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『元プロボクサーが発案 売れる営業に変わる37のトレーニング』西野龍三
依頼があったため、書評させてもらいました。
どなたからでも書評依頼受け付けているので御依頼していただけたらと思います。
さて、今回書評するのは、西野龍三さんの『元プロボクサーが発案 売れる営業に変わる37のトレーニング』です。
僕自身は、営業のみを専門にやっているわけではないのですが、どういう内容か気になります。
読んでいきましょう。
【解説】
『本書では、対戦相手と直接やりあうボクシングという過酷な格闘技から学んだ試合テクニックを、営業というこれも生身の相手を目の前にして駆け引きし、応用・展開していく「ボクシング式営業術」としてまとめました』(5頁)
本書は、プロボクサーだった過去の経験を元に営業に使えるノウハウを紹介している本です。
顧客のアポ取り及び初対面から契約終了後のフォローまでにおいて、行うべき立ち振る舞いを書いています。
そんな本書はちばてつや原作の「あしたのジョー」のパロディになっています。
どういうことでしょうか?
本書の著者が丹下団平。本書の読者が矢吹丈。このような構図となるのです。
『あしたのジョーの第一巻では……丹下団平が、主人公の矢吹丈にパンチの打ち方を解説した「あしたのために」を送るシーンが登場します。その手紙は、少年院に入れられた矢吹丈に宛てられたもので、少年院の中でもボクシングの自主トレができるように、丹下団平が送り続けます…』(16頁)
矢吹丈は丹下の教えを守り、少年院内で(通信)トレーニングに励み、力をつけていくのです。
本書にも丹下団平の手紙さながら、やるべきことが書かれています。
明日のためにその①
ジャブで突破口を開く。気持ちのよい挨拶で、よい第一印象となるよう心がける。
読みすすめると取り組むべき課題が読んでいくうちにどんどん理解できます。
セミナーに必ずしも頼らなくても、本書に書いてあることをしっかり実践すれば、営業力が鍛えられるということなのです。
ビジネス書の営業ノウハウ本にありがちな抽象的な記述は少なく、著者の実践に基づいているから記述は具体的です。
例えば、どんな営業でも使える10項目のお客様情報というのを挙げています。
①所属の会社
②所属の業界
③担当業務の内容
④出身、特産品、出身の著名人について
⑤休みの過ごし方、趣味嗜好
⑥家族、ペットについて
⑦検討している商品に関連する話題
⑧お客様の経済状況
⑨比較検討している他社の情報
⑩想定される質問とそれについての対策
この話題を事前に準備しておけば、お客さんとの会話に困ることもなく、スムーズに進めることができるとしてます。
また、他にもピグマリオン効果やアンダードック効果など心理学も引用しつつ、自己の営業ノウハウの有用性を紹介しています。これにより現場で培った営業力だけではなく、著者自身もしっかり本を読んで理屈に裏打ちされた知識だということも伺えます。
さて、この著者の西野龍三さんがどのような人かというと、フォレスト出版の紹介にはこう書いています。
【著者経歴】
西野龍三(にしの・りゅうぞう)
ボクシング式営業術伝道師 宅地建物取引士/住まいの診断士 元プロボクサー
1972年生まれ、埼玉県春日部市出身。
少年時代は文武両道、いわゆる優等生であったが、自分の意見がまったく言えず、人の評価ばかり気にして行動できない自分に嫌気がさし、自分を変えるためにボクシングを始める。
1996年プロデビュー。元WBC世界フライ級チャンピオンの内藤大助氏とプロデビュー戦で対戦。デビュー戦の敗戦を引きずり、その後5連敗するが、KOでの初勝利から3連勝。最終戦績は9戦3勝(1KO)6敗。
引退後は2000年から大手住宅メーカーで注文住宅の営業に携わる。ボクシング経験から編み出した営業テクニックで、まったく売れないスランプ期を乗り越え、2015年に業績表彰を受ける。
最終的には100棟以上の受注、引渡実績を上げた。 休日には、ジムのトレーナーやセコンド(ボランティア)として、選手の育成からフィットネス、ダイエットの指導も行っている。
世間的には亀田兄弟との因縁で有名ですが、ボクシング好きにはポンサクレックを倒した凄いボクサーとして知られていますよね。
そんな人と対戦してるなんて、著者はもってるなあ、と思います。
ちなみに著者と内藤大助戦は以下の動画になります。
内藤大助は著者との戦いをしっかり覚えているようです、以下のように語っています。
ボクシング好きな僕としては内藤大助のデビュー戦が見れたのがすごく嬉しい笑
内藤はデビュー戦でまだあの変則的なスタイルではありませんが、肘のおいている位置とか足運びで、その萌芽はしっかり感じます。
このような貴重な動画を見れたので著者の西野龍三さんにはかなり感謝しています。
【評価】
一般論として『体育会系出身は営業に向いている』と言われます。
何年か社会人をやってみた僕の肌感覚としても、この意見は正しいと思います。
○コミュニケーションのとり方
○仕事への作戦の立て方
○瞬時の判断
営業だと、これらの能力は必須であり、スポーツにかなり近いと感じます。
もちろん、スポーツ経験なくても、これらの能力は身につけられますが、あったほうが、習得は早いと思います。
また、スポーツは話題に使えます。野球とサッカーだと相手を選ばずに簡単に話題にできます。
事実、読書や映画鑑賞が趣味では営業トークには不向きです笑。僕の経験上、残念なことに盛り上がった試しがないです笑。
体育会系は営業に向いているという分かりやすい例として、芦名祐介と言う人がいます。
慶應義塾高校のアメフト部で全国制覇。その後元アメフトU-19日本代表主将を務めます。
就職後は電通に就職するも、1年で退職。外資系保険会社のプルデンシャル生命で入社2年目で全国2位の営業成績を叩き出す化け物なわけです。
『電通、プルデンシャル生命、ハリウッド…渡り歩いた男が見つけた天職』
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/56005?page=1&imp=0
アメフトで培った能力を存分に仕事に活かしています。
たた、彼はプレジデンシャル生命時代の仕事ぶりはこんなふうに書いています
体育会系に営業能力が備わっていることは分かりますが、ただ同時に芦名祐介のマネをすることは不可能だということが分かります笑
もっと踏み込んで言うと、
体育会系出身じゃない人は営業能力が、諦めたほうがいいのか?
とまで思いますよね。
しかし、この本書は読めば、仮に体育会系でなくても、追体験できるようになっています。
ボクシングにおける戦法や技術を学びつつ、営業力を構築できる。
そこがこの本の優れたところだと思います。
営業初めての後輩とかいたらこの本を渡したら理解できると思います。
既に営業経験者でも自分の手法を振り返る良い機会になります。
オススメです!!!
あ、最後に全く関係ないですが、矢吹丈って結構メチャクチャだったんですね笑
豚を盗んで少年院入れられるってのは有名なエピソードなので知ってましたが、反則技やりまくったり、闇討ちしたり、とかなりあくどいんですね笑
石を握ってグラブつけて力石徹を殴るなんて凄まじい笑。
反則上等な矢吹丈です