英雄か悪党か?オリバー・クロムウェルが生まれ育ったハンティンドン
英ケンブリッジから近いハンティンドン(Huntingdon)。人口2万5千人強の小さい町で、聞いたことないという人がほとんどでは?
他方で、オリバー・クロムウェルといえば聞いたことがあるという人がほとんどなのではないでしょうか。恐らく世界史の教科書に出てくる名前でしょう。今回のイギリス滞在では、このオリバー・クロムウェルが生まれ育ったというハンティンドンへ行ってきました。
オリバー・クロムウェルとは?
日本では「ピューリタン(清教徒)革命の指導者」として知られていますが、ピューリタン(カトリック教会のしきたりを引き継ぐイングランド国教会に反対するプロテスタント)という言葉は今回どこにも見かけませんでした。本人はピューリタンではあったようですが、あくまで議会による改革を望む議会派だったというのがイギリス国内での考えなのでしょう。
議会のプロセスを無視し王権神授説に基づく専制政治を行っていたチャールズ1世に抵抗し、国会議員として様々な改革を推進、議会派と国王派の内戦では議会派の軍の指揮官として戦ったオリバー・クロムウェル。
内戦に勝利した後は、国王、チャールズ1世を裁判にかけ犯罪者として処刑し、自ら初代護国卿(Lord Protector)として国王の代わりにイギリスを支配し、スコットランドとアイルランドを併合。
スコットランドやアイルランドで大量虐殺を行ったということから英雄か悪者かという議論が今でもなされるクロムウェル。複雑な人間と捉える人が多いようです。
イギリスではクリスマスを禁止したという事実でない神話も広く知られているとのこと。
そんなクロムウェルの足跡を辿ります。
いざ、ハンティンドンへ
ハンティンドンはロンドンからテムズリンクの直通電車で1時間ほどのところにあります。
駅から町の中心までは徒歩10分強。市庁舎のある町の中心のマーケット・スクエアは、こじんまりとしたキュートな雰囲気です。小雨が降っていたせいか、ガランとしていました。
お城のように見えるオール・セインツ教会。
オリバー・クロムウェルと書かれたベンチやゴミ箱、プランターが並んでいます。
オリバー・クロムウェルがいなかったら、特に見どころもなく観光客は恐らく来ないような町。
町の入口のサインにもオリバークロムウェルの生まれた町として記されています。
クロムウェル博物館へ
ハンティンドンには、クロムウェル博物館というイギリスで唯一のオリバー・クロムウェルに関する博物館があります。同じくケンブリッジ郊外のイーリー(Ely)にクロムウェルの家が残っておりそちらも公開されていますが、博物館としては唯一だそう。
博物館は、マーケットスクエアに面した12世紀後半に病院として建てられた建物にあります。ほとんどは損壊してしまい今の博物館はそのほんの一部。16世紀中頃にはハンティンドン・フリー・スクールという学校になり、オリバー・クロムウェルも通ったという、クロムウェル博物館にふさわしい場所です。
拝観料は無料。中に入るとちょうどもう一組入ってきて、シニア・ボランティアが熱心にガイドをしてくれました。色々な文献を読んで研究しているようです。
イギリスは本当にシニア・ボランティアが多く、非営利団体は彼らによって支えられていると行っても過言ではなさそうです。
大部屋一部屋の小さい博物館ですが、クロムウェルの所持品、デスマスクのコピーなどもあり充実しています。比較的最近作ったと思われるアニメーションもあり、小さい町の博物館にしては良くできていました。
こちらの壁一面は12世紀当初のものだそう。
博物館の近所にあったクロムウェルの生家の柱。19世紀に取り壊され建物は今は残っていませんが柱だけ残っています。
家庭的で妻を大事にしていた等、全体的にやはりポジティブに書かれていることが多いように感じました。すっかり記憶から消えていた歴史上重要な人物について改めて考える良い機会でした。
中世の橋と伝統的なホテルでのランチ
ハンティンドンには1332年に架けられた中世の橋がマーケット・スクエアから5分くらいのところにあるので行ってみることにしました。
なかなか立派な橋です。オリバー・クロムウェルもきっと何度もこの橋を渡ったのでしょう。
18世紀に建てられたジョージアン様式のOld Bridge Hotelというホテルが橋のたもとにあります。パブでランチだったらここがお勧めとクロムウェル博物館のボランティアに教わり入ってみました。
入り口は裏側でテラス席もたくさんあり夏は良さそうです。
1929年の中世の橋とホテルが一緒に写った写真が飾られていました。なかなか趣があります。
リラックスしたパブ・レストラン。多くの人で賑わっていました。
パートナーのステーキサンド。
私のローストビーフサンド。
ステーキサンドが美味しかったです。ホテル内にはワインショップもあり、地元民に愛される昔ながらのホテルという雰囲気でした。
後は特に見たいものもなかったのでハンティンドンのまち歩きはここでおしまいです。クロムウェル博物館目的で訪れるイギリス人も多いようで、博物館には常にビジターが出入りしていましたが、それ以外は普通のイギリスの小さな町という趣でした。
オリバー・クロムウェルは英雄か悪党か、結論はでませんが、世界の歴史を大きく変えた人物であることには間違いありません。
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