者に閉口していた被害部署の方々が
結束して
「今年の夏はあの小僧に事務室にエアコンがないと言い訳させない!」

優先順位をボロ事務室のエアコンに割いてくれたのか?
真相は不明です。

普段から電設工事でお世話になっている…
数社の頼もしい営業マンに急ぎで見積もりを頂き…
徹夜で書類や図面を作成して…持ち回り・・・

無事に・・・事務室にエアコンが設置されました。

そしてその夏は・・・あの平成の大不作を生起された
冷夏で。。。。

小官は夏中エアコンをながめて・・・年末に
「海外をウロウロする部署」へ転出しました。

なぜこんな文章を書いたのか

Borisさんの記事にコメントしながら
財政政策に対するスタンスは真反対だけど
小生のバカコメントを無視ぜずに返答され

このブログの記事はポピュリストへの反論等にご自由にお使いください。

というプロフィール欄の表記に感動し・・・

若気の至りだった小官の傍若無人の行動に
「本当は迷惑なのにきちんと対応してくれた諸先輩」
を思いうかべ・・・
役立たずに終わったエアコンを思い出した次第です。

減税がただしいのか?
経済発展が理論モデル通りに進展するのか?

それは難しい学問の世界かもしれませんが・・・
所詮は人間あっての政治・政府・・・突き詰めれば社会です。

Borisさんのおっしゃるとおり

もっとも警戒すべきは
「大衆迎合の人気取り政治」であり
国民民主党だろうと維新や立憲・自民党や公明党であっても
「選挙前だから言いたい放題」で庶民と約束したら
それを守ってもらう。

政治家に「無制限の委任状」を
渡してはいけないのでは・・・
そしてそういう議論がおこる
「NOTE世界やSNS」で発信する自由を

「裏が取れない情報を拡散するから危険」だと
規制する動きには反対しなければいけないと思います。

日本のまじめな公務員は
「質の高い優秀な人が多い」
ただし予算に限らず様々な制約のなかで
日々戦っている庶民の味方・・・
パブリックエッセンシャルワーカーです。

その視点を欠いたら・・・約束だけして守らない
どことは言わないですが過去に複数存在した
「ポピュリスト政党」の二の前です。

高速道路も無料にならず・・・
子供手当ひとり3万円や・・・

約束はほとんど守らず
約束していない増税だけ実行した!
その時何が起きるか・・・

もうウソツキポピュリストはいらない!

官僚の世界が複雑だと説明するのに
官僚ではない小官の些事を・・・
そんな思いで話ですが。。。

冷夏の年にエアコンの効果を体現できなかったのが
小生らしいと記事のさせていただきました。


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