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【発達障害(神経発達症)おすすめ本】『うちの子は字が書けない (発達性読み書き障害の息子がいます)』

読書が得意ではない私(でも実は司書資格持ち)がおすすめする、発達障害(神経発達症)に関する本シリーズ。

今回はこちらです。



📚40人学級に3人もいる障害

発達障害のひとつ、学習障害(LD)。
現在は限局性学習症(SLD)という名称ですが、まだあまり浸透していませんね。

しかし、40人学級に3人はいるとされています。
思ったより多くないですか?

当たり前に文章を読んだり、練習を重ねても文字を書くことができない子がそれだけいるという現実。
認知度が低いため、周りの理解が得られないことも多いです。
本人が気付かないまま大人になってしまうこともあります。

本書ではLD・SLDのことを「発達性読み書き障害」としており、以下そのように記載します。

📚うちの子、発達性読み書き障害なのでは…?


当時小1の息子が「発達性読み書き障害なのでは…?」と疑いを持ったとき、まず手に取った本がこちらでした。

作者の千葉リョウコさんは漫画家。
ジャンルはBLなので、知らずに著者検索するとちょっとびっくりします。
興味のある方は調べてみてください。笑

話は戻り、本書もコラム以外は漫画です!
すらすら読める!しかも絵がかわいい!
全ての漢字にルビ(読みがな)が振ってあるので、当事者の方にも読みやすく配慮されています。

なお、監修の宇野彰先生は発達性読み書き障害研究の第一人者として知られています。

📚心配になるくらいフユくんがやさしい

本書の主人公は、千葉リョウコさんの長男・フユくん。
小6で発達性読み書き障害を診断されますが、それまでも読み書きに苦労してきました。
宇野先生の支援のもと、コツコツとトレーニングをして、だんだんと書ける文字が増えていきます。

しかし、学校現場での理解はなかなか得られませんでした。
フユくんが高校生になった2016年4月に障害者差別解消法が施行され、行政機関による「合理的配慮」の提供が義務化されました。
なお、2024年4月からは私立学校や事業者にも提供が義務化されています。

フユくんは「自分だけ特別扱いを受けることになる」ことを恐れていました。
合理的配慮を受けていることを知ったクラスメイトから、からかわれたり、ずるいと言われたりするのが怖い、と。

法律で約束されている権利なのに…!

「がんばる」
「なんとかがんばる」
「もっとがんばる」

これらは読み書きで苦労しているフユくんの言葉です。

視力の悪い人がメガネをかけるように、読み書きで困っている人がサポートを受けるのは当たり前の世の中になってほしい!

📚発達性読み書き障害の症状(特徴)

発達性読み書き障害にあらわれる症状をいくつかご紹介します。
全ては取り上げませんので、気になる方は本書でご確認ください。

◆就学前
✅文字に興味を示さない

◆小学1年生~
✅音読できなかったり、よく間違えるひらがなが複数ある

◆小学2年生~
✅ひらがなで書けない文字がある。特に拗音や促音が困難
✅カタカナが習得できていない
✅読み飛ばしが多い
✅語尾や文末を読み誤ることが多い
✅九九を唱えることがなかなか覚えられない

※拗音(ゃ、ゅ、ょ) 促音(っ)

一方、枠から字がはみ出したり、鏡文字になるのは発達性読み書き障害ではないと記載されていました。
他の特性が由来している可能性もあるようです。

📚もっとこの障害を知ってほしい!

40人学級に3人もいるとされる発達性読み書き障害。
出現頻度はどの障害より高いとされているのに、認知度はまだまだ低いです。
また、発達性読み書き障害の子どもたちの7~8%はASDやADHDを併せ持っているとされています。

ASDやADHDは行動面であるのに対し、発達性読み書き障害は言語面の問題です。
まだ日本では研究が進んでいないことや、学級の中では目立つ行動がなければ、静かに置いていかれてしまいます。
もっと発達性読み書き障害のことを知ってもらいたいです。

フユくんのその後や妹のナツちゃんのことが書かれた続編もおすすめです▼


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