高校教科書で見る日本の火山災害 [自然災害を学ぶための教科書 3/4]
プレートテクトニクスの立場から見ると、日本列島はプレートの沈み込み帯に位置しています。
前回も述べたように、これが日本列島に火山災害や地震災害が多発する理由です。
日本列島の火山分布
まず、日本列島の火山の分布の特徴を見てみましょう。
過去1万年間に活動した証拠のある火山を生きている火山『活火山』といい、全国で111認定されています。
活火山の分布図を見ると、日本列島のどこにも活火山があるわけではありません。
北海道から伊豆-小笠原にわたる東日本において、分布は特徴的です。
ある線より北方および西方に活火山は分布しています。
この境界線を火山前線(ヴォルカニック・フロント)と呼んでいます。
西日本ではそれほど明確では無いですが、ある線から北や西方に分布しています
火山災害(富士山の例)
主な火山災害は、溶岩・火砕流・土石流・火山灰や噴石などによって発生します。これらの災害は、活火山周辺で起こります。
一つの例として、下に富士山のハザードマップを示します。
これは溶岩流の到達範囲を示したものです。
富士山が噴火した場合の溶岩流の被害地域はかなりきちんと推定されています。
専門家によれば、富士山はいつ噴火しても不思議ではないと言われています。
深刻に考えなければならないと思います。
共通テストに見るハザードマップ
2020年の共通テスト「地学基礎」の問題に活火山のハザードマップを扱ったものがあります。
解いてみてください。
少し引っかけ的なところもありますが・・・
正解は②です。
どうでしたか?
火山災害は火山周辺だけでは無い
火山災害の主要なものは活火山周辺に集中するので、活火山がない地域では火山災害のことを考えなくても良いかというと、そうではありません。
ここでは、富士山が噴火した場合の火山灰の飛散状況を宝永噴火(1707)にもとづいて推定した結果を示します。
首都地域にもかなりな降灰が推定されています。
降灰は農作物に被害をおよぼすことはもちろん、交通、電力、上下水道、建物、人体にも大きな影響をおよぼします。
これらにより、社会的・経済的影響は大きくなることが予測されています。
活火山がない場所でも、火山災害を考えることが必要であることを示す例です。
次回は地震災害について考えます。
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