【本紹介】『欲しい ほしい ホシイ』から学ぶ、ヒトの本能から読み解く広告。
みなさんこんにちは、
グラフィックデザイナーのウエマツです。
今回は、現在私が受講している講座、
「アートとコピー」の、
課題でペアを組んだ相方から教えてもらった本がとても面白かったので、そちらの紹介をしていきたいと思います。
クリエイティブディレクター・コピーライターの、
小霜和也(こしもかずや)さん著、
『欲しい ほしい ホシイ── ヒトの本能から広告を読み解く』
今回も、安定の付箋とマーカーだらけになりました。
クリエイティブディレクター・小霜和也さんとは。
お恥ずかしながら、今回この本と出会うことで小霜和也さんを知ったので、まずは簡単にどんな方なのかを見ていきます。
本の中でも何度も例に上がる、小霜和也さんが手がけたプレイステーションの広告。
ヒトの本能から読み解く広告。
この本から学んだ、
『ヒトの本能から読み解く広告とは』
それは、
それではここからこの言葉を分解して見ていきたいと思います。
まず、文化遺伝子とは、
では、なぜこのミームが広告に必要かというと、
と、なります。
それは、人間の行動や社会の変化を予測し、文化的現象を分析するために重要です。
大切なのは、企業が文化遺伝子(ミーム)をどう発信していくか、生活者とどう伝え合うかを考えていくこと。
コミュニケーションをとっていく中で製品に価値の付加をしていくこと。
となるわけです。
広告表現を考える。
購買行動を科学的に掘り下げる。
この本で書かれている、広告表現を考える上で大事なことは、
になります。
伝説のダイレクトマーケッターと呼ばれるジョセフ・シュガーマンは、
と言っています。
それを科学的に掘り下げていきます。
ベンジャミン・リベットという生物学者が、
ヒトの脳は何か行動を起こす時に、脳に準備電位が生ずるタイミングと実際に行動するタイミングの時間差を測定しました。
結果、脳は行動「前」ではなく0.3秒「後」に活動していることがわかりました。
動いてから「やろう」と意思決定しているということです。
これを購買行動に置き換えると、
ということになります。
広告表現に活かす。
それを、広告表現に活かしていくには、
広告の持つ2つの大きな役割を知ることが必要です。
ひとつは、
もうひとつは、
以上になります。
消費行動の研究によれば、消費者がお店に入る前に買うべき商品を決めている「計画購買」の割合は約11%に過ぎない、というデータがあり、
買う物を決めてから理由を「後付け」しているかもしれない、ということがわかっています。
これをブランド戦略に置き換えると、
と、なります。
そこで、どのような広告が無意識のレベルで購買行動を促すことができるのかをあげてみると、
など、他にも多くの具体例が本文には書かれています。
広告とは。
そろそろまとめに入りたいと思います。
記事の冒頭でも書きましたが、
そこから考えもう一段掘り下げてみると、
広告を作るという仕事とは、
ということになります。
なかなか、このように2000文字程度の文章でこの本の内容をうまく伝えることは厳しいところがありますが、大まかに言うとこのような感じかと思います。
この記事で、なんとなく小難しく、理屈っぽくなりそうな本という印象を与えてしまったかもしれませんが、
なぜ、小霜和也さんはここまで広告というものを掘り下げて考え抜いていたのか、と言えば本当にシンプルに、
これに尽きると思うし、これが溢れる1冊だと思っています。
だからこそ、
人を、社会を持続可能なものにするために、人間の本質を見据えた人間愛の価値を説いてくれています。
文章も読みやすく丁寧に解説されているだけではなく、ところどころにクスっと笑ってしまうような表現も入っていたりと、とてもテンポの良い構成になっています。
プロを名乗るなら!
最後に私の感じたことを少し書かせてください。
デザイナー、コピーライター、クリエイティブディレクターなど、
他にもモノ作りを職業としている人達。
いわゆる「プロ」と呼ばれる人達は『必ず』読むべき本です。
プロの定義というのは色々あると思いますが、トッププロの共通点に
「変態レベルの解像度」
というものがあると思っています。
私が今までお会いしてきた、世界の最前線で活躍されている方達には必ずありました。
それが形になったモノがこの本だと思います。
楽しい広告を作って世の中をよくしたい、というありふれた思いから、人間の本質なところまで掘り下げていく姿勢は全てのプロが学び、標準装備していかなければいけないと思います。
小霜和也さんの真似をしろ、というわけではなく、
「こういうプロがいた」ということを知り、そこから自分はどんなプロになるのかを選択していけばいいと思います。
Aiが発達し、イケてるイラストや、イケてる文章がコモディティ化した今、本当に価値のあるものを生み出す「プロ」としてどのように振る舞っていくのか、ここをしっかりと考えていきたいと思います。
そして、本当に広告への愛に溢れる本だったので、少しでも気になった方は手にとってみることをオススメします。
以上、ウエマツでした〜