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#12-1 学校と社会を繋ぎたい。子どもの未来への架け橋へー任 善愛さん

こんにちは。「ワーク・ライフチャレンジ〜未来をひらく私たちの働き方〜」12話目前編は、小・中・高校の教育課程に携わり、教師として働きながら、心理学を学んだ後、2019年に出張型カウンセリングと企業研修講師として独立した É-couleur株式会社 代表取締役の任善愛(イム ソネ)さんをお迎えし、東京都よりお送りいたします。

🔽プロフィール
任  善愛(いむ そね)さん
É-couleur株式会社 代表取締役
ワーク・ライフバランスコンサルタント養成講座 第71期生
活動拠点:静岡・東京を中心に全国

大学卒業後、中高一貫校に日本文学・言語学の教諭として着任した後、小・中・高校すべての教育課程に携わり、結婚、出産・育児とともに、働きながら本格的に心理学を学び、公認心理師とアンガーマネジメントの資格を取得。
不登校支援を中心にカウンセラーとして本格始動し、2019年に出張型カウンセリングと企業研修講師として独立。
講座やメディアを通して心の問題・コミュニケーションについて発信。
二児の母。



自己紹介

──本日お話しいただく任 善愛さんのプロフィールをご紹介します。

前川 本日お話いただく任 善愛さんとは、ワーク・ライフバランスコンサルタント養成講座の71期生として共に学びました。それでは、任さんのプロフィールをご紹介します。

大学卒業後、中高一貫校に日本文学、言語学の教諭として着任した後、小・中・高校の教育課程に携わり、結婚、出産、育児とともに働きながら本格的に心理学を学ばれました。

不登校支援を中心にカウンセラーとして本格指導し、2019年に出張型カウンセリングと企業研修講師として独立。講師やメディアを通して心の問題、コミュニケーションについて発信をされています。

ワーク・ライフバランスとの出会い

妊娠中の葛藤と決断。仕事と育児の両立、そして退職へ

──任さんの具体的な活動内容を、お伺いできますでしょうか。

任さん 2007年から12年間、ずっと学校の先生をしておりまして、生徒たちの成長をサポートしていたのですが、後ほどお話しする「働き方」で、大きな壁を感じたので、長女出産を機に一度、退職しました。

その後、2018年にカウンセラー兼企業研修の講師として独立をしました。テーマは、アンガーマネジメントやコミュニケーションです。公認心理士という資格を取って、心の問題、ストレスケアといった問題をテーマに、たくさんの講演をさせていただいています。

3年前に法人化をしまして、拠点を東京に移して、今は小・中学校のコンサルティングに入らせていただいたり、 今までに200回ぐらい公演や研修をやらせていただいたりしています。

テーマは、アンガーマネジメントで、心の問題や働き方改革、ハラスメント対応など、ビジネスマンの方にも届くような内容をお届けしています。


── 出産を機に退職されたということなのですが、退職された理由を教えていただけますでしょうか。

任さん 出産前は、ほぼ毎日、朝7時に学校に出勤していました。バレー部の監督をしていたので、朝練の指導をして、そこから通常の仕事を行い、放課後はまた部活の指導をしていました。

そして、生徒たちが帰った後に、次の日の準備をして、大体夜の10時ぐらいまで働いて、翌日にいつも通り出勤するというような、そんな生活でした。当時は、生徒たちの成長を間近で見ることができて、すごくやりがいがあったので、辛いと思うことはありませんでした。

特に高校では、進路を決める重要な時期に寄り添うことができたり、子供たちとの関係性の中から、私自身が学ぶことが多かったりして、ずっと続けたいなと思う仕事でした。妊娠中に、切迫早産のような感じになり、「あんまり動いてはいけないよ」とドクターストップがかかってしまいました。

それで、教職を退くことになりました。出産後、これまでの自分の働き方などを振り返ってみました。家族もすごく反対していたということや「出産前のように復帰するのは難しいかもしれない。中途半端なまま復帰したくない。」という想いがあり、退職という道を選びました。

前川 長時間、働かれていた中で、妊娠するとそういうわけにもいかないというのは、私も実際、経験してすごく思いました。仕事もしたいけど、お腹の赤ちゃんも大丈夫かなと不安で、結構、気持ちが揺れ動いていたということを思い出しました。切迫早産をご経験されたということで、仕事と出産の両立の大変さを改めて感じるお話でした。

そして、バレーボール部の監督をされていたというのは、任さんのイメージに合いますね。


任さん
 当時は、昭和的のスパルタな感じで、本当に熱血系のタイプの教員でした。


前川
 そうなのですね。見た目は、すごくふわっと柔らかい感じの印象ですが、熱血というのもなんとなくわかります。とても熱心で、慕ってこられる生徒も多かったのだろうなと想像しました。


