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Why are you here?

 今日は7/4。ついにJ1が再開します。僕たちは、長らく待ちわびていたその日をまさに迎えているということらしく、やっぱり目が覚めてからというもののなんだか落ち着きません。なので時間つぶしに何か書いてみようと思い、こうしてPCに向き合っています。

 僕は以前のロッドくんとのPodcastで、「自分が『マリノスのサポーター』だとは思えない」という話をしました。あの時は結構おちゃらけた感じで面白おかしく喋っていたような気がしますが、これは案外僕が心の奥底で思っていることです。それは別に、実は僕はマリノスのことが嫌いだったのだヘッヘッヘー!ということではありません。マリノスはもちろん大好きです。でも、その括弧(『』)で括られた名称に自分が当てはまるかどうかは、結構怪しいものがあるなあ、という意味での「サポーターだと思えない」です。

 例えば僕が日産スタジアムでDAZNのカメラにバッチリ抜かれたとして、実況の方に「あああ!!!マリノスのサポーターがピッチに生卵を投げつけています!!!」とかいう風に言われるのは全然構いません。トリコロールのニットマフラーを首に巻いた人間がマリノスのサポーターだと思われるのは、ある意味当然のことです。でも僕にとっての問題は人にどう呼ばれるかということではありません。大事なのは、自分が、自分のことをどう呼ぶか、どう認識するか、どう定義するか、ということです。

 これを読んでいるあなたは少なくともサッカーに関心があって、サポートしているチームがある人も多いでしょう。では、あなたはそのサッカーチームにおける何だと思いますか? ちょっと変な言い方かもしれません。あるいは逆に、そのサッカーチームはあなたにとっての何ですか? 推し? 贔屓? 生きがい?

 僕がサッカースタジアムに行くことが好きなのは、もちろんサッカーやマリノス自体が好きだということもありますが、それと同じくらい、本当にいろんな人がそこにサッカーを観に来ていることを実感できるからでもあります。僕がよく足を運ぶ日産スタジアムには特に、一つのものを共有しながらも、その方法を何一つ強要されないことの喜びがあります。たくさんの席種が用意されていて、それぞれにスタイルがある。

 さて突然ですが、いま再放送されているテレビドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」に、「僕はプロの独身なんで」という表現が出てきます。主人公・津崎平匡のセリフです。一般的にプロというのはそれによってお金をもらうような立場のことを指すと思われがちですが、作中では純粋に「その道を極めた人」の意味で使われていました。この考え方は、僕がサッカーを観る上でも非常に勇気の湧くものでした。仕事じゃなくたってプロになること(プロだと思うこと)は出来る。そしてあなたがその道のプロであるかどうかは、あなた自身で決めることが出来る。「プロのかたち」は人それぞれにあっていいのです。

 だから決めたのです。僕はこれから、「プロのサッカー観戦者」を目指していこうと思います。それは言い換えれば、自分にとってのサッカー観戦という行為を主体的に定義して、そこに向かって進んでいくということです。その方法は、たとえば毎週レビュー記事を書くことかもしれないし、スタジアムで大きな声で応援することかもしれない。

「サポーター」という思考停止的でとうに使い古された言葉によってではなく、自分自身がスタジアムにいる意味、もしくは画面を通してサッカーを観る意味を、行為そのものによって表現していく。それはおそらく途方も無い時間がかかる作業になることでしょう。時々によってその意味が変わってくることもあるでしょう。それでもスタジアムは、サッカーは、必ず僕やあなたのその変化を許容します。

 この文章の最後に、僕の大好きな言葉を贈りたいと思います。

「フットボールとは、“あなたにとっての”フットボールでしかないのです。あなたのフットボールには、あなただけの答えがあります。」
――井筒陸也(『フットボール批評 issue27』p.127)

 それでは皆さん、まもなくキックオフです。

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