二項対立を乗り越えろ。『「友」と「敵」の脱構築 感情と偶然性の哲学史論
著者情報
西島佑(にしじまゆう)
1984年 兵庫県生まれ
2017年 上智大学大学院グローバル・スタディーズ研究科国際関係論専攻博士後期満期退学
現在 上智大学総合グローバル学部特別研究員PD
概要
世に蔓延る、「友」と「敵」。二項対立。「味方」と「敵」。そのような観念に囚われることは、はたして世界を見つめるのに十分な要素と言い切ることできるのか。数え切れない人間関係が蠢く人世を、判明な二項対立で読み取ることは可能なのか。「脱構築」や「感情」を基に固定的な見方を解きほぐそう。
感想
久しぶりに、自分の価値体系に組み込みたいと感じる本でした。今年に入って、ニーチェ、アウレリウス、トルストイなどの、納得させられ且つ忘れたくはない思索と出会ってきましたが、この本もバチバチに頷くばかり。
「友」と「敵」という二項対立が何を意味するのか。
どうして、私たちは恐怖するのか。
どうして、ラディカル・デモクラシーがシュミットの描くようなものになるのか。
他者とは一体だれなのか。
などなど、普段は当たり前のことだと思っていたことの不確かさに気づき、あぁ~、また偏見に囚われている~!と思いましたね。良い意味で、自分の残念さに気づかされましたよ。
中には、自分の(?)の考えと似ている部分があったので、楽しみながら読むことが出来た半面、色んな哲学者や心理学者が出てくるので、まぁ理解しづらい所もほらほら。
やはり一度読んだだけでは理解できないものなのだな・・・と痛感です。
吸収したい考え
この本では、「脱構築」という言葉が非常に重要になってきます。詳しい意味は書きませんが、とにかく「それってさ?本当に全体を理解するのに必要なことなの?」と、根本的な思想の原理を揺らがしてくれます。
こういう本、大好物ですね。
「脱構築」。是非、参考にしていただきたい。
分からなかったこと
本書では、副題にある「感情」がキーワードになってきますが、イマイチこの「感情」について、よく理解できませんでした・・・。
アントニオ・ダマシオや、スピノザを例に挙げながら、説明してくれたんですが、いまいち「友敵関係」と、どのようにかかわるのかが、不明。まぁ。読解力がシンプルに低いだけかもしれないですがね・・・。
もう一度、読もうと思いますわ。