【詩】詩篇2024
2024年に書いたジャンク詩群。
どなたか朗読してください。
「感謝」
「白」
「殺虫は楽しい」
「蒔絵」
「獣」
「恥」
「義理」
「公可魔」
「デブ」
「涙なめの一生が海のような楽しさを振りかざしそうな路上をいつまでも砂浜代わりに踏みにじることが俺の生活苦」
「血」
「タフ」
「懐胎」
「仲良し」
「接吻」
「公」
「有名税」
「魚」
「座」
「寝ぼけた人、ここに眠る」
「季」
「磁石」
「訃報」
「A闇B」
「某氏」
「露」
「辞書」
感謝
先に引き出しを開けることになることを見越して指を
切り落としてきたことが無駄になることを
見越してあえて指を揃えて先に来たことを無駄にしそうな友人たちは
机という机を
跡形もなく恥に変えていた
許されない思い出に向く心の目玉をえぐっている
ずさんな包丁研ぎに覚えた感謝の念を告げ口しよう
見ず知らずの全員めがけて礼を言うことで
裂け目をつなげた刃のほころびに
幸福を教えられ尽くそう
不死身の感謝者 滅多刺しでも
良くなる気分は 有り余る
白
塩を忘れた墓場は 味気ない大理石を晒す
出来損ないの双子を見つけるたびに耳元で囁いてやろう
蛆虫の片割れは蛆虫を忘れて遊び回っているのだと
しびれを切らすのが好きそうな面を俺に見せびらかすことだけが親友のかけがえのない人生だ、と知りもせず
すごむ、未だに
8時間毎に一人 刑吏が穀潰しに蛆虫を振りかける
友情を マニアックにせびろうと
法に通じているらしい蛆虫が
すり潰されながら
弁護士を呼んでいる
介錯人にしか通じない電話番号を暗唱しながら
刑吏に待ったをかける権利を
死にものぐるいで行使する
湧きに湧いた蛆虫たちしか罰せそうな被疑者のいない被害者
殺虫は楽しい
大声で空耳を発する演説者をステージから引きずり下ろすことだけを生きがいに
老若男女が希望を抱く
夢中になる 面白くもない遊び道具の真ん中に
ハエ取り紙のような演壇を設けに設け待ちわびる
もう一度 聞こえてくれそうな断末魔を
殺すかのように
待つ
蒔絵
心拍数を上げてくれる洞穴に 病院のもととなる場所を築いた野蛮人が
爆笑を誘うやり方で包帯を扱いながら
生まれて間もない馬鹿を治療した
理論的に考えればすぐに分かる流産師の素質の有無を
いつまでも 恋占いの延長で解こうとしていた隣人は
丁度その頃
夢の中で新しい蒔絵のデザインを思いついていた
ルートを変更した船のような無線機を積んだ
走る自動車を まず描こう
なんの脈絡もなくそのように決意したことなど
十年も経てば忘れてしまうのではないか
と 思うことは杞憂であり
十万年ほどは洞穴の壁で恥を晒し続けているだろう
獣
猫じゃらしをくわえ クチャクチャ音を立てて
害獣駆除を参画するに足る遊びへと
勇み足で変貌させる 内気な会社員は
活動費から分捕れそうになっても
やめる気を 抜け目なく起こさせず
インクで汚した契約書めがけて
いつまでも
消火器代わりの催涙弾で以って
性的いじめを楽しんでしまう
恥
パイを経ただけであっても
ことはある
立志も殺子も
エイやパイも
経
めぐり
来たりても
やあやあ
休み休み
入れ子を
ほぞむ
エスが
カストリ酒で
矢
矢
入り子
売る
しんでも良い思いをさせず
るイン
アウトテイク1
2
3
恥をしのんでおたずねします道すがらでは
昆虫たちが入浴を楽しもうと
猫じゃらしのひだで
けだものくさいよだれにむれていました
縄跳びの刃で首をかき切られるのは
幼かろうと何だろうと
みぞおちというみぞおちから受信できそうな気配を読み取りそうになってくれそうな
西洋土人集団の祭壇の長な。
馴染みの服飾わずらわせは
町合わせ制服にも丁から半までズボンズボンと卑猥さを感じさせないこともない音を立てつ
不死身でけじめをつけ
永遠を使って罪滅ぼしに役立てそうな
受刑者の反省の弁を
ガスから先に
吸わせた。
義理
相棒の指をねじってちょん切るのが大好きな男が義理堅さを証し続けている場所に居座って
