限られた時間をどう過ごすか、という問い
80歳まで生きるとして、人生はたったの4000週間だそう。
では、その限られた時間をどう過ごすか、という問いへのひらめきをくれるのがこの一冊。
いつになったら「満たされる」の?
「後で楽しむために、今は我慢しなさい」
子どもの頃からそうしつけられた人も多いのでは。
けれど、いつまで今を犠牲にしつづければいいのだろう。死ぬまで?
この問いについて自分の中で解を持ち合わせているか否かで人生は変わる。
この問いを咀嚼できていないと、今を生きることができなくなり、未来のことしか考えられなくなると著者は説く。
いっぱいになった受信トレイ、長すぎるやることリスト、SNSの際限ない誘惑。
わたし自身も、「ぜんぶ効率的に終わらせなきゃ」という強迫観念をもって色々なデジタルツールを使って時間・目標管理を行ってきた。
どれだけテクノロジーが進歩して効率化されても、そのツールが大衆化したときには自分以外のみんなも効率的にタスクをこなしてペースがそろうから、、結局やることの総量は山積みになる。
いつになったらすべてやり遂げられるの?!と空虚感をおぼえるのがオチだったり。
そんな現代人に対して著者がいわんとするのは、
「どれだけ効率的に動いてもすべてを実行するのは不可能。
だからこそ、すべてできるという思い込みを断ち切って、意識的に何に集中し、何をやらないか選択することが大切」
ということだ。
「未来をコントロールしたい」という執着を手放す
自分がやりたいことも、他人に頼まれたことも、すべてをやっている時間はない。だから、それを認めて生きる。
必要なのは効率を上げることではなく、すべてをこなそうという誘惑に打ち勝つことが必要だと著者は説く。
わたしたちは、物事が期待通りに進むかどうか常に不安だ。
ただ、誰も未来のことなど分からない。
それなら、未来をコントロールしたいという執着を手放し、「今」に向き合うことが重要なのかもしれない。それが自ずと、未来につながっていく。
こうした考えはストア哲学や仏教での思想でも垣間みれるが、有限である人生のなかに散らばっている「二度とない体験」との一期一会を噛みしめることが幸せということかもしれない。
最後に
哲学、心理学などあらゆる観点から時間と時間管理について考えさせてくれたオリバー・バークマン著、「限りある時間の使い方」。
他人の理想でなく、「自分」が残りの人生で、何を人生で感じていたいか、触れていたいのか深く考えるきっかけをくれた本でした。
ビル・パーキンス著の「Die with Zero」で語られる人生観にも共通するところがあるので、併読してもおもしろいかも。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
ふだんは旅暮らしや読書、ボードゲーム(とくにポーカーやチェス)をして猫のように気ままに生きてます。
またふらりと、覗きにきてください。いいねが励みになります :)