努力との向き合い方 #81 木こりのジレンマ
資本経済におけるビジネスは、努力したからと言って成功するとは限りません。
また、真っ当なビジネスであれば、努力なくして成功することはあり得ません。
つまり、誰もが例外なく努力しているのであって、その競争下で成功を収める必要があります。
これを考える際に、良く用いられるのが、木こりのジレンマと言うエピソードです。
「森の中で、木こりが刃のこぼれた斧で一所懸命に木を切っていました。
通りかかった旅人が刃を研ぐことで、もっと早く、たくさんの木が切れることをアドバイスします。
対して、木こりは、木を切るのが忙しく、そんな暇はないと返しました。」
まず、前提として、この木こりは、決して怠けている訳ではなく、間違いなく努力しています。
このまま作業を続けたら確実に木を切り倒すはずです。
しかし、刃こぼれの斧である以上、効率が悪くなり、どんどん木は切れなくなるはずです。
対して、旅人のアドバイスの通りに斧の刃を研いでいたら、どうなったのかです。
まず、斧を研いでいる間は、木を切ることはできません。
ところが、研ぎ終わったら、効率良くなり、どんどん木を切り倒し、いずれ、こぼれた刃の斧で必死に切っていたであろう自分を追い越す時が訪れます。
これは、成長曲線が努力曲線を超えたことであり、その時点をブレイクスルーポイントといいます。
そもそもの理論は、薬学の分野のシグモイド関数の応用とされています。
人は、理論上、努力を重ねることに比例して、確実に成長します。
それが努力曲線です。
しかし、それは、想定の範疇から越えることはありません。
つまり、直線です。
対して、飛躍するには、新たなスキルなどを身につけるなどの取り組みをする必要性です。
そのため通常以外の努力をすることになりますから、場合によっては成長の妨げになるかもしれません。
通常、人は努力した分だけ直ぐに結果が出てほしいと思いがちです。
しかし、現実は、直ぐには結果はでません。
そのため多くは努力し続けることを諦めてしまいがちです。
しかし、継続して努力し続けることで、ある時点から一気に飛躍し始めます。
それが成長曲線です。
そして、それが加速することで、努力曲線を上回る時点がブレイクスルーポイントとなります。
大切なのは、努力とどう向かい合うべきかだと考えます。
確かに新しいスキルを身につけることは容易ではありません。
慣れた仕事を淡々とこなしたほうが、確実だし、楽な行為です。
また、新しい努力をしたところで、それが確実に成果に結びつく保証はありません。
しかし、努力は確実に成長につながります。
成長することで、その後、訪れるであろうチャンスを活かし成果に結びつける確率は高まるものと思います。
だから、多くの皆さんに、努力との向かい合い方を考えて欲しいと思うのです。