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わたしを知る読書

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本の内容を読むのではなく、そこから自分が何を感じたか思いを巡らせてみる
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朝から

冬休みは過ぎ去り、明日の朝は早い。まだ日が昇る前の、暗闇の時間から動き始めることになる。

緩慢に布団から抜けだして、冷え切った台所に行き、義父から譲り受けたガスストーブに点火する。

やがて、窓の向こうは少しづつ青みがかってくる。庭にある物干し竿が見えてるく。

妻が食事の用意をする。娘はまだ起きてこない。わたしは朝からガスストーブの前に立ちつま先を暖めているだけ。

幸せでなくても

幸せであること、幸せに向かうことが至上命題であり、それ以外の道は敗北であるという価値観に、わたしは縛られていたのではないだろうか。

幸せでなくても、自分の人生を認めて、生きていく力を持てるような、そんな道を探してみたいと思った。

それはわたしではない

いま読んでいる本で眼差しの暴力性について書いている。外からの眼差しだけでなく、自分が自分に向ける眼差しの暴力性についても。

わたしたちは規範を内面化して、それを自らに向ける。男らしさ、女らしさ、自分らしさ。外見に対する違和感、理想とのズレ。

それはわたしの心と身体がズレているのではなく、外から内からの眼差しによって作られた身体イメージと、自らが生きる身体イメージとの違和感から。

わたし身体イ

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欲望年表を書いてみる

千葉雅也が『勉強の哲学』で「欲望年表」を書くべきだと勧めていると、阿部幸大が『まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書』で紹介していた

千葉雅也はその目的として「人生のコンセプトとなるキーワード」を「無理にでもわざの考え出す」必要があるとする。

ここから阿部幸大は「年表をネタにきて現在の研究内容と自分の人生とのリンクを人工的につくる」ことを目指す。

わたしは特に論文を書く予定もないけ

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揺らぐ心を確定させること

思い悩んでもしかたがない。それよりも、決心するほうがいい。

そんなフレーズを本のなかにみつけた。何か問題に直面したとき、未来に不安を感じたとき、わたしは原因をどこまでも掘り下げて考えて、そこから抜け出せなくなってしまう。

どこまで考えても完璧な解決方法には辿り着かない。自己批判で心を痛めつけて、自己否定が極まって、すべてが嫌になってくる。

ならば、どこかの時点で「決心する」ほうがよっぽどいい

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地図を見ながら歩む人生

地図を見ながら歩む人生

この小説を読むと決めたら先入観を持ちたくないから、どんな小説なのか予備知識なく読むのが好きだ。

そのほうが純粋に小説を楽しんでいる気持ちになる。

泣けるとか、感動するとか予測した感情をなぞるのではなく、小説から受け取ったものを直接感じたい。

こんなテーマがあるとか、こんな問題に深く切り込んでいるとか、そうしたことは誰かに言われずに自分でみつけたい。

今回の本も読むと決めたので、著者が詩人で

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ほとんど登場しない人物に感情移入する読書

今日はよく本を読んだ。「よく」というのは「たくさん」でもあり「良く」でもある。

タイトルは書かない。殺人事件の起きない探偵ものと、責任について書かれた新書。昨日はティーンエイジャー向けの翻訳小説を読んだ。

結婚して子供が生まれてから、好きだった小説が思うように楽しめなくなった。登場人物の家族が不幸な目に合うと自分の家族を思い浮かべて苦しくなる。死ぬなんて耐えられない。

けれど、小説ではたいて

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わたしを考える読書

わたしを考える読書

本を読んでいて気がつくと自分のことばかり考えている。

登場人物に共感したことで、共感する自分の記憶や感情について思いを巡らせる。

反感や違和感があれば、それもまた自分の中にあるものと照らし合わせる。

本を読んでいる時間よりも、自分のことを考えている時間のほうが長い。読書が遅いうえに、本の内容をから意識がそれていくから、読書がおざなりになってしまう。

せっかく本を読んでいるのに、これでは本末

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