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[ALEXANDROS]に、ロックバンドの夢を託そう

【8/16(木) [ALEXANDROS] @ ZOZOマリンスタジアム】

スタジアムでワンマンライブを行うということ。

それは、ロックバンドの夢である。

しかし、全てのバンドがその目標を掲げているかと言われれば、決してそうではない。

音楽のジャンルが多様化していくのと同じように、それぞれのバンドが表明するスタンス、活動のスケールもまた様々である。

大きな音を鳴らして、遠くまで声を届けて、無数の観客の心を掴むこと"こそ"がロックバンドの生き様であるという価値観は、既にこの時代では通用しないのかもしれない。

世界的に見ても、ロックバンドが満員のスタジアムを沸かせる光景は、悲しいことに年々減ってきている。

それでは、[ALEXANDROS]は、どのような想いを抱いて初のスタジアム・ワンマン公演のステージに立ったのだろうか。

結論から言ってしまえば、今回のライブに過剰なストーリー性はなかった。

その気になれば、いくらでもドラマチックでエモーショナルな一夜に演出することもできただろう。

しかし、あの日の彼らの佇まいは、むしろ「余裕」を感じさせるものだった。

今振り返れば、それは当たり前なことだったのかもしれない。

彼らの真の目標は、グラストンベリー・フェスティバルのメインステージでヘッドライナーを務めること、つまり「世界一」だ。

[ALEXANDROS]にとって、ZOZOマリンスタジアムは一つの通過点でしかないからこそ、彼らはいつものようにステージに立ち、そしていつものように勝った。

決して揺らぐことのない意志に裏打ちされた、強靭でスタイリッシュなバンドアンサンブルに、何度も心を震わせられた。

「ロック」というジャンルが、相対化の果てに隅に追いやられつつあるこの時代に、「世界一」という野望を抱きながら、茨の道を歩む。

そんな物語に、僕たちはこれまで何度も励まされ、背中を押され、救われてきた。

そして今回のステージは、僕たちが見てきた物語は、まだまだ序章に過ぎないと思わせてくれるものだった。

初めて"KABUTO"を聴いた時のただならぬ予感は、やはり間違いではなかった。本編の最後に披露された"Mosquito Bite"は、彼らの「覚醒」の兆しを高らかに伝えていた。

重厚でソリッドなギターリフの爆風を受け、思わず目を閉じた瞬間、大きく翼を広げたようなメロディに導かれ、視界を丸ごと塗り替えられていく。

そして気付けば、体中が高揚感と全能感で満たされる。

断言してもいい、こんな感覚は「ロック」を通してしか味わえない。

彼らのロックサウンドがスタジアムで鳴り響いたあの一夜の余韻は、きっといつまでも消えることはないと思う。

この先、海の向こうへと続いていくであろう[ALEXANDROS]の物語を、僕は全力で支持する。


※本記事は、2018年8月30日に「tsuyopongram」に掲載された記事を転載したものです。

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松本 侃士
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