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「孤独」は消せる。|孤独の苦しみを知るからこそ想い描ける、孤独が解消される未来への希望を感じられる本
株式会社オリィ研究所は、分身ロボットOriHimeや障害者向け人材紹介サービスFLEMEEなどを提供している日本屈指のテクノロジー企業である。テクノロジーによる孤独の解消、テクノロジーによって「できない」を「できる」に変えることに取り組んでおり、国内外で高い評価を得ている。
筆者にとって株式会社オリィ研究所は最も好きな会社であり、日本で最もイノーベティブ且つ多くの人々を救ってきた温かな企業だと感じている。また、孤独の解消が大きなテーマになっている日本において、今後ますます重要性が増す存在だと考える。
そんな株式会社オリィ研究所の創業者の一人である吉藤オリィ(吉藤健太郎 氏)の著書である『「孤独」は消せる。』は、同士の幼少期からの来歴とともに現代の日本が抱えている孤独との向き合い方が書かれた書籍である。
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今回のnoteでは、『「孤独」は消せる。』を読んで思ったことをつらつらと書いていこうと思う。あまり明るい話にならないかもしれないが、もしも読んで何かしら想うところがあったら、ぜひ『「孤独」は消せる。』を手に取って読んで欲しい。
『「孤独」は消せる。』は日本の未来に希望を感じられるようになる温もりにあふれた一冊
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『「孤独」は消せる。』において、「孤独」とは「誰ともつながりを感じられず、この世界に居場所がないと思ってしまう」を指している。つまり、物理的に独りになることをいうわけでない。
たとえ家族とともに暮らしていようと、恋人や配偶者がいようと、そうした人々とのつながりを感じられず、居場所を見つけられずにいるならば、それは孤独と言える。もっともそれを孤独と認められない人々もいようが。
本書において、著者は不登校になった期間について孤独感があったと書いており、「孤独」の定義もそうした実体験に基づいた内容となっている。また、本書ではALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症した人々や病院に入院している人々が登場しており、社会との接点の消失について触れられている。
そうした社会との接点が消失した状態についても「孤独」は当てはまると読み取れる。つまり、本書における「孤独」は、現代を生きる我々にとってとても身近なものであり、ふとした瞬間に誰もが陥る可能性のある状態である。何せ、社会との接点は、意外と簡単に消える。
かくいう筆者も、およそ10年前に突然の病で障害者となったが、それが判明してからの2年程度は「誰ともつながりを感じられず、この世界に居場所がないと思ってしまう」状態に違いなかった。
もっと言えば、実質的に今尚近しい状態にあると言えなくもないが、その当時、そしてその後個人事業主として独り働いていた6年程度の期間に比べれば幾分かはマシと言えるかもしれない。
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同じ吉藤オリィ氏の別の書籍『サイボーグ時代〜リアルとネットが融合する世界でやりたいことを実現する人生の戦略〜』で強く書かれているが、当時の筆者は、それまでできていたことが突然できなくなり、絶望に近い感情を抱きながら、独り部屋に籠もるしかなくなっていた。
障害によって他人との対面コミュニケーションをほとんど行えなくなり、当然のように仕事ができなくなった。それまで対面コミュニケーション頼みの仕事ばかりを行ってきた筆者にとって、突然何もできなくなったに等しい。
仕事を失い、金銭を家族に依存するしかなくなったときの惨めさは、自然と死ばかりを考える時間を招いた。生きれば生きるほどに他者に迷惑をかける。それに対して、自分は何を返せるわけでない。そんな日々が何日も何日も続くのだ。
感謝は集めてしまってはならない。送りすぎてしまってもいけない。
