子どもの怖がりはあっという間に作られるが克服は大変です【育児哲学#5】
・子どもの恐怖心は体験によってどんどん簡単に増える
・その恐怖心をなくすのは大変ですが、親の「勇気づけ」と「成功体験」の声がけを積み重ねよう
・「怖がらせ育児」もほどほどに
想像は恐怖を調合し、
私たちに恐怖を味わわせる。
◆フランスの哲学者 アラン『幸福論』引用
恐怖は想像力によってかき立てられる。「試験に失敗したらどうしよう」という不安を抱えているとしよう。試験に失敗するにしろ、成功するにしろ、合格発表の場面は、どれだけ心配しようと一度しか起こらない。けれども、想像力によって不安を際限なくふくらませた場合、その人は事前に何度も「失敗の恐怖」を味わっていることになる。恐怖を換気する想像は、どこかで断ち切らねばならない。
ウチの3歳児も想像力が発達してきているようで、隣の真っ暗な部屋のドアが開いているのを発見すると、すかさず閉めます。
アニメを見ていて、怖いシーンになると「怖いぃ~」っと悲しい声を出しながら逃げそうな素振りをします。
「恐怖」がいちばんの想像力をかき立てられる要素になっているのかもしれません。
ただ、「恐怖」にのまれてもいけません。
いつかは「恐怖」に打ち勝つこともこれからの人生で大事になってきます。
怖いシーンをみて恐怖する子どもに「”怖い”のあとには”素敵な出来事”が待っているよ。もうちょっと見てみる?」とか、話してみましょう。
ぐっと身と硬直させながら怖いシーンをじっと見てますが、それからも真剣に見続けて、最後にはニコニコしていました。
この瞬間です!すかさず褒めてあげましょう!
「よく我慢して最後までみられたね!」「すごい!がんばった!」
恐怖を乗り越えたときに、その乗り越えたという成功体験をつみかさねていくことで、恐怖を克服していくことができます。
「恐怖」は想像力をかき立て、簡単に脳に記録されてしまいます。
ですが、克服には時間がかかるので、パパやママは成功体験とともに勇気づけてあげてください。
「恐怖」に支配されず「希望」を胸にドキドキとワクワクを子どもには教えてあげてください。
そしてもうひとつ。
「あ!鬼がみてるよ!お片付けしよ!」など、怖がらせる育児があるかと思います。
僕もついやってしまっていて「はやく寝ないとオバケがきちゃうよ!」っと怖がらせて布団につれていくときがあります。
「怖がらせるだけ」はNGです。
2~3歳の子どもは、守られてる、愛されているという安心感をもつこと。
ありのままの自分を守ってくれる存在=大人がいる
…ということを実感できる「心の安全基地づくり」がもっとも大切です。
心の安全基地ができあがると、子どもはじょじょに親からはなれて外の世界にでていくことになっても、自立・成長をしていけるのです。
ただ可愛がるだけでは心の安全基地はつくられません。
「世の中には怖いことがある」と知ることも、心の安全基地づくりには重要。なので、鬼やオバケの存在は、時には有効でもあります。
ですが、鬼やオバケと結託してはいけません。
子どもからすると鬼がくるだけでも怖いのに、親が怒りに任せて「鬼を呼んでくるよ!」「鬼にあげちゃうよ!」とか、いうのは子どもが崖っぷちに立たされるほど恐怖です。
やさしい親が鬼と結託することで、子どもの安全基地を失ってしまいます。
「本当はいい子だよね?疲れちゃったかな?怖い鬼が見てるよ。いっしょにお片付けしよう。」というように、鬼と結託せず、必ず子ども側に立つようにしましょう。
ただ、「怖がらせ育児」の乱用はいけません。
それは日本人の親が優しすぎて、ちゃんと怒れてないのも原因のうちです。
怒るときはちゃんと感情をこめて怒れば子どもにも伝わります。
皮肉や過去の失敗を掘り返すような感情にまかせた怒り方はNGです。「感情をこめて怒る」のと「感情的に怒る」は似て非なるものですので注意を。
いちばん優しくて、同時にいちばん怖い存在の親になってください。
こちらの書籍を参考にしています。Kindle版ならば、少し安くなってお買い得です。
余談ですが「愛」も想像力で量ることができます。
それができるのは「理性」と「想像力」をもった人間のみです。
形のない「愛」ですが、人間らしく子どもにも「愛」を「想像力」で与えていきましょう。