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夢現の狭間より。

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【超短編】かみさまのルージュ

ーーかみさまは死にました。 日曜の昼。いま思えば、何かの凶兆のように真っ青な快晴だった。…

独白シニメ
5か月前
5

【短編】海を崇拝

確かに僕は言った。きみを独りになんてしないと。きみはちょっと目を離したら消えちまいそうだ…

独白シニメ
7か月前
4

【短編】海の欠伸

世の中のすべてを知った気でいた。勿論そんなことはなくて、それを知っていながら、すべてを知…

独白シニメ
7か月前
9

【短編】シーラカンスの背骨

愛で世界を救えるらしい。馬鹿だよ、それでほんとうに世界が救われるなら、僕みたいな捻くれた…

独白シニメ
9か月前
8

【短編】白薔薇

爪。あのひとの爪。長くて綺麗に磨かれているでしょう、それはもう恋人がいるひとの爪なの。だ…

独白シニメ
9か月前
6

【超短編】檸檬と鞦韆(再投稿)

2021年03月21日投稿作品 まだ蕾のままの花を抱えて、僕は歩き出す、夜明け前ーー。 あなたの…

独白シニメ
9か月前
5

【小説】切れかけ電球逃避行

貴方はいつだってそういうことを言う。頼り方も愛され方も慰められ方も知らないあたしを、何度だって抱きしめて同じことを言う。 「僕が愛してあげるから、まだ死なないでよ」 と。 あたしは別に自分がこの世で一番不幸なんだなんて言ってるわけではないんだ。ただ、苦しくてもう息も吸えないような夜に一人になっちまうのが耐えられないだけなんだ。あたしは何も知らなかったから。 「どうして向日葵と太陽は恋仲なのかな」 「どうしてって、そういうものなんだよ」 貴方は心底興味なさそうに吐き捨てる。貴方

【超短編】偽善のキューピッド

恋愛小説「水彩紙」没案 サイドストーリー はじめて天使に出会ったと思った。 入学式で隣の…

独白シニメ
11か月前
5

【超短編】コレクション

2022年4月3日執筆 不恰好な爪先が、女のパーカーの袖口から覗いている。目深に被ったフードを…

独白シニメ
11か月前
4

【超短編】セピア

たとえば、私がそのひとのうなじをじっと見つめていたらそのひとがうなじを隠してしまったりと…

5

【超短編】ネクロフィリアと呼べないで

高校生にもなって小学生のときの様な宿題を出されるとは。思わず唸ってしまった。授業が退屈で…

5

【超短編】狂愛の餌食

きっといつまでも毒されていくんだ私は。 母親と手を繋いだ記憶がないと呟く私を、優しく抱き…

4

【短編】同じ神様に作られた人間論

登場人物の方言は私がよく使う言葉に倣ったもので、関西寄りでありながら、関西弁ではありませ…

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【超短編】結婚しよう、できないけど。

二八歳か。 誕生日を過ぎてからやっと自覚が湧くタイプだ。私は昼飯の弁当を広げながら思った。 「山本先輩、遅くなりましたがお誕生日おめでとうございます!」 慕ってくれる後輩の声に、ここは職場なのだと思い出した。つい昨日の誕生日を思い出し、曖昧に返事をする。もう二八。二八か。 「二八歳になっちゃったよ」 ぽつりと言葉が溢れた。 「わぁ、そろそろ結婚とかしちゃいますか!?」 「結婚ね……」 私は今頃我が家で在宅ワークをしている恋人を思い浮かべた。彼女はーー嗚呼、そうなのだ。私たちは