ひわまり畑に想いを馳せて

総合商社勤務。ウクライナで新会社を立ち上げ21年6月に社長として赴任。 22年1月、外務省による退避勧告によりやむなく出国。現在、ポーランド/ワルシャワにて退避生活を送りながら、同じく退避してきたスタッフ数名、まだウクライナに残っているスタッフ大勢らと日々奮闘しながら事業継続中。

ひわまり畑に想いを馳せて

総合商社勤務。ウクライナで新会社を立ち上げ21年6月に社長として赴任。 22年1月、外務省による退避勧告によりやむなく出国。現在、ポーランド/ワルシャワにて退避生活を送りながら、同じく退避してきたスタッフ数名、まだウクライナに残っているスタッフ大勢らと日々奮闘しながら事業継続中。

最近の記事

2023年5月

⚫️ウクライナの「ひまわり」 先日ウクライナから避難しているビジネス関係者の懇親会が開催された。 とある商社の農薬担当の方から聞いた話がとても興味深かった。 「ウクライナ東部の農地では広範囲にわたって地雷が埋められており、これらを完全に除去するまで何年も掛かるが、問題はそれだけではない。 地雷以外にも、ミサイルや砲弾によってヒ素やカドミウムが農地のあちこちに散布されており土壌が汚染されている。このままでは汚染された作物しか作ることができない。 先ずは土壌を浄化する必要がある

    • 2022年12月に思ったこと②

      ●ウクライナでは、2月24日のロシアによる軍事侵攻以降、公的文書にて「ロシア」「ロシアの」と記載する際、大文字の使用が禁止されている。全て小文字のみで記載しなければいけない。 ロシア連邦の略称であるRF(Russian Fedeation)を使用する場合も同様に「РФ(大文字)」ではなく「рф(小文字)」となる。 今週、社員向け通達にて「今回のロシアによるエネルギー・インフラ関連施設に対するミサイル攻撃によって、現在、十分な電気を確保することができない状況が続いている。従い、

      • 2022年12月に思ったこと

        ●「ワグナー」と「モーツァルト」の共演 年末のクラッシック音楽祭のことではない。 現在、ウクライナ東部にて、ロシア民間軍事組織「ワグネル(ワグナー)」とウクライナの民間軍事組織「モーツァルト」が激しく激突しているとのこと。 この「モーツァルト」とは、米国の元海兵隊の大佐が設立したNGOのことである。人道支援や救護、更にウクライナ兵に対する軍事訓練を目的として設立された民間組織であり、現在バフムートをはじめ最前線にて活動している。 Newsweekの記事によると、命を奪うことを

        • 2022年11月に思ったこと③

          ●ポーランドでのミサイル着弾について 11月15日午後、ウクライナ国境に近いポーランド東部プシェヴォドフ村でミサイルが着弾し2人が死亡した。ロシアによるNATO加盟国への攻撃の場合、一気に戦争のエスカレーションが心配されたが、11月末時点ではウクライナによる防空ミサイルの可能性が高いとの結論となっている。 ウクライナ人スタッフからこの結論についてどう思うかと聞かれたので、素直に報道の通りウクライナのミサイルだろうと答えた。 このスタッフも「自分もウクライナのPPO(防空ミサイ

          2022年11月に思ったこと②

          ●アイアンマン ロバート・ダウニー・Jrが演じる映画「アイアンマン」ではなく、ウクライナ鉄道の関係者はこのように呼ばれている。 戦時下の今、ウクライナ鉄道の職員は、24時間体制で復旧活動や人命救助を行っている他、経済復興のための穀物や鉄鉱石の輸出、更に、ウクライナ国内での食料品やその他物資の輸送、前線への武器輸送などを手掛けている。こうした鉄道関係者の活動はロシアのミサイル攻撃の標的となっており、常に危険と背中合わせとなっている。 彼等の絶え間ない活動なくしてウクライナの復興

          2022年11月に思ったこと②

          2022年11月に思ったこと

          ●東部戦線 本日のニュース記事によると、ウクライナのゼレンスキー大統領は8日のビデオメッセージにてロシアに対してウクライナの領土は1cmたりとて渡すつもりはないと発言していた。一方で、同じく本日のロシア側のニュースによると、ドネツク州でロシア軍に従軍しているロシア人記者は、東部地区におけるロシア軍の進軍ペースは「1日あたり3cm」と報道していたとのこと。 ゼレンスキー大統領のメッセージは強い意思の表れであり、国民を鼓舞するものと受け取れることができるが、ロシア側の報道は事実か

          2022年10月に思ったこと

          ●ラーメンからミサイル 就職活動の頃、商社の取扱商品を紹介するフレーズとなっていた。 本当にミサイルを扱っていたのか不明だが、入社した1994年から2022年2月まで、自分がミサイルという言葉に囲まれる生活になることは想像しなかった。 現地スタッフとのやりとりや本社への報告でほぼ毎日のようにミサイルという言葉を使用している。 最近「み」の文字を入力すると、予測変換で「ミサイル」が上位に表示されることに気づいた。「みさ」まで入力すると「ミサイル攻撃」と予測してくれる。 又、ミ

