円と直線の夢《Dream Diary 17》
xxxx年05月10日(x)
まっ白い夢の平面に、黒い線で円が描かれている。その右側には垂直な縦線が引かれている。私は傍にいる誰かに言った。「あの円の中心に行きたいんだけどな‥‥」。ところでしかし、夢の中でしばしば私の傍にいるこの人物は一体誰なんだ? いつも男性なのが何ともつまらない。もっとこう何て言うか‥‥色気ってものは無いのか色気ってものは。夢分析やユング心理学にとっくに興味を失って、かつておゲージツ療法講座で書かされた夢日記を好き勝手にいじくっている今日此の頃だが、ここは昔に戻ってユング心理学用語を復活させ、夢の中に『アニマ』のネーチャンに出て来てもらおうじゃないか。ムンムンむっちりウハウハ女性に。さあ興奮してきたぞ! と思ったら早速アニマ女性が円の中から顔を出して言うには、「オバチャマはね、『アニマ』は女性じゃなくって女性原理あるいは元型って言うのが適切だと思うの。『アニムス』の方は男性原理あるいは元型ね」。!?!?!? そんなこたぁどうでもいい! アニマ女性の顔を見よ! 「あなたは、コッ、コッ、ココッ、小森のオバチャマ!!! 」。伝説の映画評論家・小森のオバチャマがアニマ女性として出現したので、私はもンの凄ぉ~く驚いたが、何とか気を取り直して、「あのう‥‥オバチャマよりオネーチャマに出て来てもらった方が僕としてはベターなんですけど」と遠慮がちにお願いした。しかしすぐに、同じ伝説の映画評論家でも、淀川長治が出て来るよりはマシだと思い直した。その途端、円の右側の垂直な縦線に両手両足を絡めて、バイオレットのレオタードを着た淀川長治翁がポールダンスを踊り始めた。目くるめく光景に得体の知れぬ恐怖を感じた私は、円の下に描かれている水平線に跳び乗って左方向へ、まっ白い夢の平面からスタコラ走って逃げ出した。レオタード姿の淀川長治翁がサヨナラ、サヨナラ、サヨナラ‥‥と繰り返しながら私に手を振っている。