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【私がビーガンを目指すワケ】偽善でしょ? いいえ、もっと現実的な問題です


「ヴィーガンを目指してます!」そういうと返ってくる反応は…

こんにちは。

昔ながらの菜食ごはんで食肉の需要を減らしたい、「和ビーガンLOVER」と申します。

本日は、なぜ私がビーガンを目指すことになったのか、その理由についてお話しさせてください。

皆さんは、友人や知人から「私、ビーガンなんです」、「お肉は食べないんだよね」。そう言われたら、どのように感じますか?

たぶん、「ストイックな健康おたく?」、「思想強そう、宗教でもやってるの?」とか。

もしくは、「ああ、意識高い系の偽善者ね」、「お金持ちの暇つぶしか」、なんて思ったりしませんか?(そこまで酷いことは思わないかも知れませんね…。すいません)

確かに、動物性の食品を一切とらない、というのはストイックですよね。

「宗教」というのも、ベジタリアンの起源はジャイナ教や原始キリスト教ともいわれていますし、現在でも菜食を教義に取り入れている宗教もあります。

ビリー・アイリッシュやナタリー・ポートマンなど海外セレブが発信していることもあり、「意識高い系」かもしれません。

「偽善やボランティア精神」、これも、動物がかわいそうといった理由からビーガンになる人や、保護犬や保護猫活動をされている方も多いので、あたってるっちゃあたっています。

「お金持ちの暇つぶしか道楽」、新鮮な野菜や果物は値がはります。オーガニックや自然栽培にこだわるなら、安いお肉よりも断然高くつきます。日々の食費に敏感な方からしたら、そう思われても仕方ないのかもしれません。

でも、それは、ひと昔前のイメージだと思うのです。

いまなぜ、世界的にビーガン人口が増えているのか。なぜ、こんなにもプラントベースミート(植物性の代替肉)や培養肉の開発がすすんでいるのか。その理由こそが、私がビーガンを目指すことになったワケです。

牛肉1kgの生産に、トウモロコシ11kgと水2 万L!  食料危機に、食肉では世界人口を養えない

さて、その理由とは?

ずばり、食糧危機&環境問題にあります。

簡単にいうと、80億人という世界中の人の食料を賄うには、お肉では効率が悪い! いろいろ限界でムリが生じている! ということです。

今風にいうと、食肉はサステナブル(持続可能)ではないからです。

ポイントは5つ。
(1)世界人口の急激な増加により、食肉の需要が増えた
(2)しかし、肉を生産するための、土地、水には限界がある
(3)それでも、先進国の食肉需要に応えた結果、地球環境に負荷をかけている
(4)さらに、途上国の食料までも食肉のエサにまわされ、飢餓人口は約7億人!
(5)食肉のエサになっている穀物があれば、すべての人の食料が賄えるのに!

これについて、マイクロソフト会長のビル・ゲイツも、自身のブログでコメントしています。

ちなみにビル・ゲイツは、プラントベースミートの会社「ビヨンド・ミート」へ、多額の出資をしていることでも有名です。

「2050年までに、世界の人口は90億人以上に増加し、肉に対する食欲も、それとともに成長します。

肉の需要は、2000年から2050年に倍増するでしょう。しかし、肉を育てるには大量の土地と水を必要とし、環境に大きな影響を与えます。
 
簡単にいえば、90億人の肉を生産する方法はありません。しかし、誰もがベジタリアンになるように求めることはできません。だから私たちは、資源を枯渇させることなく肉を生産するために、もっと多くのオプション(選択肢)が必要です。

いくつかのエキサイティングな新しい企業が、鶏肉、牛ミンチ肉、さらには卵まで、植物ベースの代替品をつくり出しています。これらは持続可能に生産される食料です」

『完全菜食があなたと地球を救う ヴィーガン(ロングセラーズ)』より抜粋

(1)私が生まれた頃の2倍! 世界人口の急増により食肉需要が増えた

まずは、世界の人口についてみてみましょう。日本では少子化が問題になっていますが、世界人口は増加の一途を辿っています。

1970年代には40億人だった人口が、いまや80億人を突破しました。私の生まれた頃から考えると、なんと、世界人口は約2倍にもなっているのです。たった50年弱の出来事ですよ?

