天野一男(amano)

自然災害・環境問題などを考えている地質学者です。コロナ後の情報社会のあり方なども地質学の立場から幅広く考察していきたいと思います。趣味は、フルートと読書です。読書感想文も時々書きます。

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マガジン

  • 本を読む

    今は読まれなくなっている本、これはと思う最近の本など、なんでも取り上げて紹介します。分野も様々です。 独断と偏見で、3段階の評価をつけます。     ☆☆☆:読む価値あり     ☆☆:暇なら読んでも損はない     ☆:無理して読む必要なし

  • 地球を語る

    宇宙の起源から地球の未来まで、ビッグヒストリーの観点から語っていきます。

  • 市之助残日録

    後期高齢者になりそうな著者(市之助)の心に移りゆくよしなし事を、脈絡もなく語っていきます!

  • 自然災害を考える

    日本列島は自然災害のデパートです。日本列島で発生する災害を中心に災害の背景となる地質や地形に基づいて考えていきます。

  • 折々のおちぼ拾い

    書籍、雑誌、新聞等々からキラリと光ることば・文章を見つけて、感想を書いていきます。

最近の記事

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はじめまして!

地質学が専門です。138億年の宇宙創生以来の歴史と人間の歴史をシームレスの考えるビッグヒストリーにはまっています。自然科学は勿論、人文科学や社会科学の分野にも興味を広げ、社会・教育・政治への意見もビックヒストリアンの立場から意見を述べていきたいと思っています。 #SNSの教科書

    • [ひろしま]石内 都(2008, 4,30)集英社78p.☆☆☆

      写真家 石内 都氏が、広島平和記念資料館所蔵の被爆死した人の遺品の中から肌身に直接触れた品物を選んで撮影した写真集である。 シャツ、モンペ、肌着などごく普通の衣類を広げて撮影している。 原爆の被害の写真というと黒焦げになった遺体など目を覆いたくなる残酷なものもあるが、この写真集に集められているものは焼け焦げたり、裂けたりしているものの、被害者が被爆直前まで身につけていたというぬくもりが伝わってくるものである。 戦時中とはいえ、普通に活動していた普通の人々が、衣類を残して逝

      • [福田村事件:関東大震災・知られざる悲劇]辻野弥生(2023, 7,10) 五月書房270p.☆☆☆

        まもなく関東大震災後、100年になる。これを機会に関東大震災について主に科学的な検証をしてみたいと思う。そんな時にとんでもない事を識った。 関東大震災直後、朝鮮人が井戸に毒をいれたとか、放火している等の流言飛語によって朝鮮人の虐殺が行われたことは、よく識られていることであった。その時に、実は日本人も朝鮮人だとされて、殺されていたという。これは寡聞にして識らなかった。辻野弥生『福田村事件』は、千葉で発生した事件をレポートしている。四国香川からの行商人15名が、朝鮮人と間違えら

        • [喜作新道] 山本茂実(1986, 7, 20)朝日文庫.424p. ☆☆☆

          『あゝ野麦峠』で広く知られている山本茂実の作品。 北アルプスの中房温泉から槍ヶ岳にぬける登山道を切り開いた、猟師で山案内人の小林喜作の一代記である。 関係者への綿密なインタビューをもとに書かれたドキュメンタリーとして、迫力のある作品。 喜作は、腕の立つ猟師であると同時にビジネスの才能もあった、当時としては珍しい人物であったらしい。 明治から大正にかけての山里の水飲み百姓は極めて貧困であったが、中でも猟師は極貧であったという。 そんな中で、喜作は熊やカモシカ猟でそれなりの

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        記事

          [人間の運命] ショーロホフ(2008, 11, 22)角川文庫.188p. ☆☆☆

          私はもともとロシア文学が好きでしたが、プーチンのウクライナ侵攻以来、なんとなく読むのをさけていました。 先日、ずっと前から読みたいと思って積んでおいたショーロホフの『人間の運命』を思い切って読んでみました。 訳者が漆原隆子先生は、教養部のロシア語の授業の先生でした。 今から50年以上も前のことですが、今でも漆原先生の印象を覚えています。 漆原先生のことを思い出しながら、読みました。 独露戦でドイツの捕虜になって脱出したのだけれど、家族は全滅していた兵隊が、一人の幼い戦争

