【読書ノート】 66 『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』 富野由悠季
時代背景は「シャアの反乱」(映画「逆襲のシャア」)の時に10代だったハサウェイが20代になった宇宙世紀103~5年ころ。(「ガンダムユニコーン」より少し後の時代)上巻は1989年に出版され、その当時読んだ記憶があるので、今回35年ぶりに再読することになる。その当時は「テロリストの主人公」「老人のパトロンのいるヒロイン」などガンダムであってもアニメ化は絶対に無理であろうと感じたのを覚えているが、時代は変わり30年以上経ってアニメ化された(まだ1部のみ)。アニメによりこの小説も再刊され再度注目されたため今回読んでみた次第。感想はやはり今読んでも古さを感じさせず面白い。(しかし、フロッピー、ビデオ、テープ、CD、新聞ファックスなど未来世界には存在していないであろうものが散見されるが、これは仕方がない。)特に政治家の殺害事件やパパ活・援交が隆盛する現在を鑑みると筆者の先見性が窺い知れる内容。腐敗した地球連邦政府は90年頃(そして現在)の日本政府を彷彿とさせ、汚職等で批判を浴びている与党政治家たちを仮に理念ある若者グループがテロで殺害していっても、世間はマフティーがそうであったように拍手喝采を浴びせるのかもしれない、などと想像してしまった。この小説が時代遅れになる日は当分やってこないのかもしれない。
(2024年5月8日)