任さん
 そう思ってくれているといいなと思います。今でも、連絡をくれる生徒が、たくさんいるので、先生という職業は、本当に素敵な仕事です。今でも、戻れるなら戻ってもいいなと、思うほどです。

前川 生徒さんの成長を間近で見られたりとか、今でも連絡が来たりするということで、進学したとか、社会人になったとか、そういうお知らせが聞けることは、すごく嬉しいことですよね。

任さん そうですね。SNSなどで、繋がることができるので、私の仕事のことを知って、励ましてくれたり、たまに相談があったりします。


「ライフマネジメント」こそが、アンガーマネジメント


── 2018年に独立されているとのことですが、そのきっかけを教えていただけますでしょうか。


任さん
 独立のきっかけは、二女の出産の時です。先ほど前川さんもお話しされたように、女性にとって出産と育児は、いろいろなことが変わります。そのライフステージで、今まで出来ていたことが物理的に難しくなったり、諦めることがあったり、自分にがっかりすることもありしました。

そういう中で、自分が本当にしていきたいことは、何かを考えた時に、「学校の先生という、組織の中の一人という働き方もあるけれど、学校の先生だったからこそわかること、でも学校の先生じゃないからこそできることという、私オリジナルの仕事がしたい」という思いが、すごく強くなるのを感じました。

それで、不登校のカウンセリングをしていたことや、当時、プライベートで色々あったことで、「アンガーマネジメント」に出会いました。アンガーマネジメントは、怒りのマネジメントではなく、ライフマネジメントだなということを、私自身、とても実感しました。

このことを、より多くの人に伝えていきたい、そんな思いで独立をしました。

前川 アンガーマネジメントというのは、ライフマネジメントなのですね。詳しく知らなかったのですが、任さんのお話で理解できました。また後ほど、お聞かせください。



「学校と社会の架け橋になりたい」私だからできることを仕事に独立

──学校の先生されていた時に、独立に繋がった仕事内容というのはあるのでしょうか。

任さん 長女出産の時に一度退職して、少しの間、他の仕事に就きましたが、やっぱり、学校に携わりたいという思いが強ありました。専門学校の事務員として留学生のサポートをしたり、日本の生徒の就職支援をしたり、そういうお仕事に携わりました。

その専門学校で、成績優秀で卒業した学生が、社会に出てすぐに、挫折してしまったり、トラブルを起こしてしまったりというケースが結構ありました。中学・高校の先生をやっていた時から感じていたのですが、学校教育の中で社会に出た時に必要な力を、充分に育んでいないのではないかと疑問を持ちました。

それで、「学校の先生を経験したからこそわかること、退職した今だからこそできること」が絶対にあると思いました。自分にしかできないことで、学校に恩返しがしたいという想いから、二女の出産を機に、学校と社会をつなぐ仕事がしたいと考えました。

企業やビジネスマンに向けた研修を行うことで、今、社会で求められている人材やどんなことを悩みとして持っているのかということをリアルに感じ、これから社会に出る学生のために、学校との架け橋になりたいということで、独立しました。


前川
 学校を卒業した学生が、社会に出た後もサポートが必要だと感じたことで独立されたということが、人を育てるということへの、任さんの想いの強さは本当に素晴らしいと思いました。

ワーク・ライフバランスの取り組み


──独立後、ワーク・ライフバランスとの出会いがあったとお聞きしましたが、詳しくお話しいただけますでしょうか。

任さん 長女を出産後は、仕事をしながら子育てもしていました。長女は割と育てやすい方でしたが、それでも、女性の家事、育児の負担の大きさを目の当たりにしました。

二人の子育てをしながら感じたのですが、仕事を続けていくことに対して、多くの女性が仕事と育児の両立に悩んでいます。いつも何かと何かを天秤にかけながら、決断していたり、諦めていたりして悩んでいると感じました。当初私が独立したと伝えると、多くの人が「すごいですね」と言われたことがありましたが、裏側では様々な苦労がありました。

そのことから、「働く人たちを元気づけたい。子供たちにも、働く楽しさや未来への希望を与えたい。」という気持ちが出てきました。一方で、独立前は、仕事の愚痴を家でこぼしてしまうことがよくありました。

しかし子どもには、「おかあさん、いつも愚痴ばっかりだね。」と思われたくないとすごく思い、もっと前向きな姿を見せたいなと思いました。「ワーク・ライフバランス」の言葉は知りませんでしたが、自分自身の働き方や人生をすごく意識していこうと思いました。


前川
 子供に対しでこう前向きな姿を見せたいという気持ちには、私も共感します。


任さん
 かっこいい「かーちゃん」でいたいですよね。


前川 
そうですね。全然、私はかっこよくないのですが、私も子供たちの未来のために、ワーク・ライフバランスの実現がすごく大事だなと考えて、このpodcastを始めたという経緯があります。