          [人間の運命] ショーロホフ(2008, 11, 22)角川文庫.188p. ☆☆☆

          折々のおちぼ拾いNO.17:ヒトラーとYouTube

          ヒトラー著「わが闘争」の巻頭言の中の言葉。 『人を説得しうるのは、書かれたことばによるよりも、話された言葉によるものであり、この世の偉大な運動はいずれも、偉大な文筆家にではなく、偉大な演説家にその進展のおかげをこうむっている、ということを私は知っている。』(平野一郎・将積茂訳) ヒトラーは、この言葉通りに実践し、政治的な力を得て、第2次世界大戦に突入した。 ホロコーストを始め、人の所業とは思われないことを行った。 実際には、ヒトラーに洗脳されたごく普通の市民が実行していった

          折々のおちぼ拾いNO.17:ヒトラーとYouTube

          本を読む(番外編) ChatGPTに感想文を書かせる!!!

          読書感想文、番外編です。 今はやりのChatGPTに『我が輩な猫である』の読書感想文を書かせてみました。 こんなのが帰ってきました。 皆さん、いかがですか? ************  『「吾が輩は猫である」は、夏目漱石によって書かれた小説であり、日本文学の名作の一つです。猫の視点から人間社会を見るという斬新なアイデアや、猫の特徴的な行動や感覚が詳細に描写されていることなどが、この小説の魅力の一つだと思います。  私たちは、猫の視点から描かれた物語を通して、人間社会に

          本を読む(番外編) ChatGPTに感想文を書かせる!!!

          高校教科書で見る日本の地震災害 [自然災害を学ぶための教科書 4/4]

          日本列島で起こる地震の特徴については、『地理総合』、『地学基礎』に簡潔にまとめられています。 勉強のとっかかりとしては、最適だと思います。 ここでは、それに基づいて最低限の知識を確認してみましょう。 震源の分布まずは、震源の分布を見ましょう。 震源はまったくランダムに分布しているわけではありません。 火山分布同様に、東日本において分布に明瞭な特徴が認められます。 東日本の震源分布の特徴を東北地方の東西断面で見てみましょう。 大きく見ると、震源は2つの場所に集中的に分布して

          高校教科書で見る日本の地震災害 [自然災害を学ぶための教科書 4/4]

          高校教科書で見る日本の火山災害 [自然災害を学ぶための教科書 3/4]

          プレートテクトニクスの立場から見ると、日本列島はプレートの沈み込み帯に位置しています。 前回も述べたように、これが日本列島に火山災害や地震災害が多発する理由です。 日本列島の火山分布まず、日本列島の火山の分布の特徴を見てみましょう。 過去1万年間に活動した証拠のある火山を生きている火山『活火山』といい、全国で111認定されています。 活火山の分布図を見ると、日本列島のどこにも活火山があるわけではありません。 北海道から伊豆-小笠原にわたる東日本において、分布は特徴的です。

          高校教科書で見る日本の火山災害 [自然災害を学ぶための教科書 3/4]

          高校教科書で見る世界の自然災害 【自然災害を学ぶための教科書 2/4】

          私達が住んでいる日本列島で起こる自然災害を考える上で、グルーバルな観点は大切です。 日本列島が地球上のどんな位置にあり、そこで起こる自然災害が世界で起こる自然災害に比較することで、日本列島でおこる自然災害の特徴が見えてきます。 今回は、前回紹介した「地理総合」の教科書を元に世界の自然災害について見てみましょう。 6種類の「地理総合」の教科書の内、4種類でグローバルな自然災害を意識的に扱っています。 世界で発生する自然災害には様々なものがありますが、日本でも発生する自然災害

          高校教科書で見る世界の自然災害 【自然災害を学ぶための教科書 2/4】

          高校教科書はとっておきの教材 【自然災害を学ぶための教科書 1/4】

          日本列島は、プレートの沈み込み帯に位置する島弧です。 その為、地震や火山活動活動に伴う自然災害が頻発しています。 急峻な地形に起因する地盤災害も日本各地で起こっています。 地理的な位置から日本列島は年間を通じて降水量が多いとともに、四季による変化も激しくなっています。 台風による災害もほとんど毎年起こっています。 日本に住む限り、自然災害について学ぶことは必須です。 自然災害を学ぶための書籍自然災害を取り扱った書籍は大量に発行されていて、市民はいったいどこから読み始めたら良