飲みもしない酒を注文してやる
大声を出されて青ざめた顔をさらけ出されることになれず
コップの縁で唇をすぼめているかのように
ほそぼそと 発注してやる
すすれないストローをちょん切りながら
公可魔
公可魔が 平日の午前7時だというのに ナイフとフォークを握って 肉を切り刻み 野菜を切り刻む
デブ
好いたらしい人情の在処を 電報嫌いで有名な 新聞職人の面構えから読み取って マーケティングに有効な人望のなさをさらけ出すのが おじさんの好みということだ
就寝を忘れた人望の欠落からも伺えるのは人情味あふれる有色っぷりであろうかと
奥さんは未だに身構える
犬の骨から食わされそうになってくれはしまいかと
夫人病を啓発する妊婦を演じるのはもうたくさんよと
わがままを覚えたてのセクハラ小僧がよだれを垂らしながら包皮をさらけ出して
おじさまを待つ
欠断する気も失せる恥辱にうつむきながら赤面しているのは
青々しいお嬢様がたから選ばれに選ばれる
有名な福笑い好きのデブばかり
新茶ばかりこぼされ迷惑されているナプキンが 新しい血を求め また トラウマの下に身を晒す
涙なめの一生が海のような楽しさを振りかざしそうな路上をいつまでも砂浜代わりに踏みにじることが俺の生活苦
気遣いに放火星を蝕みながら、
売る、
肉片を、
体らしく
積み木の代わりに遊ばれても まだ商品らしくなれそうな潔癖さが
語源のおこぼれに預かりづかれて
買い入れる
こうこうと反吐を出せずにいる 湯がいた小便入れは
使用人の9歳の娘を 包丁まみれの海で まだ泳がせているようであった
涙なめの一生が海のような楽しさを振りかざしそうな路上をいつまでも砂浜代わりに踏みにじることが
俺の生活苦
そら ガキの胸ぐらをつかむには及ばない程度には
Cという字が
ありがたく感じられることになる
それは
避けられない
川上で漏らされた小便の匂いが 海へ 海へと逆流しつつも 英気を養うためと称して 宗教的な物思いにふけり 見たこともない楽器を吹いている まるで 尺八のように!
汚らわしい穴あけ器が
空洞を装う内容物から
賄賂じみたわいせつな警報装置を
デリケートな部位という部位にて
息を切らしてひけらかす
映像は良い 良い 許すも何もない 俺の記憶はまだ 現実のままでいる
火事が、
消されることを妄想しながら、
さり気なく、
雨に媚びる
血
自宅に似ていないこともない土地を俺の周りから取り除いている不吉な連中の影には見覚えがないこともないだろう
九百回以上も電話したのに かかった時間はわずか三分 計画性以外に何もないと思わせてくれる
政権が好きなホームレス小屋に火を放って
俺は野党を下請けしている商売女を務めている
婦人向け雑誌はもう全て読破した
目は肥えている 律儀なことに
気分を悪くする血と土の出所にも目星はついている
タフ
品格のかけらもない物のぶん投げ方を分身たちから教わりすぎた貴婦を
人身
芸能的な屁理屈をこね回しても
まだ読点にたどり着けない長文を
こしらえて
君たちの幼馴染からせしめとった職権は
濫用されてもされても尽きることがないと見える
経血まみれの助産婦騙りが上手な映像技師だ
格好だけは良い
くわえタバコで
性的異常者らしさを微塵も感じさせず
上っ面だけは 老人思いに見えるよう
整えて
変装しているように見える
肉の内側に耳かきでこすりつけられてやろう、俺が見ている色の塊には
弁解の催促を続ける気にならないほど
内側へとこすりつけられやすそうな肉が
反則されることを待って
俺の内側へ色目を使っている
赤い血が
意外にも俺のそばへと流れようとさらけ出される、
タフか何かの下にでもあるのが
ふさわしそうに 思わせながら
懐胎
肥溜めの真ん中で いびきをかくための大口を
下水管代わりに開いている
幸福な処女が
子宮の内側にヒト型の腫瘍を
徐々にへばりつかせようと
いきむ
仲良し
犬を切除しているらしい、あの料理長の入退院の巻き添えに