人口はさらに増加し、2050年には104億人に達するとの予測もあります。(国連の世界人口推計、2022年度版)

この急激な人口増加により、食肉の需要と供給のバランスが大きく崩れました。世界が求める食肉需要に、生産が間に合わない!  もう地球資源が枯渇する限界まできているのです。

(2)土地や水は限られた資源。食肉の生産で枯渇させていいのか?

ここに、こんな試算があります。「牛肉1キロ の生産に必要なのは、トウモロコシ11キロと水2万リットル」

1キロの牛肉といえば、250gのステーキに換算すると、たったの4枚です。それだけの牛肉をつくるのに、トウモロコシ約31本(※1本350gで計算)とペットボトルの水4万本(※ペットボトル500mlで計算)が必要とは!とんでもない資源の消費量です。

ステーキ4 枚 = トウモロコシ31本 + ペットボトルの水4万本

牛の体を思い出してください。
あの大きな体、たった2〜3年で700〜800キロになり、食肉として出荷されます。短期間であそこまで巨大化するには、大量のエサが必要です。

牛は何を食べるのか? 
答えは、トウモロコシや大豆などの穀物。本来は牧草なのですが、穀物なら短期間で太らせることが可能だから。

つまり、牛肉1キロの背景には、牛が飲む水だけではなく、牛が大量に食べる、トウモロコシや大豆を育てるための水も含まれます。

1キロのトウモロコシを生産するには、1800リットルの水が必要です。

牛肉1キロ の生産にはトウモロコシ11キロが必要なため、トウモロコシに必要な水(11キロ×1800リットル)と、牛に必要な水、あわせて、2万リットルもの水が使われることになるのです。ちなみに、牛の屠殺や解体にも大量の水が使われます。

●トウモロコシ 1キロ → 必要な水は1800リットル
●牛肉 1キロ    → 必要な水は2万リットル(エサのトウモロコシ分含む)

そして牛が必要とするのは、大量の水や穀物だけではありません。膨大な土地も必要になります。

なぜなら水と同じように、牛肉1キロの背景には、牛が大量に食べる穀物、トウモロコシや大豆を育てるための土地も必要だからです。

食肉の生産に必要な、大量の水、エサとなる穀物、そして膨大な土地。このままでは、すぐに地球上の資源を使い果たしてしまうでしょう。世界人口が100億人に届こうという時代に、これでは地球が2、3個あっても足りません。

(3)アマゾンが消える? 先進国の食肉需要を満たすため、すすむ環境破壊

「2030年には、アマゾンの熱帯雨林の60%が消える!」「すでに、元の面積の15% が消失した!」、そう聞いたらどう思いますか? 1年で日本の四国ほどの面積が失われているとしたら?

アマゾンは、地球上の熱帯雨林の50% を占める、世界最大の熱帯雨林です。そんなアマゾンの熱帯雨林には、重要な役割があります。

それは、光合成により大気中の二酸化炭素を吸収し、酸素を排出すること。世界の酸素の20%を生産していることから、「地球の肺」とも称されています。

その熱帯雨林が失われるということは、二酸化炭素の吸収量が減り、大気中の二酸化炭素が増加するということ。すなわち、地球温暖化がすすむということです。

「地球温暖化対策には、アマゾンの熱帯雨林を保全することが欠かせない」と、科学者たちも指摘しています。

にもかかわらず、熱帯雨林が急速に失われている原因は何なのか?

近年アマゾンでは、違法伐採や放火が絶えないといいます。そうした焼け跡は農地や牧場に姿を変えています。

勘のいい読者の方はお気づきですね? 

