トランペットから音を出すまでの体の使い方「セッティングルーティン」の重要性
例えば文字を書く時、ペンやエンピツを(自分なりに)正しく持っていなければいつものように字が書けません。ましてやキレイな字を書こうなんて到底無理です。
料理をする時の包丁も正しい持ち方でなければ大変危険です。野球のバットもテニスのラケットも正しく持たなければ上手く振れません。
立ち方や姿勢も同じです。ゴルフで足踏みしながらスイングしたらきっと当たらないし、そこまでとはいかないにしても、適当に立っていては狙ったショットはまず実現しません。
ではトランペットを演奏する際にはどうでしょう。音を出すまでの動きや、例えばマウスピースをどのように唇と接触させるかが明確でないと音が出たり出なかったりと不安定になります。
何かの結果をしっかり残そうとしたり、成長するための意味のある練習をするのであれば、その前段階である体の準備が安定していることが最も重要です。そしてその安定にはひとつひとつ根拠が必要です。
セッティングルーティン
僕はレッスンで、音を出すまでの一連の流れである「セッティングルーティン」を必ず解説し、実践していただいています。初心者でも経験年数が高くても、少なくとも確認だけは必ずしています。
多くの場合、「音を出す瞬間以降」についてあれこれやるのがレッスンのように感じますが、音が出た瞬間はひとつの結果でしかないので、良い音を出すとか、安定したピッチで音が出るとか、タンギングがイメージ通りであるとかは、その前の準備でほぼ全て決まっています。
結果は準備で決まる
野球でバットを振ってボールが当たり飛んでいったそのボールの軌道は、バットを振るところまでで全て決まっている、と考えればわかりやすいかと思います。ボールが当たった瞬間以降にボールの軌道を変えることは不可能です。音も同じ。
根性練習の弊害
練習時、夢中になって何度も何度も音を出してしまっている状態は、ゴルフ練習場で足をバタバタさせながら何球もショットしているのと同じです。しかし精神的にも体力的にも消耗はするので、「練習したぞ、たくさん吹いたぞ」という充足感だけは残るのですが、これは残念ながら得るものはありません。それどころか、フィードバックのない統一されていない体の使い方をし続けると、何が正解かどんどんわからなくなっていきます。いざ本番で1発音を出す際にどうすれば確実に出るかわからなくなってしまう、それが緊張の原因になってしまうのは、このようないわゆる根性練習の弊害です。
ということなので、これから何をどのように吹くかを頭の中で決定し、楽器をどのように構え、マウスピースと唇を接触させ、どのような吸気が行われ、舌や口の周りのセッティング、呼気の準備、タンギングをして音が出るまでの一連の流れについて必ず解説します。
最初はひとつひとつが何なのかを確認し、最終的にそれがひとつの流れになるようにしていきます。これを僕は「セッティングルーティン」と呼んでいます。
これが安定していくことで不発を減らし、安定したサウンド(音色、ピッチ、音程)を実現して、音楽に集中できるようになっていきます。
レッスンで必ず確認します
初心者の方はまずこれが大切であることを知っていただくために解説と実践をしていますし、経験者の方はクセが良くない結果を招きそうな場合、その点について解説しつつ、ルーティン全体を確認しています。
経験者の方で、もっと安定した演奏をしたいとお思いでしたらぜひ一度レッスンにしらしてください。音を出すまでの一連の体の使い方を確実なものにしていきましょう。
ツキイチレッスンという単発参加型のレッスンを毎月複数回開催しております。音楽教室のような入会金や毎週何曜日の何時に、といったものがないので、ご自身のペースで、ご自身のスケジュールに合わせてご参加いただけます。
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荻原明(おぎわらあきら)
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