          高校教科書はとっておきの教材 【自然災害を学ぶための教科書 1/4】

          単独世帯高齢者は自然災害にどう対処したらよいか?(その2) シニアルームシェア 【自然災害と高齢者4/4】

          空き家とシェアハウス最近、散歩をしていて空き家が多いことに気づきます。 そこで、茨城県の空き家の状況について調べてみました。 それが、下の図です。 平成30年までのデータで少し古いのですが、現在もその状況は変わっていないと思います。 平成30年をみると茨城県の空き家率は14.8%、全国の空き家率は13.6%です。 この空き家を高齢者のシェアハウスとして活用すれば、一人暮らし高齢者にとって自然災害への対応もできる可能性が増えるのではないかと思いました。 一人暮らし高齢者が自然

          単独世帯高齢者は自然災害にどう対処したらよいか?(その2) シニアルームシェア 【自然災害と高齢者4/4】

          単独世帯高齢者は自然災害にどう対処したらよいか? (その1) スマートシニアをめざす  【自然災害と高齢者 3/4】

          前回の記事で、1919年における一人暮らしの高齢者は3割近くにおよび、今後一層増加することが予想されることを書きました。 一人暮らしの高齢者は、自然災害での災害弱者になりやすいので、自然災害からどうやって身を守ったら良いか考えてみます。 まずは健康に!まずは、健康に気をつけて健全な体を保っておくことが第一です。 肉体のみならず精神的にも。 不幸にして健康を害してしまった時には、養護老人ホームなどの利用を考えなければならないかもしれませんが、これについては社会全体としての大き

          単独世帯高齢者は自然災害にどう対処したらよいか? (その1) スマートシニアをめざす  【自然災害と高齢者 3/4】

          ビッグヒストリー2:恐竜の絶滅と人類

          先日、ビッグヒストリー勉強会で、恐竜の大量絶滅の話をしました。 その時に話題になった『人間中心主義』、『人間原理』について、メモっておきます。 白亜紀末の生物大量絶滅地球の歴史の中で生物が大量絶滅した事件が何回かありました。 その内の大きなものの一つが白亜紀末(6,600万年前)の大量絶滅です。 恐竜を含んだ生物の76%が、絶滅したと言われています。 この事件によって生物界が大きくリセットされました。 大量絶滅の原因アルバレス(W. Alvarez)によって提唱された、小

          ビッグヒストリー2:恐竜の絶滅と人類

          災害弱者としての高齢者 【自然災害と高齢者2/4】

          茨城県の2019年の台風19号被害 2019年10月の台風19号では、茨城県でも大きな水害による被害がでました。 茨城県北の久慈川にかかる水郡線の鉄橋の流失は、全国的に報道されました。 下の写真は洪水が引いた後に現地調査に入った時に撮った写真です。 ビックリしたのは、橋脚があたかものりまき寿司のように輪切りになっていたことでした。 古い鉄橋で、鉄筋が入っていなかったようです。 こんな鉄橋は全国にたくさんあると思います。 茨城県大子町での高齢者の被災 大子町の中心街は流失し

          災害弱者としての高齢者 【自然災害と高齢者2/4】

          日本の高齢化 【自然災害と高齢者1/4】

          日本は、自然災害のデパートと言ってよいほど自然災害が多発します。 一方、世界の中でも大変な勢いで高齢化が進んでいる国です。 日本で自然災害を考える上で、高齢化は無視できないファクターになります。 コロナワクチンの接種後、次の日に副反応が出て一日ソファーの上でぐったりとしていました。 そんな中でなんとなく今後の自分の人生について考えたのですが、自分自身、年齢が『後期高齢者』に近づいていることに改めて気づきそれなりにショックでした。私の父は42歳で逝ったのですが、その父よりもいつ

          日本の高齢化 【自然災害と高齢者1/4】