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高齢者施設の食事風景―傍観者のつぶやき
かつて歯科衛生士として、ケアマネジャーの方に昼食風景を見てほしいと依頼されたことがありました。
現在は社会福祉士として、高齢者施設で実習やボランティアの経験をさせていただいています。
高齢者施設で見かける、「ああ、大切にされてるんだな」と思うこと。
食事の際に、座位が保たれていること。
足元に本などが置かれ、腰、肘、背中にカスタマイズされたクッションがあるとき。
むせずに、美味しそうに食べている姿を見たとき。
トップマネジメントは凄く大切だと感じる。
ボトムアップも大切、そんな瞬間。
一方で、パーキンソン病などの疾患がある方が、足元がふらつき、背中も腰も落ち着かず、食事がほとんど進まない。
でも、「気が逸れるから」と持ち物を没収され、本人の問題として扱われてしまう。
そんな光景は悲しくなった。
本当は職員も気づいているのだろう。
ジレンマを抱えて仕事をしているのかもしれない。
トップマネジメントがやはり大切だと感じる、傍観者のつぶやき。
食事の時間がかかる、むせる、こぼす――そんな時、まず最初に考えるべきは「座位が保たれているか」という視点。
サービスのマニュアルに記載がなくとも、人としての尊厳が守られ、その人の意志や選択が尊重される介護。
「効率的に、早く早く」ではない、介護の在り方の違いを見た気がした。
ある方が言っていた。
かつて大学生の時実習先で、一つの器にご飯、おかず、薬を入れ、混ぜて提供している高齢者施設があった。
「あなたはこれを食べることができますか?」――そう指導者に問いかけた。
その後、大学では問題となり、実習の取りやめにまで発展した。
大学では指導者に謝るように言われた。
それでも「私は間違っていない」と主張し、それをレポートにまとめて提出したという。
何十年も経った今も、そのレポートはリビングに飾られていると聞いた。
そして、その方は今、高齢者施設でマネジメントを担っている。
とても感銘を受けた。今でも時々思い出す。
その方のような人が、今の介護を牽引しているのだと。