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変わらずにいて-死への先駆

 22歳の夏は暑かった。私の住んでいる街は3週間以上も猛暑日が続き、気温35度ですら涼しく感じるような猛烈な暑さだった。  22歳になって、4年生大学へ進級した友人の多くは就活を迎えた。就職すると、学生時代と比較して予定を合わせづらくなる。そもそもこの街を去ってしまう友人もいるし、土日休み・平日休み・不定休や勤務時間、それぞれの生活スタイルが異なってくる。  だから、私たちはこの夏みんなで集まった。  「働きたくない‼️」「一生このままがいいよ〜」 将来への不安や現状への不

    • 伊能忠敬界隈への参入を諦めます。

       私は歩くことが好きだ。  「健脚」を名乗ってもいいのかはわからないが、毎日のように散歩をし、健康の基準とされる1万歩/日を超えることは日常である。  そんな私だが、ある界隈への参入を目指していた。それは「伊能忠敬界隈」だ。  2024年7月に突如ネットに誕生し、世間を騒がせた伊能忠敬界隈。日本地図を作ったことでお馴染み伊能忠敬が、毎日およそ40キロもの距離を歩いていたことから、めちゃくちゃ歩く人たちのことを指す。  精神疾患との関連も指摘されている伊能忠敬界隈だが、歩

      • 現代のニヒリズムと丁寧な暮らし、そしてACT

         かの有名な哲学者ニーチェは「ニヒリズムの時代が来る」と言ったらしい。  そしていま、まさに私たちはニヒリズムに飲み込まれている。 現代のニヒリズム 現代のニヒリズムとは何なのか。私はそれが資本主義によってもたらされていると考える。  臨床心理学者の東畑開人は「居るのはつらいよ」(医学書院)において、「ただ、いる、だけ」というケアは会計の声によって否定されているのではないかと語った。その声は福祉の現場におけるケアとセラピーの問題に留まらず、私たちの生活にも響き渡っているの

        • 1年で本100冊読んでみた

           昨年の8月末から家にいたくない気分が続き、毎日のように図書館に通うようになった。  図書館ではみんな勉強をしたり読書をしたりしているから、僕もSNSやゲームはせず、読書をするようになった。  家にいられるようになってからも読書の習慣は続き、結果として1年で100冊近くの本を読んだので、その感想をまとめてみる。 どんな本を読んだのか  本を100冊といっても、読む本の種類によってその経験は大きく違ってくるが、私の場合は脳科学や心理学に基づいた学術書や自己啓発本を中心に読ん

          マインドフルネスとは自己受容である(半年続けてみた感想)

           昨年末からマインドフルネスを継続的に行い、はや半年になる。昨年、心理学について興味を持ち、精神科医や心理士の本を読み漁っていたところ、そこに共通項として「マインドフルネス」があった。カバットジンが体系化したマインドフルネス瞑想は、いまやメンタルヘルスにおける最重要アイテムのひとつとなっているようだ。  そんなわけで、「みんなオススメしてるからやってみるぞ!」と始めたマインドフルネスも、序盤こそ小さなつまずきがあったが、最近では日常的な行為になりつつある。  ここではマイン

          マインドフルネスとは自己受容である(半年続けてみた感想)

          小沢健二 ‘24ツアー Monochromatique@名古屋

          ⚠️この記事にはネタバレが存在します。 これから東京公演に行かれる方は読まないことをオススメします⚠️  GWの隙間、5月1日に小沢健二 ‘24ツアー Monochromatique(モノクロマティック)の初日、名古屋会場(@名古屋国際会議場 センチュリーホール)に参戦してきた。  日本の人口の4分の1、非昭和生まれである私が小沢健二にハマったのはここ2〜3年のことであり、今回がLIVE初参戦。チケットを取った年始からワクワクしまくっていて、宇野維正「小沢健二の帰還」(岩

          小沢健二 ‘24ツアー Monochromatique@名古屋

          ゲルハルト・リヒター展@豊田市美術館

          はじめに 2022年6月の東京国立近代美術館に始まり、話題となっていたリヒター展。  私は美術への造詣こそ深くないものの、現代芸術に対して興味があり、美術館には定期的に足を運んでいます。  そんな中、豊田市美術館に現代美術界を代表する作家の個展がやってくるという噂を聞きつけ、展示を見てきました。執筆しているのは展覧会の期間終了後になりますが、感じたことを文章として残しておこう、それを内向きなものとしてではなく、公開してみるのも良いかなという思いで書いています。 読んだ書籍な

          ゲルハルト・リヒター展@豊田市美術館