もちろん、畜産業のためです。牛の放牧とそのエサとなる大豆栽培のために、熱帯雨林を伐採し、焼き払い、大規模な農業開発を行っているのです。

それだけでは飽き足らず、先住民たちが守ってきた農地を大豆企業が奪い、傷害や殺人事件まで起こっています。もはや無法地帯です。

こんなことがまかり通っているのは、食肉産業はお金になるから。私たち日本をはじめ、先進国が買い求めるからです。

そうして手に入れた農地には大量の農薬がまかれ、大地や地下水が汚染されていきます。熱帯雨林の豊富な資源だけではなく、そこに住む野生動物や、先住民たちの暮らしさえも奪っているのです。ただお肉が食べたいという理由のために…。

どれだけ畜産業が地球環境にダメージを与えているか、産業として異常な事態になっているか、おわかりいただけたでしょうか?

牛のゲップとふん尿から発生するメタンガスが、地球温暖化に影響を及ぼしていることは有名ですが、それだけではなかったのです。

大量のエサを育てるために、地球の肺であるアマゾンを消滅させるほど森林を破壊し、気候変動を加速させているのもまた、食肉産業だったのです。

(4)途上国の食料までも食肉のエサにまわされ、飢餓人口は約7億人!

「飢餓」と言われても、日本に暮らしているとピンと来ないかもしれません。ですが、これは私たちが知らなければならない真実です。

世界をみると、飢餓人口は約6億9,000万人にのぼるとか。これは、約9人に1人が飢餓に苦しんでいる計算です。

それでは、飢餓を引き起こしている原因は何なのか?

「世界で飢餓に苦しむ子供の8割は余剰食物のある国に暮らすが、それは動物の飼料に回され、動物は殺されて先進国のゆたかな人間に消費される。

試算では、現在第三世界で育てられる全穀物の1/4が家畜の飼料になっている」

(※第三世界とは、アジアやアフリカ、ラテンアメリカなど旧植民地、発展途上にある国々のこと)

『菜食への疑問に答える13章: 生き方が変わる、生き方を変える(新評論刊)』より抜粋


つまり、飢餓に苦しむ途上国には、実は十分な食べ物がある。
それなのに飢餓に苦しんでいるのは、自分たちの食料より、家畜のエサが優先されるから。先進国の人間が食べる、「肉」という嗜好品のための!

国産牛なら問題ないと思うのは大きな間違いです。なぜなら、日本はエサとなる飼料穀物を大量に輸入しているからです。

飢餓の原因は、単なる食料不足ではありません。その一端は、私たち先進国にあります。過剰に肉の消費を求めた結果、遠い国に暮らす人々から食べ物を奪い、飢餓を作り出しているのです。ここでも食肉産業による異常なシステムが浮き彫りになりました。

(5)食肉のエサになっている穀物があれば、すべての人の食料が賄えるのに!

計算上は、地球上すべての人の食料を賄える穀物生産はあるのです。

それでも飢餓人口が約7億人もいる理由は、家畜のエサに使用されているから。世界の穀物の約40%は、家畜のエサに回されているというデータもあります。そのエサとなっている穀物があれば、飢餓をなくすことも可能なのに!

飢餓に苦しむ人々がいる一方で、先進国の食肉需要を満たすために大量の穀物が消費されている。じゅうぶんな食料はあるのに、持てる国と持たざる国で偏っている。食肉産業をとりまく不公平な食料配分に、憤りを覚えます。

さらにつけ加えるなら、今後想定される食料危機に食肉では世界人口を養えません。

この飽食の時代に食糧危機なんて起こるわけない、そう思っていますか? とんでもない!

2022年6月、WFP(国連世界食糧計画)とFAO(国連食糧農業機関)が、「ハンガーホットスポット-FAO-WFPの急性食料不安に対する早期警告」という報告書を発表しています。

それによると、ウクライナ戦争の影響や異常気象による大規模な干ばつにより、世界20カ国以上で深刻な飢餓が発生すると警告しているのです。

飢餓なんて遠い国の話、日本は関係ない、まだそう思っていますか? とんでもない!

