【書評】THE POWER OF REGRET 振り返るからこそ、前に進める

後悔に関する本。

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後悔と言っても、人によってさまざま、他人には想像もできないこともたくさんあるだろう。

本書の特色は、そんなさまざまある後悔も、人が深くそして強く後悔する事柄は大体4つに分類できるとしている。

いわく、「基盤」「道徳」「勇気」「つながり」
この4つである。
下記につながり以外の3つの概要をまとめている。

基盤。生活とか自分の能力に関するものだ。
毎日のちょっとした行動が塵積で堆積して深い層に変化していく類のことである。
例えば、貯金・投資、運動、食生活、歯のケア、タバコ、酒、語学を学ぶこと、読書、書くこと、楽器を練習すること、などである。
共通点は、日々の変化は見えにくいが、将来に取り返しもつかなくなる差がつくやつだ。

道徳。これは、文化圏で違うし、なかなか一致の取れるものではないという前提がある。しかし、ある程度の共通性もあるのだ。
危害: いじめ、ひどい態度を取る、弱い立場の人を守ってあげれなかった。こういう感じである。自分としては電話口の相手にイライラした態度を取ったりすることが当てはまりそうな気がした。
欺瞞: 不倫、盗み、約束を守らない、など。総じて信頼を失う言動。
ほかにも、堕落、背信などが挙げられている。

勇気。これは誰しもが思い当たることのある項目だと思う。無難なな選択をしてしまったとか、もう少し勇気を持てればと思うことはあるだろう。
これに関することも、大きく分けれる。
言いたいことは伝える: 自分の思うより少し外向的に振る舞うこと。内向的と思っている人も、実はよくよく調べてみるとある程度の外向性を持ち合わせているというのが現代心理学の結論。つまり自分が内気だと思う人も、少し思い切ったことをしておかないと後悔する可能性がある。要するに、自分で自分はこんな人間だと決めつけすぎない方がいい。思ってるより変えれる余白はあると考えた方が明るいではないか。
勇気に関しては、仕事と恋愛、旅、アイデンティティの自己開示が一番該当する。辞めたい会社を辞めなかったとか、起業してみなかったとか、思いを伝えなかった、この辺を中心に振り返ってみるといいだろう。

一番の役立つポイントは、上記の4つの後悔以外は、そこまで重大事には至らないという指摘だろう。だから意思決定のときは、この4つだけ頭の片隅に置いておけばいいのだ。ほかは後から振り返っても2、3日したら消えるくらいの些末な選択になる可能性が高いのでサクッと決めてしまう方がいいと思える。たとえば、自分の経験ではiPhone購入の際に色を選ぶので、一週間くらい悩んだことがある。実際ミスったと思ってもすぐに慣れて忘れるだろう。

本書には、まだまだ深く自分を振り返る方法が載っている。
ユニークな指摘だなと思ったことのひとつが、新年の目標を立てる人は多くいるが、旧年の後悔の振り返りをして、それを踏まえて新年計画を立てる人は少ないと言っていることだろう。
たしかに旧年の振り返りはザッと流してしまいがちだが、後悔はないかを振り返る方が自分を知ることにもつながるだろう。
まもなく年末を迎える。旧年の振り返りに時間を多く割くのはいい考えではないか。

最後に、後悔に関して、本書の引用して終わる。
日本の将軍、足利義政が大切にしていた茶碗を割ってしまい、修理をすることになった逸話である。

日本の職人たちが選んだ方法は、茶碗の割れた断面をやすりで磨き、金粉を混ぜた漆で接着するというものだった。狙いは、茶碗を元どおりに再現することでもなければ、ヒビを隠すことでもなかった。割れた茶碗をよりよいものにつくり変えることを目指したのだ。今日まで続く「金継ぎ」と呼ばれる新しい芸術様式である。

人生を振り返り、傷を覆い隠さず、そこから継ぎ足していく。その大切さを充分に伝えてくれる本である。

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