非難だけでは戦争を止められない

9月に入ってウクライナ軍の反転攻勢がメディアで報じられている。
SNS上でも、ウクライナの兵士がハリキウ州の解放された町の市民から歓迎を受けている映像であったり、町に掲げられていたロシアの国旗をおろし、青と黄色のウクライナ国旗を掲げている投稿など様々だ。
ウクライナ側のこうした多くの映像や投稿を、これまでロシア側はフェイクと言って一蹴してきたが、聞こえてくる現地の市民の声、表情、抱き合う姿などをみると、その温度感に強く信憑性を感じてしまう。

先日、ワルシャワで一緒に働いているウクライナ人スタッフが動画を見せてくれた。
ウクライナの兵士が高さが数十メートルはあるであろう大きな鉄塔に登り、かなり不安定な最上部に立ち、ウクライナの国旗を高々と掲げているものだった。
恐らく、ドローンにて上空から撮影されたものだと思われる。
数分間の動画の後、スタッフは「この旗を振っている兵士は〇〇さんの夫ですよ」と言った。〇〇さんとは今も鉱山現場で通常勤務を続けている我々スタッフの1人である。彼女は少し日本語を勉強しているのか、いつもWEBで話す時、冒頭、日本語で「おはようございます!」「こんにちは!」「お元気ですか?」「ワルシャワは問題ないですか?」と覚えたての日本語で話しかけてくる。
スタッフの家族に最も命の危険が伴っている最前線に出ている人がいることを知った。
身内として心配でたまったものではないだろうが、日々のやりとりから、そうした心の内を全く気付くことができなかった。。私の方こそ「問題ないか」ともっと声掛けをすべきであった。ただただ反省である。
 
国連総会:リトアニア
今週20日、国連総会にて各国首脳の多くがロシアを直接名指した上で非難する演説を行っている。
なかでも、リトアニアのナウセーダ大統領は、非難に留まらず、もう一歩踏み込んだ武力での対抗を強く訴えている。
更に、数日前の報道によると、各国が躊躇している戦車の提供をリトアニが率先して行っており、その際「ジェノサイドは非難だけでは止めることはできない」とコメントしている。
対話による解決を提唱する国も多いが、ロシアの近隣諸国、とりわけ直接的な脅威に晒されている国は、「対話が通じる相手ではない」という思いが、歴史的教訓からあるようだ。
こうした国にとって平和的解決という言葉はただ虚しく響くだけのようである。

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