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「かっけ」をはじめとした旧南部藩下の粉食文化について取り纏めて語ってみる(北海道から眺めて見た光景と印象を中心に)。

おかげさまで、東北のユナイテッドな地域の話が
好評ではあるようで。とりわけ青森編の方が
当初から反応が良く、Jリーグの話題から幸い
にもヴァンラーレ八戸まとめに採り上げられた
ことを発端にビューが拡がったのはありがたい
ことです。

北海道から冷徹に眺めてみると、特に東北に
おいては青森、山形、福島のユナイテッド
ぶりがいろいろ粗になって見えてくるもの
だから。〜その1・青森編。|torov|note

北海道から冷徹に眺めてみると、特に東北に
おいては青森、山形、福島のユナイテッド
ぶりがいろいろ粗になって見えてくるもの
だから。〜その2・山形編。|torov|note

 一番粉食文化のスタンダードなところでは
ひっつみがあるけどそれは舞妓さんちのまかない
さんとかでもやったし、すいとん文化はまだ
冷飯時代の老害が残存してるので、まあそれは
ひとまず置く、とするわけですが。

 ただ久慈(元は久慈市山形村地域の料理で
「あまちゃん」で有名に)のまめぶ汁は粉食
(ってか団子)の中にくるみと黒糖、といふのは
明治期に鉄道文化などから齎(もたら)された
黒糖文化の影響を受けているなと。

黒糖やくるみは餅や素朴な菓子に転用されることが
この地域では多く、そこには南国の黒糖文化を
リスペクトする一面が観られる、だっけ。

 傍系の雑音めいたものをひとまず整頓してから
まあまずは「語り手の事情」から述べてみますか。

 結局亡くなった伯父が弘前のルートインに心
惹かれすぎた人だったから、近くを歩くに
しても非常に心許ないし、マイカーで連れ帰る
のはいつも一升瓶のりんごジュースと大量の
(特に噛むと鮮烈なトキとか買ってた記憶がある)
りんごの津軽方面ばかりで、結界でも貼られたか
のように七戸の道の駅でえごま餅とシャモロック
は堪能できても、八戸に行くことは一度たりとて
ありませんでした。

 航路としては苫小牧発が多く、小樽からは皆無。
函館、青森、大間、秋田と行っているのに、
港に関しては八戸と塩釜は全スルーだったんだ
よなあ(大洗は武蔵村山住んでた時に家の
車で帰って来てから以来なのでホントに
数十年乗ってないけど)。

 なんで七戸近くのスーパーで「かっけ」や
「ぺろっこうどん」は買えても、本場の
南部せんべいがある地域にまでは辿り着け
なかった経緯があるわけで。
(だからその2の方は調べて調べてようやっと
辿り着いた「山形一寸亭」の冷たい肉そば
の自前写真なんですけどね)

さて夕刊両誌は捌いて来たので本題。

 まあ根本的には産地であるが故に冷たい
肉そばが本州へ行かなければ食べられないように
「かっけ」を売ってるのも旧南部藩下の地域が
中心なので、そばかっけよりはむぎかっけを
選びがちなのですが、語源としてはここを拾う
のが的確か。

まあ簡潔にまとまってる記事が世田谷自然食品
なのも妙な縁ですが。

生地を四角く平たい板状に伸ばし、調理する際は
三角形に切り分けます。ご当地のスーパーなど
では麺類などと並べて売られていますし、家庭で
手打ちすることも。素材によって「蕎麦かっけ」、「麦かっけ」と呼び分けられます。

かっけの由来は、蕎麦打ちの際に出る「かけら」
だったり、「召し上がれ」とすすめる方言だ
ともいわれています。ちなみに、かっけでは
なく「つつけ」と呼んでいる地域もあります。

郷土料理:かっけ(青森県・岩手県)

 基礎知識としては旧南部藩下の地域では
この時代あまり米が獲れなかったことから、
小麦や蕎麦の栽培が盛んで、そんな理由をベース
にしてこの地域の粉食文化が花開いたと。

 なので味付けはシンプルに粉を喰う、なので
味噌をつけて食べるをベースに、このあたりで
栽培が後年盛んになった田子産などが有名な
にんにくを味噌に混ぜたにんにく味噌で頂くの
が一般的と。

 語源的なわかりやすさとしては、この地域
独特のほぼ唇を開かずに会話する術をベース
にした「か?」「け」からの転訛で「かっけ」
になった説がわかりやすくて好きなんですが。
(よりネイティブにはマイルドに「かぁ
(喰うかぁ)」「けぇ(食べるけぇ)」表記
されてるとこもあったけど)

夏は冷やしかっけも良さそうで。
 次はぺろっこうどんにするか。

小山製麺の代表的な商品といえばやはりこれ。
かなり幅広の乾麺で売られており、粉食文化の
多彩さの一面が観られるあたり。

「麺」というより、もはやラザニア。
しかも「ぺろっこ」なんていう気の抜けた、
それでいて親しみのある名前はパーフェクト。
由来は岩手の言葉でうどんのこと。
食べてみれば、つるんとした滑らかな舌触り
で喉ごしよし。

菅原佳己「日本全国ご当地スーパー 掘り出しの逸品」
(2012.11,講談社)p119

なおJANコードは9784062180580。

 で、この地域の物産といえば南部鉄器ですが、
北海道の鉄文化は室蘭が大口向けだったので
(だから食文化では別に抜けて希薄。後代
だとボルタになってしまうし)

なので鉄器よりも南部せんべいの鋳型が重宝
されて北海道には南部せんべいそのものから、
以前にも取り上げた「オランダせんべい」等の
転用に至るまで鉄の型が流入しており、そちら
で結構な影響を与えている、ってことは意外と
知られていないので語っておくべきかと。

節制収縮期間突入。当面の間固定記事を
置くことにします、年賀状も出したので
今度はこのフェイズ。2022.12|torov|note

こちらで挙げたリンクがその主なものですが、
デンプンせんべいは豪雪うどんと共に一単元で
やった方がいいかなと。
 北海道では小樽の協和製菓と、カシューナッツ
が入ったクッキー地の「えぞ厚焼」などの商品
などでも知られる札幌新琴似のタケダ製菓が
その派生系でよくスーパーでも売られているなと。

まあこちらでも通販では巖手屋が強かったり
するので、普段使い以外だとそちらが家庭の
お茶請けとしてある、ってことが不思議でもない
って一面もありますけど。

旧南部藩下の粉食文化について、北海道から
眺めて見た光景と印象を中心にひとまずつらつらと語ってみました。