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サッカーにまつわる話

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横浜F・マリノスの試合を中心に、サッカーを観て感じたことを綴っていく文章群。
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Why are you here?

Why are you here?

 今日は7/4。ついにJ1が再開します。僕たちは、長らく待ちわびていたその日をまさに迎えているということらしく、やっぱり目が覚めてからというもののなんだか落ち着きません。なので時間つぶしに何か書いてみようと思い、こうしてPCに向き合っています。

 僕は以前のロッドくんとのPodcastで、「自分が『マリノスのサポーター』だとは思えない」という話をしました。あの時は結構おちゃらけた感じで面白おかし

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#わたしとマリノス(と、生活) 2023夏

#わたしとマリノス(と、生活) 2023夏

 少し前までは、「マリノスが僕の日常になってからどれくらい経っただろう?」というようなことを頻繁に、それもなぜか必死になりながら思い返そうとしていた気がする。それは、僕がマリノスのことをずっと追いかけ続けていることの説明をつけるために必要な確認作業だったのだろうと思っている。常にその理由を確固たるものにしておかないと、サポーターの”あるべき姿”ではない気がして、すごく怖かったのだ。

 でも、いま

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マルコス・ジュニオールのこと

マルコス・ジュニオールのこと

 私がマリノスに在籍する選手のネーム付きユニフォームを購入することはまあ珍しく、それは2試合の期間限定で着用されるものというなら尚更だ。だからこれは、自分にとって"スペシャル"な一枚になる。そう思っていた。言い換えれば、その時点で予感はあったということだ。

 この夏もまだ盛りのうちに横浜を去ってしまった彼のことについて、いまの時点で私が記憶していることを少しだけここに記しておく。そのすべてが好き

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推し

推し

※2022/9/24起稿分を再掲

「推し」という言葉を自分が使わない理由が、「好き」との対比の中ですこし解明できた気がするので書いておく。

 前提として、なにかの対象を"ポジティブに"愛でる気持ちであることは「好き」も「推し」もそう変わらないんだからどっちでもいいじゃん、別に誰かを傷つけるわけじゃないんだし、みたいな世界の見方に対しては、基本的には己の理性で抗っていきたいと思っている。そういう

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京都遠征(仮題)

京都遠征(仮題)

※2022/6/24起稿分を再掲

 今年に入ってアウェイの遠征にも本格的に出向くようになって、今回の大阪――というより京都、が早くも6つ目の目的地になるらしい。京都は中学の修学旅行と高校の卒業旅行、そして大学のときの自転車旅行(このときは文字通り、自転車だけを使って東京から京都まで走り切った)以外に行った記憶はなく、おそらく今回が4回目だ。

 他の誰にも確認したことがないので実際のところはわか

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冬がはじまる

冬がはじまる

※2021/12/5投稿分を再掲

 ずっとこの場所にとどまっていたい。この時間が終わってほしくない。普段はそんなことしないのに、空を見上げたくなるほどに清々しい。切ない。自分の中のそういう感情と出会う瞬間というのは、生きている中でそう頻繁に訪れるものじゃない。38試合分の、いや、それ以上の数の物語のひとまずの終わりを告げる笛の後に沸き起こった拍手が、冬の空気を暖める。

 勝利を、喜びを目指すこ

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その背中に導かれて

その背中に導かれて

 振り返ってみると、どれだけ多くのものを彼から受け取ったのか計り知れない。アンジェ・ポステコグルーのことだ。

 まず第一に、彼の表現するサッカーが好きだ。監督就任当初から現在に至るまで、彼のチームのサッカーは様々な言葉によって形容されてきた。僕に言わせれば、彼のサッカーは「喜び」そのものだった。ボールを蹴る喜び。大きなものに挑むことの喜び。何かを仲間と共有することの喜び。そして何度だって、彼はそ

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永久機関的サッカー観戦

 毎日のようにサッカーを観ている割には、まったくサッカーというものについてわかった気になれない。試合を観て、考えれば考えるほどわからなくなるときもある。

 でもなんとなく、「どこかに正解があるかもしれない」と思っているのも本当のことだ。そして、わからないのに観続けようとすること、考え続けようとすること自体が、何かの行く先を示しているのではないか、と思うのだ。これだけで、これから自分がサッカーを観

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開幕!

 金曜日の18時キックオフということで仕事は早上がりして、コンビニの冷凍ピザと缶ビールで少し早めの一人決起会。現地には行けないけれど、これはこれでなかなかいいじゃない。このままハイボールに行きたいところだけど、まだ16時半なので我慢。

 さて、試合の方は2-0でホームチームの勝ち。マリノスは人の入れ替わりや新しい布陣のこともあり、継続路線の川崎に全体的な完成度で下回る結果となった。でもこれは当然

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#わたしとマリノス 2020年シーズン編

#わたしとマリノス 2020年シーズン編

 もう間もなく、横浜F・マリノスの2020年が終わろうとしている。

 アンジェ・ポステコグルー体制2年目にしてJリーグ制覇を成し遂げたマリノスは、ド派手なサッカーを引っ下げて意気揚々と新シーズンに乗り込んだ。目標は全タイトル獲得。2/8のゼロックス杯を皮切りに、6年ぶりに出場したACLでは早々に2連勝。迎えたJリーグ開幕戦ではガンバ大阪にコテンパンにやられたが、その時点では、その後のサッカー界、

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ぎりぎりセーフ

 柏レイソルの指揮官・ネルシーニョの試合前半の割り切りっぷりは、試合後の「あれだけ押し込まれるのは予想外だった」とのコメントを加味したとしてもやはり徹底していたと言っていいだろう。最前線のマイケル・オルンガとその後ろの江坂任が作る縦関係の守備は単なるガラスの置物のようなもので、だからこそ2人は攻撃に転じた時に真価を発揮することを求められていた。いとも容易くホームのマリノスが押し込んで、柏はそれを甘

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Hail, hail, hail.

 勝てて良かった。その一言に尽きる。

 仙台の戦術的意図とマリノスの人選が、この試合の個性を存分に引き出していたように思う。仙台はマリノスの司令塔・畠中槙之輔に積極的なプレスを掛ける選択をせず、中盤の4枚に関口訓充を加勢させる代わりにボールの主導権をマリノスに明け渡した。対するマリノスは、松原健の中央起用というサプライズを横目にマルコス・ジュニオール、仲川輝人、そしてエリキがスタメンを外れ、狭い

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グレー

 かつて拍手だったものは次第にため息へと変わり、スタジアムの一階を充満させた。それは、止んだはずだった雨が再び連れてきた湿っぽさと、完全に呼応していた。

 言うまでもなく、マリノスがリードするはずの試合だった。開始から五分も経たないうちに先制し、その後もいつものようにボールを握り続けた。しかし後半開始直後のゴールで試合の趨勢を決めてしまったのはアウェイチームの方で、それは彼らからしても出来すぎだ

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是と非 〜ワンテーマ・レビュー:2020アウェイ浦和戦〜

 扇原貴宏が昨季よりも広範囲に動いて仕事をしていることには、中断前の四試合でなんとなく気づいていた。しかし、再開初戦の彼が見せつけてきたのは、それをはるかに超える神出鬼没ぶりだった。攻撃ではサイドを問わずボールエリアに顔を出し、得意の繊細なボールタッチでリズムを作る。たまに炸裂するミドルレンジ・ロングレンジのパスは、相変わらず相手を震えさせるには充分なクオリティを持っていた。そして守備では、攻撃時

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