書評 村上春樹「羊をめぐる冒険」 イラストエッセイ「読まずに死ねない本」 004 20240531
村上春樹さんの40年来のファンです。
最初に読んだのがこの「羊をめぐる冒険」。先輩にすすめられて読んだのが、大学1年生の時でした。
おそらく眠らずに一気に読んだと思います。それ以来、10回は読み返したかな。
もともと、カフカとかホフマンなんかが好きで、ああいう幻想的なものが好きだったのですけれど、日本にはそういう伝統があまりないんですよね。日常の隙間から、異世界に滑り込んでしまうというような。エンターテイメントではたくさんあるのですが。
それ以来、村上春樹さんの作品は全部読んでいますけれど、やっぱり「羊をめぐる冒険」が一番好きです。ここに村上作品の魅力の全てが詰まっていると思います。後年作品の熟練の技も素晴らしいですが、若い時の素朴さが、語りすぎていなくて良いのですね。
それから、「やれやれ」でおなじみの村上さんの語り口ですが、ぼくは、チャンドラーの翻訳者、清水俊二さんの影響が大きいなって思っています。ご本人もチャンドラーをたくさん翻訳されてるところが、何か先祖返りみたいで興味深いですね。
あと、「村上ラジオ」の語り口、田村正和さんに似てると思うのはぼくだけでしょうか? 笑
「羊をめぐる冒険」の次におすすめの村上作品は、「海辺のカフカ」です。それから、少し長いのですが「ねじまき鳥クロニクル」も面白いですよー。短編はどれを呼んでも面白いです。
余談になりますが、ぼくは高校教師を30年やったのですが、教え子が村上春樹さんの家のそばに住んでいたんです。
「朝、ジョギングしているへんなおじさんだと思っていた」だって。
知らないって、本当に恐ろしいことだなーって思いました。笑