『怨霊が棲む屋敷 呪われた旧家に嫁いだ花嫁』 第1話
第1章 村祭りの夜のできごと1 村の嫌われ者
その日は、孤月村でおこなわれる、夏祭りの夜であった。
祭りといっても、出店が並び、花火を打ちあげるといった派手なものではなく、村の空き地に櫓を組み、集まった村人が好き勝手に飲み食いをしながら、歌をうたい踊るというお祭りである。
赤い提灯が揺れ並ぶ櫓の下でめかし込んだ村娘が、一人の若者を囲んではしゃいでいる。
その華やかな集団を、曽根多佳子は祭りの会場から離れた木の陰にぽつりと立ち、食い入るように見つめていた。
彼女の