自分の線引きを見極めるキャパシティコントロール

──ワーク・ライフバランスの具体的な取り組みとして、どのようなことをされているのでしょうか。

任さん 働き方を変えようとして独立し、最初は個人事業主になりましたが、安定した収入が得られるとは限りません。独立当初は、月によって全く仕事がない時もありましたし、そうかと思えば、複数の仕事を同時に抱え込んで、無理なスケジュールなのに、とにかく仕事をいただけたら、引き受けるという感じで、勢いをつけて、こなしていました。

自己紹介の時にお話しした、アンガーマネジメントやストレスケアなど、やりたいことがたくさんあったので、たくさん抱え込んでいました。辛いと感じながらも、楽しさも感じていたので、必死にこなしていました。

いつの間にか、個人事業主なのに「一人ブラック企業」の様になり、子供を寝かしつけた後、夜な夜な資料を作って、次の日もまた朝早く起きて出張に行くということをしていました。


前川
 やっぱり、すごく頑張り屋なのですね。さっきのバレーボールの監督のお話からも、そう思いました。


任さん
 根底に、「やればやるほどいい」と思ってしまっていたので、その時は時間生産性というよりも、できることにとにかく全力で取り組むという形でした。今、振り返ってみると、仕事の量をコントロールして、無理のない範囲で働くことが大事だったなと気がつきました。

長女はあまり感じなかったのですが、二女のイヤイヤ期が、すごかったのです。当時、独立して1年目とか2年目で、軌道に乗せようとしている時期でした。夜、仕事をしようとした時に限って、なかなか寝てくれず、私が忙しいとあからさまに二女のイヤイヤが激しくなります。

周りからは、「お母さんのせいじゃないよ」とか、「お母さん、自分のこと責めないで」と言われていました。自分としては、明らかに私の余裕のなさがこの子に伝播しているのではないかと思っていました。

それで、二女に時間を割いていると、今度は、当時まだ4歳とか5歳だった長女も、寂しさがいろいろなところで出てしまい、母親としてすごく苦しくなりました。

このまま、この働き方を続けていくのは良くないと思い、今は新しいことを始める際は、どこまでなら頑張れるのかや、すること、しないことの線引きをしっかりすることが大事だと思って、今は自分のキャパシティコントロールに取り組んでいます。



前川
 忙しいときや頑張っている時ほど、構ってほしいと思うのか、寂しいと思うのか、子どもが愚図ってしまうのは、すごくわかります。


任さん
 これは、特に小さいお子さんを育てている方には、よくある事ではないかと思います。朝、子どもを保育園に預け、迎えに行くまで、精一杯働き、帰宅後は、家事と育児を精一杯にやっていると、ライフの時間がないと思いました。

養成講座でも、特に、印象深いのは、時間あたりの生産性という言葉をいろいろなポイントで使っていたことです。私が、全くそういう事を考えていなかったのです。養成講座で学んだ時から、 「時間あたりの生産性」と「自分のエネルギーを余らせる」ということを特に意識するようになりました。

時間あたりの生産性というのは養成講座でも何度もでてきていて、受講後でも、意識して働くようにしています。「エネルギーを余らせる」という言葉も、とても大事だなと思います。


前川
 子供とのコミュニケーションというのは、親としても、永遠の課題だと思います。私自身がすごく感情的なので、子供にイライラして、強く言って後悔することがあります。

最近だと、子供もどんどん口が達者になってきて、私が強い言い方をすると、「その言い方やめてくれる。」と言うようになりしました。子供に与えてしまう影響ということを考えると、心の余裕を持つということは、本当に大事だなと思います。

先ほど、カウンセラーやアンガーマネジメントの専門の講師としてお仕事されていると伺いましたが、次週、アンガーマネジメントについて、大切にされていることや想いについて、お伺いできたらなと思います。では、また来週もよろしくお願いします。


任さん
 よろしくお願いします。


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経営戦略としてのワーク・ライフバランス福利厚生の一環ではなく、企業業績向上のために。 現代の社会構造に適応し人材が結果を出し続ける環境を構築する「サスティナブルな働き方改革」のプロフェッショナル集団です。

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大家 三佳
東京在住、京都造形芸術大学卒。子育てをしながら、水彩画、ドローイングを中心に人、食べ物、動物を描くイラストレーター。パッケージやポスター、グッズなど幅広い分野で活躍中。透明感のある優しいタッチで、日常の風景や人物を描く。ペーターズギャラリーコンペ2014 宮古美智代さん賞受賞など。



編集、プロデュース、インタビュー:前川美紀(ワーク・ライフチャレンジ プロジェクト代表/ブランディングディレクター)
note編集:松本美奈子(次世代こども教育コンサルタント/認定ワーク・ライフバランスコンサルタント)


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