BUTTER <感想・私なりの解釈>
著者 柚月麻子
後輩が読んだと教えてくれて、気になっていた一冊。
著者が一緒なので、ランチのアッコちゃんと同様に食べ物をめぐる楽しいストーリーかと思いきや、見事に裏切られた。
いえ、作るシーンや食べるシーンは美味しそうなのである。
ただ、これはミステリー要素も含んだ物語だったのだ。
子の作品に感じたテーマは主に
・女性の社会での生きづらさ
・本物の料理を味わうこと
・料理が織り成す人との繋がり
である。
週刊紙の記者である主人公リカや、友人のレイコ、事件の容疑者マナコなど誰とも被らない個性豊かな女たちが出てくる。
独身、恋人、仕事、結婚、専業主婦、営み、売春、援助交際、いろいろなカテゴリーが飛び交うだろう。
様々に彼女らの抱える明るさと暗さや孤独を目の当たりにして胸がぎゅっと鷲掴みされてしまうのは私だけではないはず。
それでも、なにか答えを出そうと、彼女たちはもがいているのである。
それにしても、バターを買ってくることがこの本を読んだ後ではためらわなくなるだろう。マーガリンを口にしなくなるだろう。
なにしろ、簡単なものから手の凝ったものまで幅広くバターと絡み付く料理が出てくるのだ。試さないわけにはいかない。
料理がストーリーを物語っているといっても過言ではない。
苦しいシーンもあるけれど、孤独さから抜け出す助けのひとつになりそうな本である。女性たる何かに怯えているあなたがいたら、この本をすすめよう。