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【治療例2】うつ・不安障害・PMS(28歳女性)
10年以上患ったうつ病や不安障害、重度のPMSを10カ月かけて治療し、日常生活の支障をなくした女性の事例です。
ソース:宮澤医院(東京)
症状
患者:女性、28歳
症状:重篤なうつ状態と不安症状、PMS(月経前症候群)
経歴:子ども時代から不安感が強く、高校から不登校になり引きこもる。心身の倦怠感が非常に強い。PMSは鎮痛剤が必要なレベル。
根本原因
腸内環境(略記されているが、リーキーガット症候群もしくは腸内フローラの問題と思われる。)
重金属の蓄積
副腎疲労(HPA軸機能障害)
葉酸欠乏・銅過剰・その他ミネラル欠乏
(詳細は下記記事を参照)
治療結果
期間:10か月
・うつ状態、不安障害の軽減(10段階自己評価で10→2,3程度)
・PMSの症状軽減(10段階自己評価で10→4)
・気力を取り戻し、入浴・散歩など日常生活に支障がない状態まで復帰。
鑑別・治療ステップ
うつ病の原因鑑別からの治療
うつ病の人の脳内で起こっている現象はおおまかに5タイプ(およびその複合)に分かれます。
・低メチレーションタイプ(セロトニンが減少)
・葉酸欠乏タイプ(高メチレーション、セロトニン過剰タイプとも)
・ピロール異常タイプ
・銅過剰タイプ
・重金属蓄積タイプ
このケースは症状から、
葉酸欠乏タイプが第一で、次点で銅過剰タイプ、重金属タイプが疑われています。
ですが、オーソモレキュラーの基本検査をして腸内環境を調べ、食事の改善をともなう治療を行った時点でうつ状態はかなり減少しました。
(葉酸の服用については明記されていませんが、葉酸はビタミンB群なので、腸内細菌が正常化して自己産生できるようになったのだと思います。)
続いてナイアシン(ビタミンB3)を服用していますが、これはドーパミンの過活動を抑制するためでしょう。それにより不安症状が減少しています。
ただし月経時にうつ状態が出るため、銅過剰由来を疑い亜鉛を増加させています。
銅と亜鉛は電荷が同じ競合金属なので、片方が減少すると片方が過剰になります。
下図は血液検査による銅過剰の鑑別です。
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また、毛髪の根元から自然排出される重金属量を調べる毛髪ミネラル検査では大量のヒ素の排出が見られ、蓄積状態が発見されました。
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が、治療開始10か月で体調がかなり改善したためいったん治療を打ち切ったのだと思われます。
まとめ
「何をどこまで治すか」というのは患者の判断なので、うつ状態と不安障害、PMSが劇的に改善され日常生活が送れるようになった時点でいったん終えるという判断はよくあることかと思います。
追記がないので定かではありませんが、頃合いを見てヒ素の排出治療を開始しているのかもしれません。
28歳の女性が、十年以上患っていた精神疾患の治療に10か月で成功するというのはかなり奇跡的なように思われますが、症例を調べていくと普通によくある事だと分かります。
(オーソモレキュラーを本格的に活用したわけではないものの、僕自身も半年程度で重篤なうつ状態から社会復帰できました。)
明確な治療方法がないと言われている発達障害や精神疾患も、個別の状態を検査で見極めてやれば、意外とこんなものですよ。
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