「国際物流停止による世界の餓死者が日本に集中する」というショッキングな研究成果を、朝日新聞が報じています。日本人の6割が餓死するというデータもあるくらいです。

なぜなら、日本の食料自給率は37%。おまけに、種や肥料などの海外依存度も高い。種や肥料がなければ野菜も育たないのですから、実際の自給率はもっと低いでしょう。戦争で物流が停止したり、国同士の対立で輸出規制が広がれば、日本が危機的状況になるのは目にみえています。

また、世界的に農作物の不作、食糧難ともなれば、円安で国力の弱い日本は、諸外国に買い負けてしまうでしょう。お金があれば食料は手に入る、そんな時代はおわったのです。

さて、そんな食料危機が差し迫るなか、高まる食肉需要です。これまでみてきたように、食肉の生産には、大量の水と穀物を必要とします。人間の食べるものすら事欠くときに、穀物の40 %が畜産のエサになるなんて、なんてばかげた話でしょう!

繰り返しますが、1キロの肉を手に入れるのに、11キロの穀物が必要です。たった1キロの肉のために、11 キロもの穀物を消費するくらいなら、穀物11キロを直接人間の食料に回したほうが、はるかに効率がいい。

牛肉と大豆のタンパク質を得る効率を比較すると、食肉1人分 = 菜食20人分に相当するともいわれています。(国連食糧農業機関・FAO)

穀物を家畜に食べさせることは、何十億人分もの食料を浪費しているのと同じです。人間の食料も地球資源も不足している時代に、そんな余裕はありません。このまま食肉を続けるなら、とうてい世界人口を養えないのです。

途上国や地球資源を搾取する食肉産業。この非人道的なシステムに、私は加担したくない!

一般的にビーガンを目指す理由には、
「健康&美容上の理由」、
「環境&食糧問題への配慮」、
「動物福祉&愛護」、
「宗教上の理由」などがあげられます。

私がいちばん衝撃をうけたのは、「環境&食糧問題」でした。

アマゾンに住む野生動物や先住民を追いやり、飢餓に苦しむ途上国の人々の食料を奪ってまで生産される肉。そこまで、非人道的な経路で供給されるお肉を、私は食べたいと思わないし、そのシステムに加わりたくない。

しかも、環境を破壊し、たくさんの動物の命を奪ってまで手に入れた食料を、次は、食品廃棄(フードロス)という問題で大量に捨てている。その影で、飢餓にさらされている人がいると思うと心が痛みます。

肉を食べない、もしくは肉を食べる頻度を減らすことで、地球環境への負荷が減り、飢餓問題が解決へと向かうなら、喜んでお肉を食べない選択をしよう、そう心に誓いました。

そんなことで、食肉産業は変わらないと思いますか?

何を食べるか、食べないか、という選択は、単なる個人の趣味嗜好だけではありません。特定の業界、企業への金銭的な支援でもあり、おおげさにいえば、政治的な投票でもあるのです。

私は、動物性商品の消費を減らし、植物ベースの生活への移行を支持します。

いまは、社会の価値観が変化している過渡期だと思うのです。いままでのような経済成長や効率重視では、もう立ち行かなくなっている。

いったん立ち止まって、
「今さえよければ…」
「自分さえよければ…」、
「お金さえあれば…」、
という価値観から脱却するべきタイミングです。

限りある資源をどう使えば全人類がゆたかにくらせるのか、次の世代に何を残せるのか、真剣に考えてみませんか? 結局は同じ地球に住んでいる私たちに返ってくるのですから。

ビーガンを選択するということは、決してきれいごとではなく、現実に差し迫った食料危機&気候変動への解決策です。

すでに、世の中の動きが見えているIT長者たちは、ビーガンビジネスに投資をはじめています。

2050年頃にはまだまだ現役である、ミレニアル世代、Z世代は自分ごととして捉え、ビーガンを目指す人が増えています。

そのための選択肢も、世の中にはたくさん用意されています。前述した、「ビヨンド・ミート」や日本発の「ネクストミーツ」など食肉の代わりになる代替肉(プラント・ベース・ミート、植物由来の肉)。日本人なら、豆腐やお揚げ、納豆などの豊富な大豆製品もあります。

このまま見て見ぬふりをして古い価値観にしがみつくのか、時代を見据え軽やかに新しい価値観に移行するのか、あなたはどちらを選びますか?

長くなりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。


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