何かをしてもらって「ありがとう」と言ったら、次は何かをしてあげて「ありがとう」と言ってもらえる、つまり”循環”が人の心を健康にする
本書には、上記のような文章が書かれている。『サイボーグ時代』にも同様の話が書かれている。この話は、翻せば「ありがとう」を言い続けるだけになった状態は、人の心を不健康にすることを意味する。感謝し続けるばかりの日々は、苦痛であり、惨めであり、死にたくなる。
筆者は、身を以てその苦痛を理解しているし、著者の吉藤氏も実体験としてその苦しさを理解しているからこそ、このような考えに至っている旨を書いている。他者に感謝するばかりの日々を何日も何日も繰り返す経験は、存外ないものだ。そういう意味では、貴重な体験をしたのだと筆者は感じている。二度とごめんであるが。
おそらく、人は人に会うために外に行くのだ。
人の営みに参加するために、我々は外に出かけるのだ。
著者は、「孤独」から脱却できた要因の一つとして、出会いを挙げている。そして、「孤独」を解消する上で、リアルな人と出会い、友人と思い出をつくり、人から必要とされ、社会にも参加できる、そんな技術を志向し、開発を続けている。
そうしてできたものの一つが分身ロボット・OriHimeなのだ。独り部屋から出られなくても、ベッドで寝たきりになろうとも、ALSで身体を動かせなくなろうとも、もう一つの身体を得たように外に体感できるようになり、社会参加を可能にする技術である。
人間は、本能的に今できていることができなくなることに恐怖を抱いている。今会っている人たちと会えなくなったらどうしようか。手や足が使えなくなったらどうしようか。話せなくなったらどうしようか。
そうした恐怖は枚挙に暇がなく、だからこそ日々不安に駆られながら幸福度を高められずにいる。しかしながら、分身ロボットOriHimeがあれば、少なくとも孤独という恐怖から解放される。
何せ寝たきりになったとしても外の世界と繋がれるし、多くの人々と同じ景色を見て、交流することができる。仕事だってできる。想像してみて欲しい。寝たきりになったとしてもカフェで仕事できる未来が訪れているのだ。
世界が新型コロナウイルスの感染拡大の猛威に震える中で、飲食店で働く多くの人々は行き場を失い、絶望に晒された。中には、飲食店は在宅勤務ができないと憤りを覚えた人々も多く見られた。しかしながら、OriHimeはそんな絶望に一筋の希望をもたらしている。
何せ、外出できない人々や障害を抱えた人々が、遠隔で接客をする未来が現実になっている。飲食店で接客業務をできている事実は、他の様々な仕事であっても対応できることを意味する。つまり、手が動かなくなろうと、足が動かなくなろうと社会との接点を持ち続けられるのだ。
五体満足でなければ社会との接点が作れず、他者にありがとうを言い続けるばかりの苦しい日々を送り、孤独を深めて生に絶望する。そんな辛いだけの現実は過去になろうとしている。株式会社オリィ研究所が、人類に希望を作ったのだ。
日本は、今後孤独になりやすい人々が増えていく。何せ少子高齢化が進み、人口も減っていっている。東京でさえ、少子高齢化の猛威に晒され、明るい未来を描けていない。他の地域は言うまでもない。
筆者は、高齢独居の厳しい現実に苦しんでいる人々を多く見てきたし、また自分自身がふいに訪れた病によって孤独感を深めるばかりの日々を過ごしてきたので、どれだけの苦痛や苦悩が社会を埋め尽くしていくか容易に想像できる。
だが、そうした社会はテクノロジーの力でどうとでも変えていけるのだ。株式会社オリィ研究所は、まさにそれを証明し続けている会社である。『「孤独」は消せる』、そして『サイボーグ時代』の2冊は、孤独に抗った一人の人間が生み出した孤独を解消するための希望が書かれた本である。
これまで以上に孤独に苦しむ人々が増えていくと考えられる今の日本において、そうした未来を防ぐためにも読んでおいて損のない書籍だと感じる。今孤独に苦しんでいる人、いつか訪れるかもしれない孤独に対して不安を抱えている人、身近に孤独で苦しんでいる人、そんな人々にぜひ読んで欲しい。
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