犬が切除されているらしい、夢のようにはらみやすい子宮が
羨ましがられもせずに、土地所有者の反吐にまみれて
突っ込まれているらしい、灰皿へ
ゆ
ゆが
ゆがむ
ゆがむ気もなくなるほど
エテ公が性格をなぶり殺す
お前 恥をかいたことがあるらしい な
接吻
入院するのをためらわせるに足る健常さが通り魔のように無差別さを浴びせかける、人々へ
友人マニアたるものは
口止め料すら払わず訪れ
個室を 心臓たちの キスで
祭り上げる 楽天的に
公
あれ 巨大山が燃えている ふもとで えーええーえ
湯気に似た気体を
熱くすれば
大量に吐く機械を発明したことのある誰かが
実在性だけ
さらけ出しているのが
巨大山の
ふもとらしくも
かようなまでに えーえーええーええー
燃え
燃え
燃え
焼け
黒焦げて
湯気の頼りを
いじめたくなるほど
狼煙としての役を
えー
えー
公共的に
担うっ
有名税
今度こそ公共圏を有名にしてやる
閉所恐怖症であろうと絶望を感じずに済む場を
設けに設けてきたことを
知らしめてやる 知らしめてやる
うんざりするほど
うろ覚えの才覚を似姿に封ずる有名人どもからふんだくった財産で
有害状に 城を経めぐらせてやる
公的に!
魚
不都合なほど
馬鹿馬鹿しい音を
海底で
魚たちに突かれながら発している
残骸のような人生が
人魚のふりをする
座
設置されるかと思いきや、いつまでも放置されることが
死ぬほど、この家具は、好きだ
打ち明けられることが快く思えないことに限って
囁かれるのは、家具の唇の
隙間であることに
なる 一概に言えてしまうほどに
なる
客舎も情緒もなく
なる 確かに
反吐を出そうと力む時
受け皿のような面構えは
へばりついて、俺の顔面へと、
いる
確かに
ほとばしるのに疲れた友人は
家を変えても
まだ
血を丸くしたいと
願っている
恥を ベタつかせるほど 熟知する アイロン台は アイロニカルに 膝で寝る
寝ぼけた人、ここに眠る
棺桶の底でおばけを怖がりながら20年も耐えてきた人生の落とし前に
石をくれ 俺の名字をほった石を 魔除け代わりに くれ
季
高裁に人形つがいを選んで置き去る猿人の句
一季節だけ予想させてやろう
それはきっと
夏だ
十円札がポケットの資聴器を蝕んで
卑怯者に恩赦を与えている
平静さを誇らしげに足し算している夢見がちな老女が
ガス管からも未だに欲情されてしまっているらしい
けど けど でも と否定の言葉を頭の奥底めがけてぶちまけるのが
俺だけの特権だと思いこんでいたその昔から
言い訳の数だけは
計算逃れをしくじらずに済んできたのだが
……いない、まるで、誰も、数唱する平静さを、持ち合わせてはいない
口がまともにたそがれた味を利かせても利かせても
まだ 言質が取れずにいると見える、安穏と!
ゲル状だと思い込まれた 絞り水からもまだ
誤解されるのを良しとしない記録を
せしめ取れそうな気が かつて していた
ガスさ 眠たくさせる気にもならず
漂う昏睡状態が 俺達のたちんぼから
永遠機械を眼底の方へと押し込める
卑屈な身振りとしか言いようのない
液体らしさの欠損が
視神経を第一に優先しつつも
水で経験を豊かにさせる
冬さ
刑が 廃屋で遊んでいる
許用人を見物へと巻き込むからと
忙しそうに 廃屋で遊んでいる
磁石
油からも汚さを読み取りそうになるのが生き商人の恥さらしさ さあ
夢を比較対象にするが良い動物園に
以上のかけがえのなさからもなにか
言ってあげられそうになってしまう
打ちのめそうとしても耐えられなくなってしまう
不死身の病からがら 生を発露に捧げ尽くす
閉所恐怖症に求める場所はここしかない
SとNをくっつけても気違いしか寄り付けないのは
商売ですら三角形気取りで英才教育基準法を支持させられる現状では
なかなか踵を返しづらいものがある
だが ものとは何だ
譲れない一線 三角錐にも一円だけ入れさせてやろうと
湯水のように それらは 来る
来・る!
