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目の前の人を思うこと
私が20代の頃、障害者福祉の仕事をしていた時に、
勤めていた施設の利用者が、
夏の暑い日にお亡くなりになった。
その週の日曜日に、スタッフ全員で、
お葬式に参列することになった。
その時のことで、
今でも鮮明に覚えていることがある。
お葬式中に、
1年目の女性スタッフが、
子供のように大きな声で、
ずっと泣いていた。
20代前半の女性だったが、
周りがいるのはわかっているが、
コントロールできないといった感じで、
ワンワン泣くのだ。
全員がその泣き崩れるスタッフに心を打たれた。
葬儀が終わって、お亡くなりになった方の親族たちが、
大泣きする女性スタッフに近寄り、
「 ありがとうね、
親族より泣いてくれて、
本当にありがとうね。 」
と、背中をさすったり、
肩を抱き寄せたりしながら、
一緒に涙を流していた。
自分にとっては、かなり衝撃を受けた出来事だった。
私は思った。
お亡くなりになったことを悲しく思ってはいたが、
大泣きする程にはならなかった。
女性スタッフより、私は3年先に働き始めていて、
変に、冷静にならければいけないという思いもあったと思う。
もちろん、泣いたほうがいいということでもないと思うが、
この大泣きした新人のスタッフから、
日々、
「 目の前の人のことを思う 」
大切さを忘れてはならないことを
教えてもらった気がした。
私達が勤める介護の仕事は、人と関わる仕事であり、
関わる量によって当然その人への思いは深くなる。
それで、えこ贔屓などが生まれてしまうのは
よくないことだが、
「 どれだけその人のことを思って関われるか 」
が、仕事の質を決める1番大事なことではないかと思う。
これは、物を相手に仕事をする人も同じだと思う。
「 どれだけ物を手にする人のことを思って、
物作りができるか、届けることができるか 」
それが仕事の質を決める1番大事なことではないかと思う。
自分の仕事を作業的に進める人もいるだろう。
それでも仕事が成り立つかもしれない。
でも、
仕事の質を上げるには、
「 目の前(その先)の人のことをどれだけ思えるか 」
が、仕事の質を決める運命の分かれ道になるだろう。
今思うのは、
仕事に必要な〇〇スキルより、
「 目の前の人を思うこと 」
が何よりも大事だということ。
仕事において、
立場上、
新人スタッフ採用の面接をするのだが、
素直であることと、
「 目の前の人をどれだけ思えるか 」。
この2点について、
面接でエピソードを引き出せるように心がけている。
もっと効率良く仕事ができるように、
介護の仕事もテコ入れが始まっているが、
「 目の前の人をどれだけ思えるか 」。
この部分は効率化できない。
忘れてはいけないことであると思う。
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