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任せる勇気 #132 エンパワーメント
人は一人で成せる目的には限界があります。
そのため目的を共有できる人たちと組織をつくります。
しかし、同じ目的を持っているからと言って、個々の能力は様々です。
そのため、個々の能力を最適化させて、組織の目的を果たすための機能がマネジメントです。
一般的な企業の組織形態は、ヒエラルキーあるいはピラミッド形態の組織かと思います。
具体的には、トップである社長から部長、課長、スタッフというように職務別にピラミッド型の階層構造になっている組織形態のことです。
ところが、この組織形態と実態がそぐわないことが少なくありません。
例えば、任せられないパターンです。
本来、スタッフが行うべき業務を何らかの任せられない理由から課長が行ってしまいます。
結果、任せてもらえないスタッフは、いつまで経っても育ちません。
また、任せることができない課長は、キャパオーバーとなってしまい、本来、やるべきマネジメントが疎かになってしまいます。
逆に、丸投げパターンも問題です。
例えば、課長が部下に仕事を与えること自体は問題ありません。
しかし、本来、課長が行うべきマネジメントまでをもスタッフに任せてしまっては責任の放棄です。
これでは、マネジメントどころか組織が機能不全に陥る可能性もあります。
そこで、重要になってくるのが、あたりまえのことではありますが、マネジメントの適正化です。
部長には部長、課長には課長、スタッフにはスタッフの各職務に合致したマネジメントを任せることが大切となります。
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その上で、エンパワーメントです。
エンパワーメント(empowerment)とは、「権限を与える」あるいは、「自信を与える」と言う意味合いとなります。
マネジメントの適正化を条件として、本来の範疇を超越して任せることで、組織や個人が本来持っている能力を最大限に引き出すマネジメント手法です。
具体的には、案件や状況に応じて、本来、上長が持つマネジメントの権限を部下に委譲します。
結果、通常よりも、その裁量権が拡大し、仕事の遂行方法が自由になり、意思判断の幅が広がります。
もちろん、全く責任がない訳ではありませんが、責任は権限を委譲した上司にあります。
それによって、部下の主体的かつ自律的な行動を促します。
機会を与えることで、潜在的なマネジメント能力を引き出すことも可能となります。
結果的に、組織としての成果の向上が期待できます。
また、一時的とはいえ、上位のマネジメントを経験することで、組織的あるいは個人的な成長を促すこともできます。
つまり、組織育成、人材育成の側面もある取り組みです。
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これは私事です。
毎年、経営理念を直接、約100人の社員たちに伝える勉強会を実施してきました。
経営トップが自ら実施することに意義があると考えての拘りのある取り組みでした。
しかし、結果的に経営理念を伝えるのは、私だけの役目となってしまいました。
マネジャーたちが、部下に伝える機会を私が奪っていたともとれます。
現在は、任せる勇気を持って、私に変わって、マネジャーたちにも実施してもらっています。
結果的に、経営の当事者意識の継承に繋がっていると感じています。
とにかく、エンパワーメントで、難しいのは、どんな状況で権限委譲すべきかです。
状況を誤れば、丸投げと同じにもなりかねません。
また、権限を与えられた事を、責任を押し付けられたとしか受け取ることができない人もいます。
その意味でも、より、エンパワーメントを取り組み易いように、そもそもの組織形態をヒエラルキーからフラットやホラクラシーと呼ばれる新しいものに転換する考えも出て来ています。
エンパワーメントですが、一つ間違えば逆効果になる可能性もあります。
よって、HRMの一環として、戦略的かつ慎重に実施すべきかと思います。