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年金1級からの社会復帰⑨クローズド就労

前章の続きです。

クローズドしか視野にない仕事観

だいぶ平均以下ですが、僕はギリ人並みの認知能力とメンタルを取り戻しました。

…生活の中でそう思えるようになったので、再就職先を探した話です。

僕は「オープン/クローズド就労」という言葉を、X(Twitter)を始めるまで知りませんでした。

いちおう障害者雇用という概念は知っていましたが、社会に出て何度挫折をくりかえしても、その枠で働くという発想は出ませんでした。

特別扱いされたくなかったし、何より他人に知られたくなかった。
薄給も絶対に嫌だった。

また、建築現場の経験から、僕は職場でもプライベートに繋がる人間関係を作りたかったし、自分がダメな部分を補って余りある人間性を持っているとはまったく思えませんでした。

成長過程で身に着いた謎のプライドの高さ、そして自信のなさが理由です。

当時の分相応であった、障害者就労に頼るという選択肢は一度も頭に浮かびませんでした。

そして、妥当な選択肢がなぜか浮かばない、という症状は脳機能が低下するほど深刻になります。

で書いた、さまざまな治療を試みて挫折した人たちへのメッセージも、一握りの人にしか届かないのが遺憾です。

妥当な選択ができなかったお陰で、僕がどんな有様になったかは、下記の2章で書きました。

無意味な(?)プライドを捨て去ることができれば、もう少しましな20代だったかもしれません。

ですが、今となってはその事が幸いしたと思っています。

誰も分かってくれない。
誰も助けてくれない。
そして周りにいる憧れの存在とは肩を並べることができない。

その辛さが身にしみていなかったら、「石にかじりついても治さねば」という発想は芽生えなかったかもしれません。

僕個人の意見に過ぎませんが、根本治療は自分の数少ない成功体験なので、 のエッセイ記事にそのへんの気持ちを書いてみました。

エージェントを酷使した就職活動

そんなわけで、再就職先を探すときもクローズド一択でした。

僕は建設現場で働く人たちにとてもお世話になりましたし、今でも心の底からカッコいいと思っています。

でもその頃になって僕は、現実を見るとはどういうことか、やっと理解できてきました。

記憶をたどり冷静に考え、肉体労働が全くモノにならなかった原因が分かってきました。

2.あがいても変われない日々」に書いたそれらの理由は、この段階にいたって初めて理解したことでした。

平均以下の人間が人並みに稼ぐ方法は、苦手なものを避け、少しでも得意なことを活かすしかない。

生き残るために、憧れを諦める、という対価を支払いました。

これもいたって妥当な考えだと思いますが、やっとそこまで頭が回るようになりました。

初めは、土木の仕事をしていた時に(前章、「8.気づかないトラウマがたくさんあった」参照)出会った人のコネを使い、PCで地盤補強の図面を作成する仕事に就こうかと思いました。

が、相談するうちに、辞めた仕事の知り合いに頼るのは義理人情にもとると思いようになり、やめました。

ですがその過程で「転職エージェント」なるものが世にあることを知りました。
転職希望者と求人先をマッチングする企業です。

職探しをしてる人にとっては常識かもですが、治療という目の前の問題解決のみに全集中していたのは僕の長所でもあり短所でもあります。

現状を何とかせねばと切羽詰まるまで、発達障害という概念すら知りませんでした。

いちおう説明をすると、転職エージェントとは、雇用契約が決まった時点で、初年度年収の何%かに相当する額を会社がエージェントに払うビジネスモデルです。

求職者側はタダで利用できます。

ハローワークとの決定的な違いは、「採用が決まらない限りタダ働き」かつ「交渉で決まる初年度年収が低かったら業績に響く」ことです。

相談・依頼するときは必ず利害の一致する相手を選ぶこと。

で解説した「成功報酬オンリーの社労士を探せ」と同じ理屈です。

利害が一致しない相手は、どんなに親身に見えても100%の信頼は置けない。

それは経験から身に着けた知恵でした。
(といっても、大人として当たり前ですね。)

僕は超大手の敷居の高そうなエージェントに何社も登録しました。

仲介料が超高額だからです。

大手は信頼があるため、初年度年収の2割とかを会社から徴収して普通に商売が成り立ちまます。

つまり、そんな高級エージェントを使う会社は儲かっている会社です。

そして、「障害年金受給のためのヒント」と同様に、「嘘にならない程度に話を盛りまくる」という技を駆使し、履歴書を書いて面接を突破しました。

就活あるあるですね。

次章では、やっぱりあった再就職後の波乱万丈と、職探しをしてる人へ向けたちょっとしたアドバイスを書きます。

以上です。

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