          一時帰国とロシアの報復攻撃

          2週間の一時帰国を終えてポーランドに戻ってきた。 3月末よりポーランド・ワルシャワにて退避生活を送っており、滞在期間が既に半年を越えたことから(90日を超える前に一度国外に出て入国している)、当地でのVISA取得が必要となっていたもの。 ●ロシアによる報復攻撃(10月10日) 早朝ワルシャワに戻ってきたが、このタイミングで、ロシアは数日前に行われたクリミア橋の爆破に対する大規模な報復攻撃をウクライナ全土に開始していた。 我々の本社があるドニプロ市も10月10日だけで12発以

          一時帰国とロシアの報復攻撃

          非難だけでは戦争を止められない

          9月に入ってウクライナ軍の反転攻勢がメディアで報じられている。 SNS上でも、ウクライナの兵士がハリキウ州の解放された町の市民から歓迎を受けている映像であったり、町に掲げられていたロシアの国旗をおろし、青と黄色のウクライナ国旗を掲げている投稿など様々だ。 ウクライナ側のこうした多くの映像や投稿を、これまでロシア側はフェイクと言って一蹴してきたが、聞こえてくる現地の市民の声、表情、抱き合う姿などをみると、その温度感に強く信憑性を感じてしまう。 先日、ワルシャワで一緒に働いてい

          非難だけでは戦争を止められない

          ウクライナ・プレミアムリーグ

          9月1日、鉱山現場にて部品倉庫の管理スタッフの1人がウクライナ軍の入隊事務所から連絡を受けた。9月2日に健康診断を受診するようにとのこと。 50名を超えるスタッフがいる中で、予備役はいるものの、実際に軍隊に召集されたスタッフはまだ1人もいない。 詳しく状況を確認すると、健康診断の結果を踏まえ、先ずは入隊候補としてリストアップされるとのこと。今後、入隊事務所から連絡があった際に、初めて入隊となるとのこと。従い、この段階では、あくまでも候補になったに過ぎず、引き続きいつも通りの勤

          ウクライナ・プレミアムリーグ

          ウクライナとマクドナルド

          8月の報道になるが、米国マクドナルドの幹部はウクライナ国内店舗の営業を段階的に再開すると発表したそうだ。 同社幹部によると「ささやかでもかけがいのない日常感」が今のウクライナにとっては何よりも重要だとの判断によるとのこと。 ウクライナのクレバ外相も「素晴らしい米企業の営業再開は何よりもまず、たとえ戦争中であってもウクライナにビジネスチャンスがあることを国際企業に示すことになる」と歓迎のコメントが出されている。   以前、在ウクライナ日系企業の人たちと意見交換した際: 日本のウ

          ウクライナとマクドナルド

          瀕死の白鳥

          9月12日、ウクライナのトップバレエダンサーであったオレクサンダー・シャポヴァル氏がロシア軍との戦いで亡くなったとの報道が出ている。同氏は志願兵として今回の戦闘に参加していたとのこと。 多くのウクライナで活躍していたバレエダンサーは、既に再開している劇場でバレエを続けているか、または海外の退避先にて何らかの形でバレエに携わっている人が多いと聞くが、こうして自ら志願して戦争に参加していた人もいたのだった。 また、ウクライナ人の女性ダンサーは、再開した劇場や退避先で公演を行う際

          ドニプロ市中心部への攻撃

          ドニプロ市中心部への攻撃

          「Think Globally」より「Act Locally」

          ウクライナ国防省のFacebookによると、南部クリミアの住民に対してロシア軍の機材の位置等をオンラインで報告するよう呼びかけているとのこと。 専用アプリ(Chatbot)も用意されており、投稿者の安全を確保した上で、ロシア軍幹部の居住地、ロシア軍機材ロケーションや移動ルート、ロシア軍の協力者の情報を伝える仕組みとのこと。 3月末よりワルシャワの臨時オフィスにて、ウクライナから退避してきたスタッフ数名と共に働いているが、ウクライナ人スタッフは仕事の傍ら、現地より頼まれた衣類

          「Think Globally」より「Act Locally」

          軍事侵攻から200日目に感じたこと

          9月11日はロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まって200日目。 ウクライナのゼレンスキー大統領は9月10日のビデオ演説で、9月に入ってロシア軍から奪還した領土が約2千平方キロに達した発表している。 早速、2千平方キロがどの程度の広さか調べてみたところ、Wikipediaによると東京都の面積が2.2千平方キロとあるので、この数日間で東京都と同等の広さを奪還したことになる。 また、ウクライナの国土面積は603千平方キロとある。6月頃の報道によると、この時点でウクライナの

          軍事侵攻から200日目に感じたこと

          ウクライナ🇺🇦に戻れる日を思いながら

          ウクライナでの新会社設立の話が立ち上がったのは2020年3月だった。 2020年6月から数回にわたって現地出張を行い初期的な調査を実施。この初期的な調査結果を本社にて検討し、次のステージ(本格的調査)へと進むこととなった。 2021年3月「さぁ現地で本格調査開始だ!」と意気揚々と準備を行うも、このタイミングでコロナが全国的に拡大し、社員はリモートワーク更に出張も中止となり、この事業も現地調査は一旦サスペンドとなってしまった。 9月の出張解禁を待って、万全を期して現地出張を再

          ウクライナ🇺🇦に戻れる日を思いながら