訃報
空の筆箱が書かせようとする訃報を未だに読む気配もなしに、見ている 青い気体の束を
上方で
影も形もない光源を直視する間柄からは
想像もつかない照らされ方で
見ている、口内炎に少ししか似ていない苦味を
噛みしめることにまだ飽きもせず
遊歩するまな板の底で
黒点を演じられるほど
害悪のもとが 俺であることを やめない
A闇B
工場でU字金具をしゃぶっている肌色のネズミが今に良い思いをさせてくれると、俺は、信じている
未だに!
よだれ拭きを汚すため ただそれだけのため
AからBをゆっくり口ずさみつつ
たれていく 手紙を書けそうなほど いともはがきらしい紙に 容易に
助かりは 文字の黒さを 模倣する
大げさな草原を 口ずさむに足るほど長い 歌手の遺作とともに 叫ぶ
火事魔 AからBを 水車の羨ましさが 際立つことになる場面で
口ずさむ
叫ぶ
そして
呼ぶ
人影を形どった土着民人形が
たらす よだれを おしぼりのひだへ
某氏
某氏が俺を呼び止める
コウナゴを食べ尽くすのは 「ハ」と「ワ」の区別もつかない先生術の検のせいにしておけば まだ
救われうると
ケッタイな申し出で
抱き寝したくなる顔を ギブアップしそうな青年運動家の前へとさらけ出せば救われる
そう 教えてくれそうな 少女軍団の面構えは
マクニンをまくったケツの穴にも匹敵する日中行事の糞ったれへと獲物を
おびき寄せてくれそうにも思えなくはない
ドアチェーンの向こう側へ追いやられた女学生の体つきから察するに
妊婦ではなさそうだ
例年通りにうろたえてもうろたえてもまだ飽き足らずに練り歩く
将棋好きに見えなくもない 休会者たちは
名簿の先頭に立って
ひらひらな口を俺達の代わりに利してくださって
いたのでとても助かる
侠客から教えてもらった耳寄りな情報によれば
百円ショップから品おろしした珍海船が
闇に紛れながら迷子を装っているらしい
胸が踊って踊って踊りまくる お話にワクワクさせられる コミックになりそうなくらい 酔い話をしてくれた侠客からは
感謝の言葉を引き出すことすら負けてやりたくなってしまうが
そういうわけにも
いかぬ、
けして!
露
こうも天気に恵まれないと、ガス管の先端にまで水滴が溜まって、俺の唇にくわえられることを喜んでいないよう感じられてくる
全体主義の香りを各家庭に運ぶための通路が
くわえタバコからこぼれ落ちた火の粉に少しばかり深刻な意味を与えようと
努力する暇もなくしてしまいそうな
天気だ
辞書
弱々しいうめき声に導かれ、戸口に立ち、周囲を見回してみれば、気が済むまで事典を読み耽るのを許してくれるであろう司書が、まあ何ということか、都市の向こうで、本棚を背にして、俺に手招きしているのだから、俺は歩み始めるよう、促されているようなものだ! しかし、司書へとたどり着くため、すなわちそれは弱々しいうめき声をもっと近くで聞くようになるためということでもあるのだが、ともかくそうするため、進もうとする俺のいる戸口と目的地の間には、都市が居座っているのだから、要するに俺は、突っ切らなければならないわけだ! 歩むことで、横切らなければならない道をその内に含むところの都市が、俺と、司書とを、媒介しているわけだ! 戸口から一歩前へ!
進んだ!
たどり着いた! 司書との間にあった1.5kmなぞ、マラソンとかいうくだらないにもほどがある営みに費やされる距離に比すれば、無のようなものだった!
汗が滴り落ちた、俺の皮膚から! 歩んできた距離のせいだろう! 汗が、書棚の本にかかった!
司書が俺を睨んだ!
百科事書が、ふやけた!
弱々しいうめきであるかのような活字たちが、書物の内側でその姿かたちをにじませながら、別の書籍の別のページに、手招きするかのようだった!
マラソンとかいうくだらないにもほどがある営みに費やされるほどでもない長さの道を含む都市を隔てるかのように!
字が! 字が!
戸口へと! そこで見回されるところの場所へと!
汗が!