
2024年11月22日 寒さによるおちこみ
子どもの頃、
いや、思春期に入りかけの頃、
何度も読んだ本は「ムーミンパパ海へ行く」「ムーミン谷の11月」でした。
今思えば、どうして、ムーミン谷シリーズの中でもあまり取り上げられることのないこの2作だけ、
家にあったのか、よくわかりません。
もしかしたら、この2作以外は読んでいないのかもしれません。
流石にそんなはずはないのですが、繰り返し読んだこの2作の印象だけが際立っています。
ハードカバーの大人っぽい素敵な本でした。
「ムーミンパパ海へ行く」と「ムーミン谷の11月」はコインの表裏のような作品です。
「ムーミンパパ海へ行く」は、ムーミンパパが急に思いついて、地図にある島で暮らすことを決め、ムーミン一家が移住するお話です。
一方、「ムーミン谷の11月」はそうして、ムーミン一家がいなくなった、ムーミン谷に、ムーミン一家と会いたくてやってきた人たちの共同生活のお話です。
どちらのお話も、明るく元気な楽しいだけお話ではありません。
どこか緊張感と物悲しさのようなものがあります。
ちょうど、
秋のとある1日に、冷え込んだ空気の中で紅葉を眺めながら、
近づいてくる寒さや年越しへの準備を考えるようなお話です。
それは結局、
自分の望み通りに行かない世界と
どうおりあっていくのかというお話であるような気がします。
フィンランドには日本のようなお正月はないはずですが、
日本人が正月準備をする時に感じるある種の感慨は、
万国共通なのかもしれません。
その昔、フィンランドに観光旅行に行った際、
覗いたクリスマスマーケットには、
なぜか、日本のお正月前の市場やスーパーマーケットと同じ匂いしていたことを思い出します。
何の匂いが、混ざり合うと、あの匂いになるのでしょう。
藁のような、魚介のような…。
あの匂いの立ち込める時期へ向かって、
走り出さねばならない時期、それが、11月なのです。
これまでやってきたことを振り返り、
これから先を考える、
その郷愁と緊張感が入り交じる感覚が強くなります。
とはいえ、それは今の生活が当たり前に続くという、勝手な思い込みからの感覚であるかもしれません。
病気になるとか事故に巻き込まれるとか災害にあうということがないから、
そんな感慨に浸っていられるわけです。
もし、思いもかけないアクシデントが起こってしまったら、
こんな曖昧な感傷は吹っ飛んでしまうでしょう。
琥珀色をした、11月らしい感傷は、綺麗なだけあって、
脆く壊れやすいのです。、
11月に思いを馳せて感傷的になるだけでなく、
電車の窓から遠くを眺め、
「仕事がうまくやれるないかも」とか
「今日という今日こそ仕事をやり遂げられる気がしない」
などと、思ってしまうこともあります。
目に映っているものは、
いつも飲みなれた街の風景で、
何にも変わったところはありません。
そして、大人なので、
仕事はきっちりやっています。
ただ、何となく、物憂いような気持ちになるのです。
全ては、空気が冷たいからなのかもしれません。
気温や湿度は、人間の思考に大きく影響します。
急な気温の低下、
日没の早さ、日照時間の短縮、
いきなりの冬到来が思った以上に、
身体に打撃を与えているのではないか、ということです。
これって、気のせいではないような…と思ったので、ネットで調べてみました。
新潟県のホームページが参考になりました。
「甘いものを食べたくなる」のも、「冬季うつ」と捉えていいんですね。
最近、甘いもの、食べたくなりますね…。
あと、ミルクティーが美味しいです。
夜遅くに飲みたくなります。
これも多分、そういうことなんでしょうね。
先ほどあげた記事によれば、
日光にしっかり当たること、
トリプトファンを含む食べ物を食べること、
運動をすること
が良いそうです。
憂鬱だからといって、
家の中で遅くまで寝ているのは、この憂鬱を、よりひどくするということでしょうね。
日中に外を散歩するのは、一石二鳥で、効果がありそうです。
こういうことが解明されていない時代の、
寒い地域は生き残るのが本当に大変だったろうなぁと思います。
11月が終わるまで、あと8日。
寒さによる落ち込みが酷くならないように気をつけましょう。
どなた様も、ご自愛ください。
いいなと思ったら応援しよう!
