ジョージ・オーウェルの『1984年』を読んで【ネタバレ無し】
1.自粛生活に、読書をお勧めします
ちょっと前からまた読書を始めまして、ちょうど一冊読み終わったので感想を書きたいと思います。
ちなみに読書のリラックス効果はとても高いそうです。
しかもフィクションを読むと表現力も上がるそうですので、文章を書く時や会話などで、思うような言葉が出てこないという人には、フィクションを読むことをお勧めします。
2.作品の全体像について
これはディストピア(「ユートピア=理想郷」の対義語)の世界を描いた作品の中で一番の定番であり、そしてその中において、名作中の名作ではないでしょうか。
そこまでディストピアを描いた作品を見たことが無いので分かりませんが、群を抜いた作品だと感じました。
とにかく「圧倒的」、そんな陳腐(ちんぷ)な表現しかできませんが、それが1番の印象でした。
小説としても素晴らしいんですが、ディストピアの世界を、体系的に・思想として・概念として・意義としても描かれているところが圧巻でした。
実際にディストピアの世界を論説的に表現していた箇所もありましたので、ジョージ・オーウェルの頭の中で、ディストピアの概念について、頭の中で細部まで構築した上で書いたのではないかと感じました。
これは小説でありながら、哲学書の面も含まれた作品であったと感じました。
しかしながら説明口調になることも無く、あくまで小説として、人間模様を通して、ディストピアの世界を描ききったのはさすがの一言です。
世界的名著なので当たり前といえば当たり前かもしれませんが、しかしながらそれを目の当たりにすると、圧倒されます。
今だと「監視社会」だと言われる時代だと思いますが、「監視社会」ってどういうものだろう?その理由や理屈について知りたいという方には、これはフィクションなんですが、この作品を読むことでも知ることができると思います。
とても良い作品でした、読むことができて良かったです。
3.最後に
私が読んだのは「新訳」の『1984年』なんですが、この新訳版では、今まで出版されてきた『1984年』の作品の中で抜けていたある箇所が、ちゃんと掲載されています。
なので「もう昔に読んだことがあるよ」という方は、良かったら新訳版の方も手に取ってみてください。
本の最後の訳者の後書きに、その箇所について書かれています。
この箇所が抜けていたからといって、『1984年』が大きく損なわれたままだったとまでは言いませんが、しかし今回ちゃんと記載されたことで、よりジョージ・オーウェルが描きたかったディストピアの世界について、表現が深まったのではないかと私は感じました。
ちなみに抜けていた理由は、最初に発行された時の印刷ミスが原因だったそうです。
ミスにしてはあまりに大きなミスだったと思います。
世界的名著の一つとして、お勧めします(特に新訳版を)。